南野拓実がCL開幕戦で見せた役割。0トップで出場時間は増える

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2020年10月23日 06:21  webスポルティーバ

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 2020−21シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)が開幕した。リスボンで集中開催された昨シーズンの決勝トーナメントが終了して、2カ月経たないうちに再開されたことになる。

 第1節の結果は以下のようになった。

グループA
ザルツブルク(オーストリア)2−2ロコモティフ・モスクワ(ロシア)
バイエルン(ドイツ)4−0アトレティコ・マドリード(スペイン)
グループB
レアル・マドリード(スペイン)2−3シャフタール・ドネツク(ウクライナ)
インテル(イタリア)2−2ボルシアMG(ドイツ)
グループC
マンチェスター・シティ(イングランド)3−1ポルト(ポルトガル)
オリンピアコス(ギリシャ)1−0マルセイユ(フランス)
グループD
アヤックス(オランダ)0−1リバプール(イングランド)
ミッテラン(デンマーク)0−4アタランタ(イタリア)
グループE
チェルシー(イングランド)0−0セビージャ(スペイン)
レンヌ(フランス)1−1クラスノダール(ロシア)
グループF
ゼニト(ロシア)1−2クラブ・ブルージュ(ベルギー)
ラツィオ(イタリア)3−1ドルトムント(ドイツ)
グループG
ディナモ・キエフ(ウクライナ)0−2ユベントス(イタリア)
バルセロナ(スペイン)5−1フェレンツバロシュ(ハンガリー)
グループH
パリ・サンジェルマン(フランス)1−2マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)
ライプツィヒ(ドイツ)2−0イスタンブール・バシャクシェヒル(トルコ)




 昨シーズンは準々決勝でバルセロナを8−2で倒すなど、圧倒的な力を見せつけたバイエルンの2連覇なるか。これが最大の焦点になる。とはいえ、ご承知のように、CL史において連覇を達成したクラブは、レアル・マドリードしかいない(2015−16から3連覇)。それ以前になると、1988−89、1989−90シーズン(チャンピオンズカップ時代)を制したミランまで遡らなくてはならない。 

 一方で、欧州内の勢力争いも気になる。昨季、準決勝に進出した4チームの内訳はドイツ勢、フランス勢各2だった。欧州ランク1位のスペイン勢、同2位のイングランド勢がともにベスト4入りを逃した事例は、ユベントスとアヤックスがローマで決勝を争った、1995−96シーズンまで遡る。

 スペイン、イングランドの低迷は一過性の話で終わるのか。今後も引き継がれる傾向なのか。

 一昨シーズン(2018−19)優勝を飾ったリバプールは、昨季、決勝トーナメント1回戦で、アトレティコの軍門に降った。ディフェンディングチャンピオンとして、受け身になってしまった結果だった。連覇を逃す典型的なパターンにはまった格好だ。

 一方、昨季のプレミアでは、2位のマンチェスター・シティに勝ち点18差をつける断トツ優勝を飾っている。イングランドナンバー1チームの看板を背負って、今季のCLに臨む。チャレンジャー精神は回復しているのか。昨季同様、受けて立ってしまうのか。

 アヤックスとアウェーで戦うその初戦は、リバプールの今季の行方を占うに相応しい試合と言えた。

 一昨季、トッテナム・ホットスパーと対戦した準決勝で、最後の最後に逆転を許し決勝進出を阻まれたアヤックス。もしそこで勝利を収めていれば、マドリードで行なわれた決勝で、リバプールと対戦していたことになる。

 昨季は、マティアス・デ・リフト(ユベントス)、フレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)、今季はハキム・ツィエク(チェルシー)、ドニー・ファン・デ・ベーク(マンチェスター・ユナイテッド)と、2年前の主力が次々とビッグクラブに引き抜かれ、アヤックスの陣容はともすると戦力ダウンしたかに見えた。

 ところが、エリック・テン・ハーグ監督率いるそのサッカーは相変わらず優秀で、MFライアン・フラーフェンベルフ(18歳)、CBペール・スフールス(20歳)といった優れた若手もいる。目を惹くサッカーを展開するアヤックスに対し、リバプールは後手を踏んだ。受け身のサッカーをした。
 
 バイエルンから移籍してきた今季の目玉選手、チアゴ・アルカンタラがベンチ外だったこともあるが、リバプールのスタメンには、一昨季のメンバーとそう変わらぬ見慣れた顔が並んでいた。

