モトローラのスマホは「2019年度比で倍以上に」 ハイエンド機にも意欲 松原社長に聞く

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2020年10月26日 13:22  ITmedia Mobile

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写真トリプルカメラや5000mAhバッテリーを搭載して2万4800円(税込み)という価格を実現した「moto g9 play」
トリプルカメラや5000mAhバッテリーを搭載して2万4800円(税込み)という価格を実現した「moto g9 play」

 モトローラ・モビリティ・ジャパンが10月26日、ミドルレンジモデルの「moto g9 play」と、ビジネス仕様を充実させた「moto g PRO」の2機種を発表した。いずれもSIMロックフリーモデルで、前者は直販で2万4800円、後者は3万5800円(いずれも税込み)とリーズナブルな価格を打ち出している。いずれも、同社にとってのボリュームゾーンになる「gシリーズ」で、ラインアップの幅を広げた格好だ。



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 ミドルレンジモデルの販売が上向いていることを好機と捉え、同社は日本での事業をさらに拡大しようとしている。その一環として、7月1日には松原丈太氏が社長に就任。前任のダニー・アダモポウロス氏はアジア・パシフィックを中心とした日本以外の地域担当を兼任していたのに対し、松原氏は日本市場の専任となる。事業拡大に向け、社内体制も強化しているようだ。



 ユーザーにとっても、今まで以上にモトローラ端末の選択肢が増えることになりそうだ。松原氏は、ハイエンドモデルも含め、モトローラ端末のバリエーションを広げていきたいと語る。就任初年度ながら、4月から始まる会計年度単体で見たときの端末数も、2倍以上に拡大していくという。そんな松原氏に、社長就任の経緯や意気込みを語ってもらった。



●もっと日本に注力するというトップの判断



―― まずは、社長就任までの経歴などをお話しいただけないでしょうか。



松原氏 もともと大学時代は理系のエンジニアで、ソフトウェアの分野から通信に興味を持ち、キャリアのスタート時点からずっと通信畑を歩んできました。最初に入社したのが、まだ分割前だったNTTです。そこではソフトウェアエンジニアとして仕事をしていましたが、いつからか、モバイルに興味を持ち、最初はインフラ、そこから徐々にハンドセットへと移っていきました。ハンドセットメーカーとしては、以前HTC Nipponにいましたが、そういったところを経由して、憧れだったモトローラに来ることになりました。



―― やはり、通信と言えばモトローラですか(笑)。



松原氏 この業界にいると、憧れのようなものがありますね(笑)。



―― 端的に言って、日本での事業を強化するためという理解でよろしいでしょうか。



松原氏 ダニー(アダモポウロス前社長)はものすごくエネルギッシュな人間で、今もAPAC(アジア・パシフィック)を見ています。彼のおかげで土台ができましたが、もっともっと日本に注力したいというトップの判断があり、日本のメンバーも増強しています。より面白い端末も、どんどん出していきたいと考えています。



●2020年度は前年度比で倍以上の端末を出す



―― その一環が、今回発表したmoto g9 playとmoto g PROでしょうか。



松原氏 モトローラとして目指したいところはいろいろありますが、g9シリーズはどちらかというとリーズナブルな価格で、皆さんにどんどん使っていただけることを考えたものです。こういった品質が高く、動きも軽快なスマートフォンはどんどん出していきたいですね。モトローラの会計年度は4月からですが、今年度(2020年度)は前年度比で倍以上の端末をリリースできればと考えています。



―― moto g PROは、スタイラス内蔵でビジネス利用を強く打ち出しています。法人市場にも取り組んでいくのでしょうか。



松原氏 重点販路としてやっていきたいと考えています。法人に販売するには、法人ならではのサポートがあり、そういったきめ細かなところには今まで対応できていませんでした。それには力を入れていきたいと考えています。



―― グループのレノボの力を借りることもあるのでしょうか。



松原氏 レノボの法人営業と組んで、そのチャネルを生かしながら提案していくことも、積極的にやっていきたいですね。



●ビックリするようなハイエンドスマホも出したい



―― 先ほど、目指すところがいろいろあるとおっしゃいましたが、ミドルレンジ以外にも広げていくという意味合いでしょうか。



松原氏 SIMフリーの端末は格安スマホと呼ばれることもあり、消費者の意識や関心も高くなっています。ここには、しっかりといいものを出し続けていきたいのですが、それだけではつまらない。皆さんが「こんなものもあるんですか!?」とビックリするようなものにもチャレンジしたいですね。ご存じかと思いますが、モトローラはグローバルだと、ハイエンド端末が顔になっていて、評価も高い。それをそのまま日本で出すとなると、投資という意味でなかなか大変な面もありましたが、そこも積極的にやっていきたいと考えています。



―― 例えば、(razrなど)折りたためたりとか(笑)。就任記念にぜひお願いします。



松原氏 就任したんだからやってくれと、本社にねじ込んでいる最中です。バリュー・フォー・プライスばかりではつまらないですし、携帯業界が停滞してしまいます。製品に限らず、サービスもいろいろなことを考えていきたいですね。



