価格、パフォーマンス、消費電力の“三方良し” 「GeForce RTX 3070」徹底レビュー

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2020年10月28日 06:32  ITmedia PC USER

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写真GeForce RTX 3070 Founders Edition(カードスタンドに据え付けた状態)
GeForce RTX 3070 Founders Edition(カードスタンドに据え付けた状態)

 NVIDIAの新アーキテクチャ「Ampere(アンペア)」を採用したGPU「GeForce RTX 30」シリーズが人気を博している。9月17日に発売されたハイエンドの「GeForce RTX 3080」、9月24日に発売されたフラグシップ「GeForce RTX 3090」のいずれも、初動の売れ行きは良好に推移しているようだ。



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 ただ、実売価格的な意味で、10月29日に発売される「GeForce RTX 3070」の発売を心待ちにしている人も少なくないだろう。RTX 3070はGeForce RTX 30シリーズのエントリーモデルに位置付けられ、日本におけるグラフィックスカードの想定販売価格は7万9980円(税別)となっている。



 今回、NVIDIA純正のリファレンスカード「GeForce RTX 3070 Founders Edition」(日本未発売)をレビューする機会を得た。ベンチマークテストを通して、その実力をチェックしていく。



●「GeForce RTX 2080 Ti」以上かほぼ同等の“末っ子”



 GeForce RTX 3070は、GeForce RTX 3080/3090と同様にAmpereアーキテクチャで製造される。Samsung Electronics(サムスン電子)の8nmプロセスで製造されることも同様だが、先行するRTX 3080/3090とは異なり、GPUコアは「GA104」、グラフィックスメモリは「GDDR6」規格となる。現行の下位モデルという位置づけだ。



 前世代の「Turing」アーキテクチャと比べると、Ampere世代の製品群はCUDAコア(シェーダープロセッサの数が大きく増加した。RTX 3070もその例に漏れず、5888基ものCUDAコアを内蔵している。計算上、「GeForce RTX 2080 Ti」よりも25%以上増えたことになる。



 一方で、グラフィックスメモリは「GeForce RTX 2080 SUPER」や「GeForce RTX 2080」と同じ規格、容量となる。消費電力はRTX 2080 Tiより30Wほど低い250Wとなっている。



 先行したRTX 3080やRTX 3090が「性能も電力もモリモリ」というインパクトの大きな製品であるのに対して、RTX 3070は「切り詰めるべきところを切り詰めて、よりスマートでバランス感のあるGPU」を目指したようにも思える。



 とはいえ、NVIDIAはRTX 3070のパフォーマンスは「RTX 2080 Ti以上、あるいはほぼ同等」であるとうたっている。バランス感を追求しつつも、性能には自信があるということだ。



 米国内の想定販売価格が499ドル(約5万2000円)であること、現時点におけるRTX 2080 Tiの国内価格が最低でも14万円台からである点を考慮に入れれば、ややオーバースペック気味な上位GPU以上に、市場での人気を獲得する可能性は高い。



 肝心の性能については、この後のベンチマークテストでひもといていく。



●「GeForce RTX 3070」の性能をベンチマークテストで検証!



 ここからは、ベンチマークテストを通してGeForce RTX 3070の性能をチェックしていこう。



 RTX 30シリーズはPCI Express 4.0接続をサポートする。そのため、同規格を利用できるCPU「Ryzen 9 3900XT」(3.8G〜4.7GHz、12コア24スレッド)と「AMD X570チップセット」を搭載するマザーボードを用意してテストを実施した。



 今回のテストでは、比較対象としてRTX 3080、RTX 2080 Ti、RTX 2080の各GPUにおけるベンチマーク結果も掲載する。なお、GPUのデバイスドライバーは、テスト版となる「バージョン456.96」を使用している。



3DMark(Time Spy/Fire Strike)



 まず、「DirectX Raytracing(DXR)」を使わないテストを進めていこう。始めに、3Dグラフィックスに関する定番ベンチマーク「3DMark」から、DirectX 12ベースの「Time Spy」シリーズ、DirectX 11ベースの「Fire Strike」シリーズのテストを実行した。今回は、フルHD(1920×1080ピクセル)で描画する無印テスト、WQHD(2560×1440ピクセル)で描画する「Extreme」テスト、4K(3840×2160ピクセル)で描画する「Ultra」テストの全てを試している。



 最も優れたスコアはRTX 3080……というのは順当といえば順当だが、RTX 3070とRTX 2080 Tiを比べると、いずれもRTX 2080 Tiの方が良いスコアとなっている。解像度の高いテストでは相対的に差は縮まるものの、フルHDでテストするTime SpyやFire Strikeでは約5〜6%の差でRTX 2080 Tiの方が優勢だ。



 とはいえ、その差はたったの数%にとどまる。NVIDIAの“ほぼ同等の性能”という言葉はそれほど的外れではない。また、先述の通り、コストパフォーマンスを考慮に入れるとRTX 3070の優秀さは特筆に値するだろう。



