33歳貯金2000万。祖父母の介護のためセミリタイアを検討

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2020年10月25日 20:12  All About

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写真家計の悩みにお答えする「マネープランクリニック」。相談者は介護の心配が出てきた祖父母の面倒をみるためにどうすべきを悩む33歳の会社員男性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
家計の悩みにお答えする「マネープランクリニック」。相談者は介護の心配が出てきた祖父母の面倒をみるためにどうすべきを悩む33歳の会社員男性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

33歳、セミリタイアをするなら、何年後が望ましいですか

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、介護の心配が出てきた祖父母の面倒をみるためにどうすべきを悩む33歳の会社員男性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

本多静六さん(仮名)
男性/会社員/33歳
東北地方/実家

家族構成

祖父(無職/80代後半)、祖母(無職/80代後半)、母(アルバイト/60代)

相談内容

良い仕事に就けていると思うが、残業も多く、かつ出張が多くて家族をみてやることができないのが心苦しい(※出張手当は通年で70万〜80万円程度。多いときで通算で年3分の2は出張になる)。最近は祖父祖母の入院・介護の心配が出ており、今は母がアルバイトで働きながら面倒をみているが、自身も高齢となり疲れてきているのがわかる。

しかも、他の兄弟たちは経済面で共にアテにできない。対して、自分は売れ残りもあるが、長男であるため家に残っている。そして、今まで家族の生活のためにと今の仕事を続けてきたが、それができ難くなってきたため、より家族を近くで見れるよう、今後の働き方として以下の3つの選択肢を考えました。

(1)アルバイト・パートなどで手取り7万〜8万円程度のセミリタイア
(2)転勤無し残業無しの転職手取り10万〜15万円程度の転職を目指す
(3)資格取得(社会保険福祉士)のために4年間、通信大学で勉強し、その後、介護職に就職

具体的な行動時期は決めていませんが、それぞれ選択した場合、自分自身の今後、老後にかかるリスクはどのくらいか。また、もし(1)が可能なら何歳からできるかをご教授いただきたいです。(2)を選択の場合、実家に入れる9万円を免除してもらうよう交渉する予定です。(3)の場合は就学期間中の免除。親が言うには私が生活費を入れなくても親自身の蓄えで何とかなるかも知れないとのこと。

細かい内容は知らないが、現在の私の入金9万と親のアルバイトの収入で実家の家計が現状維持になっていると思われます。持ち家は私が引き継ぐと思いますが、田舎特有の大きいが古い戸建なので、最低限のリフォームに500万〜1000万円程度を想定しつつも、最低限まで予算を削って住めればと考えてます。以上、駄文長文申し訳ありませんが、ご指南のほどよろしくお願いいたします。

家計収支データ

本多静六さんの家計収支データは図表のとおりです。
相談者「本多静六」さんの家計収支データ


家計収支データ補足

(1)ボーナスの使いみちについて(昨年例)
財形貯蓄14万円、家電購入と自宅リフォーム40万円、ふるさと納税と家族へのお年玉50万円、残り貯蓄

(2)投資について
年間、200万円程度を運用に回している。投資経験は3年程度。初年に200万円の損失を出し、来年あたりで収支がゼロになる予定。企業型DCは、月額2万7500円を会社とマッチング拠出で、8%程度の利回りが出ている。

(3)退職、セミリタイア等の理由について
収入は下がるが家族のそばにいる時間に増やすことと、セミリタイアかそれに近い生活(仕事に追われない生活)を相談者自身も希望している。

(4)電気ガス水道代について
自宅全体の分をまとめて負担している。

(5)結婚について
相談者コメント「今のところ予定はありません。結婚の意思はありますが、親・祖父母との同居になる可能性が高く、相手に介護の負担を与えるのは気が引けるので、乗り気ではありません」

FP深野康彦からの3つのアドバイス

アドバイス1:「介護は本人の資金から」が基本
アドバイス2:何を選択するかは祖父母の資産内容で決まる
アドバイス3:現実的には正社員の転職を目指すという選択肢

アドバイス1:「老後は本人の資金から」が基本

祖父母のお2人を思われていることに大変感心いたしました。しかも、現在すでにご実家に9万円を入れ、水道光熱費も負担している。なかなかできることではありません。

ただし今後、本多さんがすべてを背負うことはないと思います。「兄弟は経済的にアテにできない」とのことですが、高齢者の面倒や介護は経済的負担だけでなく、時間・手間も費やさないといけません。

