中学では最速114キロの7番手。 学法福島の左腕が成長→ドラフト候補へ

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2020年10月26日 06:52  webスポルティーバ

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「これは高校生か⁉︎」と思うような選手が、中学の硬式野球を取材していると時折ある。全国大会上位になればなおさらだが、2017年のリトルシニア日本選手権で見た神戸中央リトルシニアもそんな"タレント軍団"のチームだった。

 この大会で3位に躍進すると、中学硬式野球の日本一を決めるジャイアンツカップでも8強入り。そんな彼らの試合を見ていたはずだが、今年プロ志望届を提出した神戸中央リトルシニア出身の左腕・辻垣高良(学法福島/左投左打、181cm)の印象はというと、失礼ながらまったく記憶にない。




「同学年だけでも30人近くいて、投手のなかでは7番手か8番手くらいでした。リトルシニア日本選手権もジャイアンツカップもベンチには入っていません」

 当時、辻垣の姿はマウンドではなく、スタンドにあったのだ。そんな男がいかにして"ドラフト候補"へと成長を遂げたのか。

 学法福島は福島県福島市にあり、正式名称は学校法人松韻学園福島高等学校。仙台育英で多くの実績を残した佐々木順一朗監督が就任した学法石川高校と混同されることは多いというが、まったくの別法人である。

 国学院大OBの藤森孝広監督のもと、昨秋の福島大会を53年ぶりに制した。その原動力となったのが、今や最速143キロを投げるまでに成長を遂げた辻垣だ。

 地元だけでなく、辻垣のように関西や関東からも選手が来ているが一線級の選手はなかなか来ない。藤森監督が「お預かりした選手を人間として必ずプラスにしてお返しするという感覚です」と話すように、そうした積み重ねで信頼を得て、さまざまな選手が縁や紹介で福島にやってきている。

 辻垣も中学時代の実績は皆無で、同じく神戸中央リトルシニアではレギュラーではなく高校でバッテリーを組む梅田誉希とともに福島へやって来た。ヒジや腰の故障の出遅れでメンバー外とはなっていたが、神戸中央リトルシニアの山田高広監督からも「焦る必要はない。高校、大学で勝負しろ」と励まされていたこともあり、「自信をなくすことはありませんでした」と振り返る。

 それゆえに高校入学直後の第一印象について藤森監督は「"控えの投手"っぽさがなく、堂々としていて"関西人だなあ"と思いました」と笑う。

 当初はアーム式の投げ方だったが、それを修正して投げ込むとともに、強豪相撲部で四股を踏むなどトレーニングを積み、柔軟性やバランス能力を身につけた。

 それよりも大きかったのが、「試合で投げられる喜びです」(辻垣)という気持ちの面だ。中学時代には味わえなかった自らが試合を動かすという感覚を得て、さらに成長は加速。昨年夏の聖光学院戦でもチームは敗れたが、辻垣は好投し自信を深めた。

 秋は大会直前の練習試合で打球が顔面を直撃して歯を2本折ったが、それも関西弁で笑い飛ばし、福島の頂点に立てた要因になったと振り返る。

「顔面にバッチンと食らいました。スピードガンのある球場やったんで、球速を意識して調子に乗ってたんやと思います。甘いところに入って、思いきり振り抜かれて。そこからコントールへのこだわりが強くなりました」

 こうした前向きな姿勢は日常でも変わらず、会話や取材でも貪欲に話を聞き、質問も積極的にする。

◆ドラフト1位指名候補はこの12人だ!>>

 チャレンジ精神も旺盛だ。9月上旬に東京ドームで行なわれたプロ志望高校生合同練習会では、高校野球の公式戦では禁じられている二段モーションで挑み、打者7人に対して1安打5奪三振1四球。許した安打も内野安打の1本のみだった。その時は右打者の外角をうまく使って投球したが、スカウトが学校に視察しにきた際には、逆に右打者のインコースを鋭く突いた。

「辻垣は大事な時ほど思いきりチャレンジができるんです」と藤森監督は感心する。また、ある球団のスカウトも辻垣について「あの子の性格はプロ向きですね」と語っていた。

 10月26日のドラフトでは、当然、支配下指名を目指すが、育成でもプロに進むという。中学時代に114キロだった最速は143キロとなり、まだまだ伸びる要素は十分にある。

 かつては巨人で活躍したアレックス・ラミレス(DeNA監督)に憧れていたという辻垣だが、現在の憧れの選手は「力感なく150キロを投げられるようなギャップのある投手になりたいです」と中日・大野雄大の名前を挙げる。

 好きな言葉は神戸中央リトルシニアで言われていた「闘志なき者は去れ」だ。登板機会は少なかったが、山田監督から「エースの風格がある。おまえが一番闘志を持ってピッチングをしている」と言われたことが大きな自信になったと、辻垣は語る。

 闘志と探求心と人懐っこさ。成長に欠かせない要素をいくつも持つ辻垣が、「刺激しかないと思います」と話す世界に入った時、はたしてどんな化学反応を起こすのだろうか。高校時代同様、予想もつかないような変貌を遂げるのではないかと期待せずにはいられない。

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