 なお、RTX 3070とRTX 2080を比べると、テストによっては20〜25%程度の大差でRTX 3070の方が良いスコアだ。



FF14ベンチマーク



 次に、実際のゲームをベースとするベンチマークテストとして「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を実行した。描画品質は「最高品質」とし、フルHD、WQHD、4Kの解像度で計測した。



 スコアの序列自体は、3DMarkと同様だ。RTX 3070とRTX 2080 Tiで比べると、RTX 2080 Tiの方がフルHDで約3%、4Kで約6%ほどスコアは良い。ただし、大差というよりも「ほぼ同等」といえる範囲に収まっている。



 RTX 3070とRTX 2080では、RTX 3070の方がフルHDでは約3%ほど良いスコアだが、4Kではその差が20%以上に広がる。



 前世代のハイエンドGPUであるRTX 2080でさえ、RTX 3070と比べるとやや力不足に映ってしまう。



FF15ベンチマーク



 より負荷の高いベンチマークテストとして、DirectX 12ベースの「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(FF15ベンチマーク)」も実行した。描画品質は「高画質とし、フルHD、WQHD、4Kの3解像度で計測した。



 このベンチマークテストでは、RTX 3070とRTX 2080 Tiのスコア差は、どの解像度でも安定して5%ほどだった。確実にRTX 2080 Tiと並ぶポジションはキープできており、パフォーマンスの良さは確かなものであると言い切っても差し支えなさそうだ。



実際のゲームでフレームレートをチェック



 続いて、実際のゲームにおけるフレームレートも確認しておこう。



 まず「レインボーシックス シージ」のゲーム内ベンチマークモードで、平均レートと最小レートをチェックした。画質プリセットは“最高”とし、フルHD、WQHD、4Kの3解像度でそれぞれレートを調べた。



 このモードでは、特に最小フレームレートの数値がばらけやすい。平均レートを見る限りは、各GPUの序列はこれまでのテストの傾向と変わらず、フルHDではほとんど数値に差が見られない。



 しかし、解像度を上げていくと、GPU自体のパワーに欠けるRTX 2080が順位を落とし、RTX 3080やRTX 3070といったAmpere勢の優位性が際立つ。4Kでは、RTX 3070とRTX 2080 Tiの差は、ほとんどない。少しだけ差が付いているフルHDとWQHDの結果を見ても、最小レートはどちらも240fpsを超えている。



 実用ベースでは、RTX 3070とRTX 2080 Tiの差を感じられる場面は非常に限られるだろう。



 続いて「CONTROL」において一定コースを移動した際のフレームレートを確認しよう。今回は、画質プリセットは“最高”とし、フルHD、WQHD、4Kの3解像度において「FrameView」が表示する平均、最小のレートを記録している。



 なお、このタイトルはDXRや「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」にも対応しているが、DXRは全ての解像度で無効、DLSSはフルHDでのテスト時のみ無効としている。



 DLSSを無効化したフルHDのテストに比べると、DLSSを有効化したWQHDのテストの方がフレールレートが高くなっている。フルHDのテストにおいて、RTX 3070が初めてRTX 2080 Tiよりも良いスコア(レート)を記録した……が、計測上の誤差による逆転があり得る程度の差でしかない。WQHDと4Kでは、RTX 2080 Tiの方がわずかながら良好なスコアとなっている。ちなみにRTX 3080と平均フレームレートを比べると、フルHDとWQHDで約15%、4Kで約20%ほど低い。



 描画にまつわる負荷が常に高いタイトルなら、RTX 3080を選ぶメリットは大きい。しかし、大多数のPCゲーマーにとっては10万円未満で優れた性能が手に入るRTX 3070の方が有力な選択肢となるはずだ。



フォートナイト



 フォートナイトでもフレームレートをチェックした。今回はNVIDIAのカスタマイズマップ「RTX Treasure Run」上の一定コースを移動した際に、FrameViewが表示する平均、最小レートを測った。



 このタイトルもDXRとDLSSに対応しているが、画質プリセットは“最高”、フレームレートは「無制限」、DXRは無効、DLSSは「バランス」としてテストを行った。解像度はフルHD、WQHD、QHDの3パターンだ。



 平均フレームレートは、フルHDでは240fps前後で頭打ちとなり、RTX 2080以外は有意な差が出ない。WQHD、4Kと解像度を上げると差は出てくるが、RTX 3070とRTX 2080 Tiとの差は、やはり誤差レベルにとどまる。これは最小レートでも同様だ。



DXRを有効化するとどうなる?



