9割が女性、はたらき世代で多く発症の「視神経脊髄炎スペクトラム障害」とは?

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2020年10月23日 17:00  QLife(キューライフ)

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1回の再発で車いすが必要な状態になることも

 アレクシオンファーマ合同会社は10月19日、国の指定難病の1つである「視神経脊髄炎スペクトラム障害」(Neuromyelitis Optica Spectrum Disorders:NMOSD)に関するメディアセミナーをオンラインで開催しました。同セミナーでは、NMOSDの専門医で、東北医科薬科大学医学部老年神経内科学教授の中島一郎先生が講演。また、多発性硬化症(Multiple Sclerosis:MS)とNMOSDの情報提供を行う、NPO法人MSキャビン理事長の中田郷子さんとNMOSDの患者さんたちがトークセッションを行いました。

 NMOSDは、中枢神経系に炎症が起こる自己免疫疾患の1つと考えられています。国内の患者数は推計4,300人で、その9割が女性。赤ちゃんから高齢者まで幅広く発症しますが、特に、はたらき世代でもある30代後半から40代に発症する患者さんが多いとされています。

 NMOSDの症状は、視力低下などの目の症状や、しびれ、痛み、まひ、筋力低下などの全身の症状など多岐にわたり、症状の種類や程度は患者さんによって異なります。また、「再発」とも呼ばれる予測できない発作がNMOSDの特徴のひとつで、多くの場合は、再発のたびに障害が増えるといわれています。1回の再発により、失明したり、車いすが必要な状態になったりすることもあります。

NMOSDが社会生活に「とても影響がある」患者さんは、65%が仕事など辞めた経験

 同社は今回、NMOSD患者さんに対し「疾患による生活の負担に関する調査」と、一般の方に対し「疾患認知度調査」を実施。NMOSD患者さんを対象とした調査は、MSキャビンと共同で、患者さんに郵送およびインターネットでアンケートを実施し、355人から回答を得ました(調査期間:8月28日〜9月14日)。一般の方を対象とした調査は、20〜60代の男女500人対象にインターネットで実施しました(調査期間:9月28日〜9月29日)。

 まず、患者さんへの調査の結果、患者さんの感じている症状や困っている症状では、しびれ・ピリピリ感(70.7%)、疲労(65.6%)、痛み(43.1%)など、周囲が気づきにくい症状が上位を占めていることがわかりました。


画像はリリースより

 また、仕事や学校などの社会生活において、NMOSDの症状による影響を受けている患者さんは66.7%(とても影響がある:34.6%、やや影響がある:32.1%)。「とても影響がある(34.6%、123人)」と答えた患者さんのうち、65%が病気のために仕事や学校を辞めた経験を持つことが明らかになりました。この結果を受けて、「NMOSDになることが、かなり(患者さんの)生活に支障をきたしていることがわかります」と、中島先生。中田さんは、「NMOSDの症状は、見た目ではわかりにくく、患者さんによっては痛みのために行動範囲が制限されている場合もあります」とし、「NMOSDへの理解が得られてないことも(今回の結果に)影響しているのかもしれません」と、意見を述べました。


画像はリリースより

 続いて、一般の方への調査では、「NMOSD(視神経脊髄炎または視神経脊髄炎スペクトラム障害)という病気を知っていますか」という問いに対して、「よく知っている/どのような症状、治療があるかを知っている」と回答した人は1.8%、「知っている」と回答した人は2.6%に。「全く知らない」と回答した人は、約8割を占めることがわかりました。中田さんは、NMOSDの認知度の低さが明らかになったこと受けて「NMOSDの社会的理解が進むことを願っています」と、コメントしました。

約4割が確定診断までに半年以上、「NMOSDの日」をきっかけに知ろう


画像はリリースより

 最後に、今回の患者さんへの調査では、患者さんが症状を感じ始めてからNMOSDと確定診断されるまでにかかった期間について、1か月未満が27.0%、1か月〜3か月未満が25.1%という結果でした。また、約4割が確定診断までに半年以上かかったことが判明し、その中でも、5年以上要した患者さんは13.8%でした。

 トークセッションに登壇した患者さんも、「なかなか、NMOSDの確定診断がつかなかった」という患者さんの1人。症状は足や全身に現れ、症状の程度は「車いすにうまく乗れなくなるほどだった」そうです。この患者さんは、複数の医療機関を受診したものの、ストレスなどを理由に症状が生じる「心因性の病気」だと説明を受けるなどして、NMOSDの診断までに7〜8か月ほどかかりました。このような患者さんの体験談を受けて、中島先生は「神経内科など、NMOSDの専門医に診てもらうことが大切です」と、コメントしました。

 10月24日は「NMOSDの日」。「NMOSDを知らなかった」という方は、まず、病気について知ることから始めてみてはいかがでしょうか?(QLife編集部)

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