名車と暮らせば〜メルセデス「S124」との悲喜こもごも〜 第9回 「E320」で初のロングドライブへ! 650キロ走破で燃費は?

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2020年10月23日 11:32  マイナビニュース

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納車後約1カ月間にわたり、近所のチョイ乗りばかりを続けていた我が「S124」の3号機「E320 ステーションワゴン」。初めてのロングドライブは日本列島で猛暑が続いていた8月の某日、行き先は愛知県の山の中となった。高速と一般道の計650キロを走った道中では、図らずも同じ直6エンジンを搭載するいすゞのボンネットバスに遭遇! 旅の終わりでは気になる燃費もチェックした。

○まるで最新モデル?

愛知に向かったのは、「スカイドライブ」(SkyDrive)による空飛ぶクルマの有人試験飛行を取材するため。紅葉で有名な香嵐渓(豊田市)からさらに奥に入った同市明川町通り洞の山中にある、スカイドライブの開発拠点が目的地だ。

車載ナビの「ゴリラ1300」でルートを探すと、自宅の東京都国立市からは国立府中ICから中央道、圏央道、東名、新東名、東海環状道路を経て豊田松平ICで高速を下り、一般道の県道39号と国道153号を30キロほど走っていくのが良さそうだ。行きの予定走行距離は337キロ。現地集合時間は午後1時ということで、少し早いが午前7時過ぎに自宅を出発した。

当日は平日火曜日の朝ということで、圏央道から東名に合流する海老名JCTの手前で少し渋滞があったけれども、コロナ禍ということもあってクルマの通行量は極めて少ない。新東名はさらにガラガラで、ステアリング右側に生えているクルーズコントロールレバーで制限速度の100キロや80キロ(この日は車線工事中の場所が多く、120キロ区間はわずかしかなかった)にセットしてやれば、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)並みのクルージングが行えた。iPhoneからBluetoothで飛ばし、ナカミチ「CD500」で再生する音楽は手元のアップルウォッチで制御できるので、まるで最新モデルをドライブしているがごとき安楽なドライブだ。

途中の静岡SA(ここもガラガラ)で時間調整をしたにもかかわらず、予定通りのルートで行くとあまりにも早く着きそうだったので、とりあえず新城ICで新東名を下り、一般道で向かうことにした。高速道だけの燃費を知りたくて、出口からすぐの「しんせき大海SS」でフルサービスの給油を受ける。ここまでの走行距離は278キロで、給油したのはハイオク満タン27.6L。ということで、燃費は10.07km/Lを記録した。3号機では初めての2桁燃費となったので、素直に嬉しい。

国道257号や473号などを経由して目的地に向かうルートは高原地帯にもかかわらず、この日の気温は楽々30度超えという状態で、上り坂のワインディングを走り続けると、水温計の針が110度近くまでジリジリと上昇していく。長い6気筒エンジンや周辺機器でびっしり詰まったエンジンルーム内の温度も相当なものになっているようで、ちょっと心配になる。

○過去と未来の乗り物に遭遇!

景勝地の香嵐渓を過ぎたあたりで、道路沿いの駐車場に停められた3台のボンネットバスを発見。聞けば、香嵐渓や足助町の旧市街で団体客などを乗せるための観光バスで、地元の「オーワ・グループ」の所有車とのことだ。いずれも50年以上前のいすゞ自動車製で、続き番号のナンバープレートを取得しているのが素晴らしい。「三河・・・1」は1967年(昭和42年)の「BXD50型ロングボディ」、「三河・・・2」は1966年(昭和41年)、「三河・・・3」は1965年(昭和40年)の「BXD30型ショートボディ」だ。

4灯式と2灯式のヘッドライトを持つその“顔”は、筆者の年代にとってはなんとも懐かしく、郷愁をそそられる。思わずクルマをとめ、記念撮影させてもらった。そのボンネット内に収まるのは、当時名機といわれたDA640型直列6気筒ディーゼルエンジン(6,373ccから130PSを発生)で、燃料は違えどS124と同じ直6エンジンを搭載しているという共通項があって面白かった。

クラシックなボンネットバスを見た後は、未来の乗り物である「空飛ぶクルマ」のテスト飛行を取材。4基の二重反転式プロペラを備えた大型ドローンのような機体(車体?)はパイロット1人を乗せ、取材に訪れた多数の報道陣の目の前をフワリと飛行して無事テストは成功した。同社の福澤知浩代表によると、2023年には大阪の湾岸エリアで実際に客を乗せる事業化を予定しているというから、あながち遠い未来の話でもなさそうだ。

取材が終わったのは午後6時ごろ。過去と未来の乗り物を1日のうちに見ることができて満足した筆者は、再び東京に向け帰路についた。往路と同じコースを戻るのはつまらないので、S124は国道153号をそのまま北上してみた。両側を山に囲まれた道路はすでに闇が迫りつつあり、クルマは全然走っていない。LEDに交換したヘッドライトの白い光に浮かび上がる中低速のワインディングを、エンジンの快音を聞きながら2〜3速を使用して走るのは願ってもないシチュエーション。「直6自然吸気エンジン最高!」といった気分である。

飯田、駒ヶ根、伊那まできて153号を右折。信州伊那アルプス街道で高遠を抜けて峠越えし、茅野市の諏訪ICから中央道に乗り、八王子ICで下りたころには午後11時前になっていた。新城ICからの走行距離は、一般道217キロと高速道155キロの合計372キロ。宇佐美の「八王子インターSS」でハイオク39.97Lを給油したので、帰りの燃費は9.31km/Lとなった。1日のトータルでは、ちょうど650キロ走って65.57Lを入れたので、総合の燃費は9.62km/Lということになる。

2.2L直4の「S124」1号機が長距離ドライブでは常に10〜12km/Lの数字を出していたことを考えれば、今回の数字はどうだろう。320にお乗りの皆様、いかがでしょうか?

原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)
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