暴力団の組長争い? 60年続く『のぼりべつクマ牧場』“歴代ボス”の紹介文が話題「性格が顔に出るのは人間と同じ」

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2020年10月26日 07:30  ORICON NEWS

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写真昭和63年から平成5年まで長期政権を維持し、最後までボスとしての気力を持ち続け健気に一生を全うした13代目フミオ
昭和63年から平成5年まで長期政権を維持し、最後までボスとしての気力を持ち続け健気に一生を全うした13代目フミオ
 昭和33年に開園し、世界で初めてヒグマの多頭集団飼育に成功した『のぼりべつクマ牧場』。その背景には、群れを圧倒的な力でまとめあげる“ボス”グマの存在がある。“ボス”は数年ごとに世代交代しており、その紹介文のストーリー性が反響を呼んでいる。小柄ながら、陰険さによって政権をものにした4代目。10代目の代は、小競り合いが絶えず、牧場も戦国の世と化した。一方、特に若いクマからの信頼が厚かった17・19代目はボスの座から一度は落ちたものの、周りのクマに推されて再びボスの座に返り咲いた。現在、約70頭のヒグマを飼育する同牧場の坂元さん(飼育歴33年)、鳴海さん(歴29年)、吉見さん(歴6年)にボスの適性や世代交代の仕方、クマの“人間らしい”一面などを聞いた。

【画像】『戦国の世と化した』イッペイに『史上初のボス返り咲き』サチオほか、歴代ボス紹介文一覧

■「慰めてやりたいくらい」ボスの座を退くと、数日間ひたすら落ち込むクマも…

――約70頭いる中で、どのようなクマがボスとなるのでしょうか。

【吉見さん】その年のメンバー・状況により様々なボス争いが繰り広げられます。ボスは、他個体には圧倒的にケンカの強いクマとして認められることで、ケンカを抑制し、争いが減少します。飼育員は、その強さに関連するケンカの勝敗や繁殖期に頻繁に見られる背こすり(マーキング)の頻度、それらに個体の性格を加味してその年のボスを決定しています。ボスグマは、他個体からも飼育員からも認められた存在です。

――ボス不在期間もあるようですが、ボスがいない際の群れはどのような状態に陥るのでしょうか。

【鳴海さん】力の強い第1位のクマ「ボス」がいると、定期的に牧場内を巡回(みまわり)し、自分の力を誇示します。これは、他のクマを圧倒し不要なケンカをなくす効果もあります。また、ボスにはケンカの仲裁も見られます。仲裁といってもケンカの中に割り込んで行き、今までケンカをしていたクマが、ボスという自分より強いクマが来たことにより、とばっちりを受けたくないためその場から離れ、結果的にボスが仲裁したように見えます。そのため、ボスが不在だと、ケンカが多くざわざわとした不安定な群れとなる傾向にあります。

――ボスの世代交代はどのようにして行われるのでしょうか。

【鳴海さん】毎年5月から7月中旬の発情期に、ボス争いに関わる動きがあります。力を付けてきたクマがボスに対して挑み、その多くは1対1の直接対決で行われます。1度の対決で交代する時もあれば、ボス争い期間中に数回の対決がみられることもあります。ここで勝利したクマがボスの座に就きます。まわりのクマたちもそれを感じ取り、ボスとして認めます。ボスを決定する期間中に第1位となったクマは、マーキングの回数も他に比べかなり多くなります。ボスの座から退くと、慰めてやりたいほど数日間ひたすら落ち込むクマもいます。

■クマ牧場の始まりは、孤児の小グマを救うため「北海道のヒグマを滅ぼしてはいけない」

――現在のボス・ダイキチにどのようなボスになっていってほしいですか。

【吉見さん】ダイキチは、今年で8年連続ボスの座に輝きました。ボスとなるクマは性格が優しいクマが比較的多いと聞いていますが、ダイキチの性格は優しいという言葉で表すのは難しく、身にまとう雰囲気が他個体とはまるで違います。威厳を放つ風格で、心の奥底に優しさが垣間見えるというような感じでしょうか。体の大きさと他個体の力を借りてボスとなっていると思いますので、力づくでボスの座を維持するのではなく、他の個体から尊敬されるような魅力的なトップになってもらえればなと思います。

――今後、ダイキチ率いるクマたちにどのような群れに成長していってほしいですか。

【吉見さん】ボス争いが行われる第一牧場には、現在5頭のオスグマが生活しています。全て同じ年にのぼりべつクマ牧場で生まれた、14歳(2020年現在)のクマです。同じ年に生まれ、14年間生活を共にし、他の年代が同居していた時には、ボス争いの時期に活発になる行動を皆で封じこめてきました。これまで同年代だけでの展示はなく、現在の群れの絆はどこよりも強いと思います。のぼりべつクマ牧場の顔として、魅力あふれる大人の群れになっていってほしいです。

