セ・リーグで最も「将来に適した指名」できた球団は?【2020ドラフト採点簿】

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2020年10月27日 16:00  AERA dot.

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写真中日からドラフト1位指名を受けた中京大中京・高橋宏斗 (c)朝日新聞社
中日からドラフト1位指名を受けた中京大中京・高橋宏斗 (c)朝日新聞社
 新型コロナウイルスの影響で史上初めて球団ごとに部屋を分けて、リモートという形で行われた今年のドラフト会議。支配下で74人、育成で49人の合計123人が指名される結果となったが、補強ポイントやチームの将来に適した指名ができた球団はどこだったのか、採点してみたいと思う。今回はセ・リーグ編だ。

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■中日:90点

 高校生ナンバーワンはおろか、将来性を含めれば今年の目玉の一人とも言える高橋宏斗(中京大中京)の単独指名に成功。地元優先の路線には疑問が残るが、高橋はそういう事情も関係ないレベルの投手であり、この指名だけでかなりの高得点をつけられる。更に2位の森博人(日本体育大)もリリーフであれば1年目から戦力となる可能性の高い実力者だ。また下位指名ながら福島章太(倉敷工)、加藤翼(帝京大可児)の二人も将来性は申し分ない。投手に関しては満点がつけられるだろう。

 野手も守備では高校生ナンバーワンショートの土田龍空(近江)を指名して若手の強化を図り、手薄になってきた外野手でも三好大倫(JFE西日本)を獲得した。できれば強打者タイプの野手がもう一人欲しかったところだが、全体的なバランスも良い指名だったと言えるだろう。


■阪神:80点

 野手では一番人気だった佐藤輝明(近畿大)を引き当てたことが非常に大きい。強打者が慢性的に不足していたが大山悠輔が一本立ちし、佐藤と昨年獲得した井上広大がその前後を打つような中軸が完成すれば、長期にわたって安定した打線を組むことも可能になる。ただ佐藤自身は大山の大学時代と比べても完成度は劣るだけに、即戦力としては考えないことが重要になるだろう。

 2位の伊藤将司(JR東日本)、3位の佐藤蓮(上武大)は少し順位が高いようにも感じるが、伊藤は左の先発、佐藤蓮はリリーフタイプと特徴がはっきりしている選手であることは間違いない。特に佐藤蓮の馬力は人並み外れたものがあり、将来のクローザー、セットアッパー候補として面白いだろう。一つ残念だったのが高校生が高寺望夢(上田西)だけだったところ。24歳以下の若手はまだまだ少なく、昨年多く獲得した高校卒の選手に刺激を与える意味でももう少し高校生を指名したかった。


■広島:75点

 1位で栗林良吏(トヨタ自動車)の単独指名に成功。昨年の森下暢仁に続いて即戦力としてはナンバーワンの投手を抽選なしで獲得できたことは非常にラッキーだったと言える。栗林の完成度は申し分なく、1年目からローテーションで森下と両輪になることも期待できるだろう。2位から4位までも投手を指名。森浦大輔(天理大)、大道温貴(八戸学院大)はともに大学球界では名の知れた存在で、下級生の頃から着実に実績を残してきた安心感がある。

 また4位の小林樹斗(智弁和歌山)も素材の良さは高校球界屈指で、この順位まで残っていたことは幸運だった。ただ一方で気になったのは野手の指名の少なさ。現在のメンバーは悪くなく、楽しみな若手も少なくないが、あらゆるところで綻びは出ており、近い将来には鈴木誠也のメジャー移籍も考えられるだけに、もう少し野手にも目を向けるべきだったのではないだろうか。


■巨人:70点

 佐藤輝明(近畿大)に入札して外したのは残念だったが、チーム事情を考えると投手陣の整備の方が優先順位は高かっただけに、そこから投手指名に切り替えたことは評価できる。そして1位と2位の指名はかなり冒険心に溢れるものだったという印象だ。平内龍太(亜細亜大)は現時点でリーグ戦通算わずか4勝と実績は乏しく、今年の春に肘の手術を受けて回復途上という投手。ただそれでもこの秋に最速156キロをマークしており、とにかくスケールの大きさは魅力だ。

 2位の山崎伊織(東海大)も6月にトミー・ジョン手術を受けており、来年はリハビリのシーズンとなる。故障さえなければ大学ナンバーワン投手となっていた可能性もあるが、完全に回復する保証はない。ハイリスクハイリターンを狙った指名で賛否分かれるところだが、本気で菅野智之の後釜候補を狙いに行ったという点は評価できるだろう。3位以下でも中山礼都(中京大中京)と秋広優人(二松学舎大付)と将来性の高い高校生野手を指名できた点も大きなプラスだった。


■ヤクルト:70点

 1位指名を二度外したが、それでも木沢尚文(慶応大)、山野太一(東北福祉大)という実力のある大学生投手二人を上位で指名できたのは大きな救いだ。木沢はチームに不足しているパワーピッチャーで、貯金を作れるようになるかは未知数だが、早い段階からある程度勝ち星も期待できるだけの完成度もある。山野も不足している左の先発候補として補強ポイントにマッチしているだろう。ただ木沢、山野ともに故障でほとんど投げられなかったシーズンがあるのは不安要素。伝統的に故障者の多いヤクルトという球団だけに、起用法には注意が必要だろう。

 野手も補強ポイントは少なくないが、そんな中で元山飛優(東北福祉大)、並木秀尊(独協大)の二人も面白い指名だった。元山はショートのレギュラー争いに加わる可能性があり、並木の足も大きな戦力となる。抽選を二度外した割には、全体的にはまずまずの指名ができたと言えるドラフトだった。


■DeNA:65点

 目玉選手に向かわずに独自路線を貫くことが多いが、今年も1位で入江大生(明治大)を単独指名した。入江は楽天なども1位指名候補として名前を挙げていると報道されていたが、早川、伊藤大海(苫小牧駒沢大→日本ハム1位)と比べると明らかに格が落ち、木沢と比べても少し劣るというのが現状である。抽選を避けるあまり1位で指名する選手のスケールを求めないという方針は今年も疑問が残った。

 それでも全体的に悪くない指名に落ち着いたのは2位の牧秀悟(中央大)と4位の小深田大地(履正社)という強打者タイプが二人獲得できたことが非常に大きい。現在の打線は外国人選手への依存度が非常に高く、数年後のオーダーも不安が多かっただけにこの二人が中心となれば一気に将来が明るくなる。3位以下の投手ではサウスポーに偏りがあるのは気になったが、松本隆之介(横浜)、高田琢登(静岡商)という将来性豊かな高校生を二人獲得できたのもプラスと言えるだろう。

(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。













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  • 何処も素晴らしい指名。 巨人は平内も山崎も故障多いし、山崎なんて1年投げられないし。そこは心配やな。治ったら菅野レベルだけど。
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  • 矢野監督は100点や
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