●FeliCaの対応も前向きに検討したい



―― 一方で、他のメーカーを見ると、日本市場へのローカライズも積極的に行っているところもあります。こちらについては、松原さんが就任されて、何か変化はあるのでしょうか。



松原氏 ゆくゆくは、そういったところまで考えていきたいですね。日本のコンシューマーのユニークなリクワイアメント(要求)は確かに存在します。こちらについては、徐々に体制を整えながら対応していきたいと思います。



―― FeliCa対応も望まれていると思います。



松原氏 そこは、日本の消費者と向き合う上で、避けては通れません。前向きに検討したいと考えています。まだまだニーズはありますからね。



―― 松原さんが社長に就任されて、組織的にも変わっていくのでしょうか。



松原氏 1つのコミットメントの側面ですが、私はシカゴのCFO(最高財務責任者)に直でレポートする形になっています。一般的には、カントリーを任される人間と本社の間に、別の人間が入りますが、日本は重点的に見ていく国ということで、ダイレクトな組織になっています。日本は、まだまだこれからも増強していきます。まだそんなに大きな組織ではありませんが、モトローラのいいところは、全世界からのサポートを受けられることです。ファイナンスのバックアップはインドの人たち、製品はブラジルやシカゴ、生産は中国と、日本のチームはまだまだ小さいですが、全世界からバックアップしてもらえます。そのぶん、会話がとんちんかんになることもありますが(笑)。



●右肩上がりで成長を続けている要因は?



―― ダニーさんが社長をされていたころは、業績が右肩上がりというお話がありました。それについては、今も続いているのでしょうか。



松原氏 数字は公開できませんが、かなりの割合で右肩上がりになっています。ただ、コロナの影響はご多分に漏れずありました。年度の始まりに影響が出ています。ただ、そのぶん市場も変わっていきますし、ユーザーの意識としてオンライン化がどんどん進んでいるので、チャンスもあると捉えるようにしています。



―― その成長要因は、どう分析されていますか。



松原氏 他社のことはなかなか分かりませんが、大体(通信の)ジェネレーションが変わるときには、ギャップができ、メーカーが入れ替わることがあります。今からそういったタイミングが来ると思っているので、他社もいろいろ考えているとは思いますが、モトローラはモトローラの強みを掘り下げていきたいと考えています。



―― その強みとはどういったものでしょうか。



松原氏 1つはクオリティーだと思っています。ここは長年の経験があり、鍛え上げられています。それと、バリュー・フォー・プライスですね。お求めやすい価格で、十分な機能の端末を出していくことができます。他にも強みはいろいろありますが、今後リリースしていく製品の中でぜひご確認いただければと思います。



―― ブランド力も、その1つでしょうか。



松原氏 それもあります。モトローラはアメリカ発のブランドですが、多様化していて、世界中で協力しながらビジネスを回しています。そういった多様性をアイデンティティーとして大事にしています。私たちのブランドがどういうものであるかは、もっと分かりやすい形で皆さんにお伝えしていきたいと考えています。また、認知度はまだまだ上げていく必要があります。私たちならではの方法で認知を上げ、ブランドを知っていただきたいですね。



●5Gの流れは間違いなく来ている



―― もともと通信機器ベンダーだったこともあり、5Gに関しても取り組みが早かったと思います。



松原氏 グローバルでは5Gのリーダーの1社として、いろいろな市場で先駆けて端末を出していますが、日本に関しては現時点でまだ5G端末を出せていません。SIMフリー市場の中で、5Gがどうなるのかといったところもあります。とはいえ、5Gの流れは間違いなく来ています。ネットワークが成熟して、MVNOとお話できるようになれば、柔軟に考えていきたいですね。



―― 今後、SIMフリー市場にはどう攻めていくのでしょうか。



松原氏 5Gになれば、市場も変わってきます。新しいプレイヤーが入ってきて、料金に対する考え方や、端末に対する考え方にも徐々に変化が出てきています。そんな中で、モトローラはユニークな立場にいると思っています。日本ではブランドの認知度がまだまだ低いので、ここは上げていく必要がありますが、そのブランドをきちんと生かしながら、よりよいものを出していきたい。いろいろな意味でビックリするものも出していきたいと考えています。



 特にスマートフォンは、消費者にとって一番パーソナルな道具で、常に身に着け、寝る時ですら枕元に置いています。これを安心して使えることはアピールしていきたいですし、モトローラは、そういったことをアピールできる面白いポジションにいると考えています。



●取材を終えて:ハイエンドとローカライズにも期待



 松原氏の社長就任は、モトローラが日本市場でさらにアクセルを踏むための一環だったことがうかがえる。割引の制限や分離プランの浸透もあり、ミドルレンジモデルに注目が集まっている一方で、メーカーとしての“顔”はやはり技術の粋を集めたフラグシップモデルで作られていく。



 発表された2機種は、いわゆる売れ筋のミドルレンジモデルだが、インタビューでのコメントを聞く限り、フォルダブルスマートフォンを含むハイエンドモデルの登場も可能性が高まっているといえそうだ。日本市場を重視する一環として、FeliCa対応を含むローカライズにも期待したい。


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