 ここからは、GeForce RTXが本領を発揮する、DXRを用いたベンチマークテストの結果を見ていこう。まず3DMarkのDXRテスト「Port Royal」テストを実行してみた。



 リアルタイムレイトレーシング(RT)が絡むと、GPUの実力差がスコアの差として如実に出る。ただ、今までのテストと比べると、RTX 3070とRTX 2080 Tiのスコア差がやや大きくなっていることが気になる。RTX 2080 Tiの方が9%ほどスコアが高いのだ。



 スコア差が大きく出た一番大きな要因は、グラフィックスメモリの帯域幅の差であると思われる。



 実際のゲームでも、この差は同様なのだろうか。DXRプリセットを「強」に設定して、CONTROLのフレームレートを再び計測してみた。その他の条件は先ほどと変わりない。



 RTX 3070のフレームレートを見てみると、フルHDでは平均78fps前後、WQHDでは85fps前後、4Kでは平均47fps前後となり、わずかながらRTX 2080 Tiを上回った。先ほどのPort Royalとはやや毛色の異なる結果となっている。ただし、4Kともなると、両者に差はほぼない。



 4Kでゲームを楽しむ場合、RTX 3080がずば抜けて快適な選択肢となるだろうが、それ以外の解像度ではRTX 3070とRTX 2080 Tiとの間に体感上の差はほぼないだろう。



 フォートナイトでもDXRを有効化してフレームレートを見てみよう。レイトレーシングに関する設定を全て「最大」としたこと以外は、先ほどと同じ条件でレートをチェックしている。



 フォートナイトは、RTX 3080のレビューを実施した後にアップデートがあった。このアップデートを適用すると、DXRを利用した際の負荷が以前よりも大きくなる。RTX 3080ですら、フルHD時の平均フレームレートが90fpsをやっと超える程度になってしまう。当然ながら、ここまで重たくなると4KではどのGPUでも実用的なプレイは厳しい。



 フレームレートの序列については、CONTROLとほぼ同じ並びとなっている。4K以外の解像度においてRTX 3070がRTX 2080 Tiを少しだけ上回ることも同様だ。



 ここまでのほとんどのテストにおいて、RTX 3070とRTX 2080 Tiのパフォーマンスは拮抗(きっこう)している。テストのサンプル数が少ないため確かなことはいえないが、DXRが有効なゲームでは、RTコアの性能が向上したRTX 3070が優位に立つ場面は多いかもしれない。



 加えて、レイトレーシングとDLSSの性能を確かめるべく、実ゲームベースのベンチマークテスト「Boundary: Raytracing Benchmark」の挙動もチェックした。



 このテストではDLSSのプリセットを3種類から選べるが、今回は画質を極力維持する「Quality」と、フレームレートを重視した処理をする「Performance」の2種類でフルHD、WQHD、4Kの3解像度における平均フレームレートを計測した。



 性能差の傾向は、先に行ったテストと同様だ。解像度や設定を問わず、RTX 3080は圧倒的に優勢。RTX 3070とRTX 2080 Tiは、解像度やプリセットによって勝ったり負けたりする。RTX 2080は、どのような状況でも他のGPUに負けてしまう。



 価格面を考慮に入れても、RTX 2080を搭載するグラフィックスカードを今から購入する旨味は限りなく薄いだろう。



●消費電力はRTX 2080 Tiより低い



 最後に、システム全体の消費電力をチェックしよう。3DMarkのTime Spy Extremeを実行中の最高消費電力を「高負荷時」、PCの起動後10分間何もせず放置した状態後の消費電力を「アイドル時」としてワットチェッカーで計測した。



 アイドル時の消費電力はいずれも60W程度。高負荷時は、RTX 3080の電力消費の大きさが目立つ。しかし、注目したいのはRTX 3070とRTX 2080 Tiとの関係だ。



 性能検証では、ほとんどのシーンで両者は拮抗していた。だが、高負荷時の消費電力は、RTX 3070が最大338W、RTX 2080 Tiが最大378Wと、約40Wもの差が生じた。RTX 3070のワットパフォーマンスは極めて良好であると言っても良いだろう。



 ちなみにNVIDIA公式サイトのスペック表によると、RTX 3070のシステム電力要件は650Wとなっている。RTX 3080のように「GPUの新調に合わせて、より出力の大きい電源ユニットに変えなければいけない」といった状況は生じにくいだろう。



●価格と消費電力の両面で優秀なGPU



 ここまで見てきた通り、GeForce RTX 3070は前世代のハイエンドGPUであるGeForce RTX 2080 Tiに真っ向から対抗できるだけの総合性能を有しつつも、価格や消費電力面で優位に立っている。極めて優秀なGPUといえる。



 前世代では“ハイエンドの顔”としてもてはやされた感もあるRTX 2080 Tiだが、これほどのポテンシャルを持つ新しいGPUが出てきたとなると、あえて購入を勧めるだけの理由も考えにくい。大幅な値下げがない限りは、素直にRTX 3070をチョイスするのが“吉”である。



 懸念があるとすれば、発売直後の入手性だろう。現時点で発売済みのRTX 3080やRTX 3090は、需要に対して入荷数が少なかった。この品薄感は、現時点においても解消しきれていない。



 RTX 3080/3090よりも手頃なRTX 3070は、多くのユーザーにとって性能的にも十分で、潜在的な需要は非常に高いように思える。何度もいうが、ポテンシャルは抜群であるため、潤沢な在庫が早めにそろうことを願うばかりだ。


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