――国内でヒグマの飼育例はいまだに少ないですが、初めにヒグマを飼うきっかけは何だったのでしょうか。

【坂元さん】クマ牧場が開園したのは昭和33年です。当時の北海道は、ヒグマを害獣と位置づけて積極的に駆除していました。クマの動きが鈍い冬眠中や冬眠空けを狙っての捕殺(春グマ駆除)も行われていました。ヒグマは冬眠中に出産しますが、春グマ駆除で母グマが捕殺され、孤児となった子グマが全道各地に存在していました。クマ牧場の創業者(故・加森勝男氏)は、ヒグマが絶滅に追い込まれている状況を憂い、北海道のヒグマを滅ぼしてはいけないと全道から孤児の子グマを集めてクマ牧場を作ったのが始まりです。

――ヒグマを飼育する上で、どのようなことが大変ですか。

【坂元さん】ヒグマは特定動物に指定されており、飼育施設や管理方法にも厳しい基準が設けられています。飼育しているヒグマが逃げ出さないように管理することが、大変というかとても気を付けないといけないことです。好きで就いた仕事なので、ヒグマの飼育に関してはあまり大変だと感じる事はありませんが、個人的には歳を取るにつれ体力の衰えを感じ、力仕事(麻酔したクマの体勢を変えたり、引っ張って移動させたり、重い餌を持ったり、などなど)が大変になってきました。

■400kg超えるクマも「人間と似ている」じゃれ合い、おねだり、実はビビりな一面も

――クマは一般的には獰猛なイメージがあるかと思いますが、近くで見ていてどのような動物だと思われますか。

【吉見さん】私ものぼりべつクマ牧場に入社したときは、クマという動物は“怖い”というイメージを持っていました。飼育員になりたての頃は、クマの威嚇の声が獣舎内で鳴り響くと、恐ろしくてとても心臓が高鳴っていました。エゾヒグマはオスの個体ですと、40キロを超える程大きな動物です。クマ牧場では、ときどき威嚇やケンカの時の声が大きく響きます。野生ではクマが身の危険を感じた際には襲ってくることがあるため、人間が負傷するなどの報道がされています。その報道により多くの人が“クマは獰猛”などのイメージを持たれていると思います。

しかし、飼育していくうちにクマへ抱いた感情は怖いだけではなくなりました。クマには1頭1頭個性があり、性格が全く異なります。仲良しなクマとはじゃれ合い遊びますし、時には一人でひっくり返って木やエンリッチメント器具とじゃれ合ったりもします。餌が欲しい時には、自らの持ち合わせる最高のパフォーマンスでお客様におねだりします。怖いだけでなく、可愛さを兼ね備えた唯一無二の日本最大陸上動物であると思います。

――クマの意外な一面や驚いた行動などがあれば教えてください。

【吉見さん】人間など一瞬で殺せるほどの力と体格を持ち合わせているのにも関わらず、初めて見るものや聞く音、大きな音を怖がり逃げる様子を見せたりする意外とビビリな一面があること。自分の50分の1サイズ程のヘビを怖がり、嫌うこと。基本的にはとても静かな動物で、餌を待つ際も1頭でいる時は静かに待つこと。背こすり行動を、木々や壁ではなく、床や他個体に背をこすりつける行動を見せたこと。野生では単独行動をするクマだが、仲良しグループを作り、一緒に行動することです。

――『歴代ボス紹介文』に対し、「性格が顔に出るのは人間と同じ」というコメントも多く寄せられていましたが、クマを見ていて人間と似ていると感じることもありますか。

【鳴海さん】クマも性格が顔に出ます。気の強いクマはきかない顔だったり、おとなしいクマは優しい顔だったりします。しかし、かわいい顔をしていながらすごく陰険な性格だったり、すごく恐い顔をしているのにやさしい性格だったりするクマもいて、ある意味人間と似ています。また、恋の季節になるとオスは素行不良になり、メス同士は急に仲良くなったり、悪くなったりします。でも恋の季節には、オスはメスに対しては恐ろしいほど紳士的になります。オスはいつまでも子どもっぽく、メスはすぐに大人の雰囲気になります。

――個性あふれるクマの展示を通して、どのようなことを感じてほしいですか。

【吉見さん】のぼりべつクマ牧場には、様々な性格のクマが約70頭います。オスの展示場ではオスならではの体格や迫力。メスの展示場では個性あふれるおやつのアピールや、クマ同士の関係性。1日2回行っている「クマのアスレチック」というイベントでは、クマの運動能力や頭の良さなどを感じていただけると思います。ヒグマは季節によって体格は大きく変化します。冬に向かう秋には沢山の餌を食べて皮下脂肪を蓄え、野生では冬ごもりの時期となる冬は、1年で一番動きが鈍くなります。春から夏にかけては恋の季節がやって来て、ボス争いが繰り広げられます。1年を通してクマ牧場のクマを見ていただければ、クマの体や行動の変化を感じていただき、クマとはどのような動物なのか、野生のクマとの関わり方などを感じていただけると思います。是非のぼりべつクマ牧場へお越しいただき、クマの事を身近に感じていただければ嬉しいです。

このニュースに関するつぶやき

  • 頭頂の形が平らなのは?�� クマ同士の抗争の名残ですか?
    • イイネ!2
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  • クマ牧場って経営が傾いたり飼育が適当だったりした場合最悪凄惨な事件がおきたりしますよね…(;・ω・)
    • イイネ!21
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