 このチームの特徴は、前線に並ぶ3人(サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノ、モハメド・サラー)の存在が大きすぎる点にある。外せない選手の上位3人になっていることは、出場時間を見れば明白だ。まずは中盤選手が入れ替えの対象になる。他チームにくらべると頭が重たそうに見える。

 この日は、ジェイムズ・ミルナー(右インサイドハーフ)、ジョルジニオ・ワイナルドゥム(アンカー)とともに、4−3−3の右インサイドハーフとして19歳のカーティス・ジョーンズが先発を飾った。ジョーンズより通常、プライオリティが高いのは、ジョーダン・ヘンダーソンになるが、ここはテストだったのだろう。

 だが、ユルゲン・クロップ監督はこのテストを45分で断念する。ヘンダーソンを後半の頭から投入する采配に、苦戦する姿は浮き彫りになった。

 決勝ゴールが生まれたのは前半35分。左からマネがサラーに送ろうとしたボールを、アヤックスの左SBニコラス・タグリアフィコが自軍ゴールに蹴り込んでしまうという、不運なオウンゴールだった。

 アヤックスは、その2分前にクインシー・プロメスが、その9分後にはドゥシャン・タディッチが、決定的なシーンを迎えていた。後半開始早々には、デイヴィ・クラーセンがポスト直撃弾も放っていた。スコアこそリバプールの0−1だったが、2年前の王者としては喜べない展開が続いていた。

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 南野拓実がクロップ監督に呼ばれたのは、後半10分。ユニフォームに袖を通し、実際にヨハンクライフ・アレーナの土を踏んだのは後半14分だった。CLの舞台に立つのは通算8試合目。ザルツブルグ時代に6試合(510分)。リバプールでは、昨季の決勝トーナメント1回戦、対アトレティコ戦の延長後半8分からの出場だった。

 1点リードとはいえ、劣勢の状態で送り込まれた価値ある出場と言えるが、この時、クロップは一遍に3人を代えていて、ピッチを去った選手は前線の大物選手3人組(マネ、フィルミーノ、サラー)だった。さあこれから佳境という段で、大物FW3人を一挙に代えてしまったこの采配は、意外と言えば意外だった。

 CLは今季も選手交代枠5人制で行なわれる。一方、プレミアリーグは3人制だ。昨季の5人制から従来の3人制に戻している。プレミアのリズムで戦っていては、今後のCLの戦いに影響が出る。使える駒を増やしておかないと、CLの終盤の戦いで息切れすると、クロップが踏んだとしてもおかしくない。

 だが、その代償として、このアヤックス戦を引き分ける、あるいは、落とすというリスクを抱えていた。メンバーを落として戦うことになった、リバプールの残り30分強の戦いが案じられた。だが、心配は杞憂に終わった。0−1のまま終了の笛を聞くことになった。

 そしてアヤックスが徐々にペースを失っていったことに、南野は少なからず関与していた。1トップ、フィルミーノの位置でプレーすることになった南野は、CFのポジションにデンと構えるというよりも、9番と10番の中間に位置する0トップとして、つなぎに積極的にかかわった。

 その結果、支配率は向上し、リバプールのボール回しは安定した。南野はゲームを落ち着かせる役を果たしたのだ。CFとして起用されながら、守備に安定をもたらす役を果たしたことになる。
 
 南野のチーム内での立ち位置、役どころが見えたように思う。相手の反撃精神を削ごうとした時、中盤とFWをつなぐ潤滑油として、機能しそうな選手に見える。

 チアゴ・アルカンタラが加わる中盤は、さらに激戦になることが予想されるだけに、9番と10番の中間型である0トップとしてチームにハマることができれば鬼に金棒。出場時間は延びるだろう。

 ちなみに日本人選手でCL第1節のピッチを踏んだ選手は、南野を含め4人。酒井宏樹(マルセイユ)、中島翔哉(ポルト)、奥川雅也(ザルツブルグ)。酒井は先発フルタイム出場で、他は途中交代出場だった。4人の出場時間は計151分となる。これは日本サッカーのレベルを示す注視すべきバロメーターであることは言うまでもない。

 2連覇を狙うバイエルンはアトレティコとのホーム戦に4−0で快勝。幸先よいスタートを切った。逆に3年ぶりの優勝を狙うレアル・マドリードはホームでシャフタールに敗れ、暗雲を漂わせている。ロナルド・クーマン率いるバルサはフェレンツバロシュに5−1で大勝。交代出場を果たした17歳の若手、ペドリの活躍が目をひいた。

 2021年5月29日、トルコのイスタンブールで行なわれる決勝の舞台に進むのは、どのチームか。長丁場の戦いに目を凝らしたい。

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