京都大学がAIによるアイヌ語の自動音声認識・合成に成功

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2020年10月27日 07:01  Techable

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京都大学は、アイヌ語の音声の自動認識・合成を行なう人工知能の開発に成功したと発表した。
消滅危機にあるアイヌ文化今回の研究は、アイヌ文化の多くが口頭で伝承され、アイヌ語は2009年にUNESCOにより「極めて深刻な」消滅危機言語に認定される事態となっている背景を受け進められていた研究。以前から、口頭伝承を録音・記録する活動が様々に行われてきたが、その書き起こし・アーカイブ化には膨大な手間と アイヌ語の知識を必要とするため、多くが未整備となっていた。

そこで同研究グループは、文化庁「アイヌ語のアーカイブ作成支援事業」を活用してアイヌ語アーカイブの構築に取り組んでいるアイヌ民族博物館や平取町立二風谷アイヌ文化博物館と協力しながら、2017年からアイヌ語の自動音声認識・合成(AINU語AI)の研究開発に取り組んできたという。
高い認識率研究では、提供された民話の音声データを分析。その結果、音節を単位として用いることでニューラルネットワークにより94%の音素認識率・80%の単語認識率が実現できることを示すことに成功した。この結果は、アイヌ民族博物館において音声と書き起こし同期のための対応付けに活用されており、1時間のデータに対して、人手で1日要する作業がほぼ完全に自動化できることになったという。

今後は、長時間の録音の中から、日本語の会話とアイヌ語で語っている区間を自動的に識別し、アイヌ語区間について書き起こしにとどまらず、話者や話題を同定する方法について取り組む予定であることも発表されている。

京都大学のAIにまつわる取り組みといえば、モノクロ動画のカラー化に取り組む京都大学発のグループ「十人十色」によるクラウドファウンディングでの「ローマの休日」全編カラー化プロジェクトが2週間で250万円超の調達を達成したことも話題に。同グループは、最新のAI技術と画像処理技術を使い「ローマの休日」の全編フルカラー化に取り組む予定で、9月末の時点で応援購入総額は250万円超、達成率は500%を超え非常に注目を集めており、こちらのプロジェクトにも注目したい。

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