ご家族の年齢を考えれば、これからどんどんその負担は増えるはず。他のご兄弟との関係性や状況はわかりませんが、経済的負担が無理なのであれば、それ以外の部分で負担し合えるよう、少なくとも話し合いはすべきではないでしょうか。

もうひとつ。介護費用がかかるようになった場合、まず公的介護保険の適用範囲内(介護サービスに発生する費用の1割が自己負担)での介護をひとつの目安と考え、かかるコストも祖父母の公的年金や預貯金から捻出する。つまり、介護費用は受ける人のお金で。具体的な介護方法は、担当するケースワーカーと相談して決めていくわけですが、マネープラン的にはこれが基本的な考えとなります。

家族なら出してあげたい気持ちもわかりますが、止むを得ないケース(資金がほとんどない、どうしても高額な介護サービスが必要など)を除き、かかるコストは自身の資金から捻出してもらう。これを原則としてください。

アドバイス2:何を選択するかは祖父母の資産内容で決まる

さて、本多さんのご相談ですが、今後の働き方をどうするか……。相談文にあるように、ご自身で選択肢を3つ用意してくれましたが、もっとも非現実的なのが(1)です。家族のサポートだけを考えれば、もっとも有効でしょうが、大幅な収入減となり公的年金の受給額もダウンしてしまいます。

現在、投資に回している資金も加えれば、年間150万円近く資産を増やしている。それがほぼゼロになります。それどころか、月7万〜8万円の収入であれば、今ある貯蓄を取り崩すことになります。現在の金融資産は評価額も含めて2760万円。これが増えることなく、老後に向けてどんどん減っていく状況は避けなくてはなりません。

もし(1)を選択したいなら、今の仕事を10年、43歳まで続けたい。それで資産が1500万円ほど増えますから、その後であれば、資金的には可能だと思います。しかし、それでは祖父母とも100歳近い年齢ですから、「家族のそばにいる」という希望は果たせないかもしれません。

もちろん、本多さんが考えているように「実家に入れている9万円を免除」できるなら、月12万〜13万円の収入を得られることで、条件を満たします。しかし、それが可能かどうかはまだ不確定です。

そのためにも、できれば早いうちに、祖父母の資産内容は把握しておきたい。年金の受給額がいくらで、金融資産はどの程度保有されているのか。また、基本的な生活費も知った上で、必要な経済的支援を本多さん自身がしっかり試算しておくことが必要だと考えます。

アドバイス3:現実的には正社員の転職を目指すという選択肢

その結果、やはりある程度は資金援助が必要となれば、(1)の選択はおススメしません。そして、もっとも現実的で資金的リスクの少ない選択肢が(2)となります。この場合も、条件としては、貯蓄の取り崩しをできればしないで、収入の範囲内で生活していくということ。したがって、得られる収入にもよりますが、実家に入れている月9万円も多少減額は必要となるでしょう。

また、祖父母のお2人にある程度の経済的余裕があるなら、選択肢として(3)を選ぶこともできると思います。しかし、少なくとも勉強する4年間は無収入か、せいぜい学生のアルバイト程度の収入しか得られません。したがって、本多さんが言うように、一時的に実家への経済的支援は停止するか、大幅に減額してもらう必要があります。それに耐えられるだけの資産が祖父母にあるかどうか、ということです。

また、どれを選択するにしても、今以上の収入は望めないとするなら、今後は金融資産を「増やす」よりは「守る」、あるいは「減る速度を極力抑える」ことが重要になってきます。要は、あまりリスクは取れないということです。

ところが、今の金融資産のバランスを見ると、個人向け国債を元本保証の商品としても、貯蓄と投資の比率は1対3。これを少なくとも逆転させ、貯蓄「3」に対し投資「1」の配分にはしたいところ。今後、利益の出ている投資商品から徐々に売却し、貯蓄の比率を高めべきでしょう。

相談者「本多静六」さんから寄せられた感想

アドバイスいただけて誠に感激しております。ありがとうございました。また、アドバイスいただけたのも尊敬する深野康彦先生で大変感謝しております。いつもほかの方々へのアドバイスを、楽しく拝見させていただいておりました。

ためになるアドバイス、誠にありがとうございました。自分の人生、決断は全て私が決めなければいけないことではありますが、環境を変えることへの不安や迷いなどから、今回アドバイスをいただくというかたちで深野先生にお手間を取らせてしまいました。いただいた助言の通り、まずは家族の状況の把握に努め私と家族皆が最善に過ごせるよう生きたいと思います。ありがとうございました。

教えてくれたのは……深野 康彦さん  

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:清水京武
(文:あるじゃん 編集部)

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