2030年にはAIドクターが主流に!? GAFAが巨大医療ビジネスに参戦…医療未来学者が予想する驚きの未来予想図

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2020年10月28日 06:41  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真『未来の医療年表 10年後の病気と健康のこと(講談社現代新書)』(奥真也/講談社)
『未来の医療年表 10年後の病気と健康のこと(講談社現代新書)』(奥真也/講談社)

 新型コロナウイルスが猛威をふるった2020年、日々洪水のような情報にさらされて混乱したという人は、決して少なくないだろう。乳酸菌飲料が免疫機能を高め、感染予防に役立つって本当? 世界中で研究しているにもかかわらず、すぐにワクチンができないのはどうして? アクセスできる情報はたくさんあるのに、どれが正しいのかさえわからずに、いっそう不安になってしまう……。

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 そんな人にとって、『未来の医療年表 10年後の病気と健康のこと(講談社現代新書)』(奥真也/講談社)という書籍は、有効な“処方箋”になるかもしれない。

 著者の奥真也氏は、医療未来学者の第一人者。医療未来学とは、「医学的、医療的、科学的、社会学的、経済学的にさまざまな角度から分析し、あるべき未来の医療について研究する学問領域」だ。本書は、その定義を体現するように医療業界を渡り歩いてきた奥氏が記した、医療や病気に関する未来予想図である。

 本記事では、そのほんの一部を紹介しよう。

将棋や囲碁の世界と同じように… 2030年にはAIドクターが主流に?

 人間医師がAIに追従する未来は、そう遠くはなさそうだ。たとえば、患者の顔色を見るだけで症状を把握することはベテラン医師でも難しいが、近未来の診察室では、患者の顔写真を撮影すれば、AIがその人の状態を自動判別してくれる。体温の測定に関しても、患者が入室した瞬間、サーモメーターが体温を検知し、自動的に電子カルテに転記してくれる。

 データベース化された医学のロジックや知識を持つAIが現場に投入されるようになれば、人間の医師が細かい医学知識を頭に入れておく必要もなくなるだろう。多くの医学領域では、人間の医師に要求される仕事内容も、おのずと変わっていきそうだ。

2035年、ほとんどのがんが治癒可能に?

 がんが人類にとって厄介なものであった理由は、この病気独特の「多様性」にある。病気の進行度合いや治療に対する反応が、個々の患者によってまったく違うのだ。そのような病気に対しては、医療の常套手段である「類型化」が困難だった。

 そんながんの本質は、遺伝子の異常によって引き起こされる遺伝子疾患。2000年代に入ってからは、個々人の遺伝子配列を解析する技術が飛躍的に高まり、遺伝子に直接アプローチする「分子標的薬」という治療薬が開発されて、がんの持つ多様性は、治療において大きな障壁ではなくなった。

 さらに、人間本来の免疫力を目覚めさせ、がんと戦わせる「免疫チェックポイント阻害剤」という薬も開発され、2020年現在におけるがん医療は、このふたつの薬をどう組み合わせるかの最適解を見つけ出すという段階に。その答えは、2030年から2035年ごろには見つかっているはずだ。

人工臓器は新時代に突入! 臓器を蛍光灯のように交換する未来

 老朽化した臓器を、蛍光灯のように交換する未来──それは決して夢物語ではない。実はこれまでも、白内障の手術で、水晶体を人工水晶体(眼内レンズ)に交換することや、大動脈弁を人工弁に入れ替えるなどの“臓器の交換”は行われてきた。そして現在、これ以外にも、人工臓器が天然の臓器に代替できる目処がついている。

 iPS細胞(人工多能性幹細胞:生物の身体を構成するあらゆる組織や臓器に分化する「分化万能性」を持つとされる細胞)技術を用いた心筋シートはすでに実用的段階に突入、腎臓についても、携帯型透析治療装置が実現する日は近そうだ。人工肺、人工心臓、人口関節(肘、膝)などはほぼ見込みがついた状態にあり、今後は腎臓や肝臓など、難易度が高い臓器に研究の中心がシフトしていくだろう。

スマホやウェアラブル端末で命を守る! GAFAが参戦する、巨大医療ビジネス市場

 スマートフォンやウェアラブル端末は、かかりつけ医以上の役割をこなしつつある。すでに、アメリカ食品医薬品局はアップル社のウェアラブル端末「アップルウォッチ」で測定する心電図を医療機器レベルのものであると認証しているし、アップルウォッチで測定した心拍数の変動によって糖尿病の診断をする技術も開発済みだ。今後は、非接触のデバイスで血糖値を測定したり、音声からうつ病を診断したりといったことが可能になる時代もやってくるだろう。

 近年、テクノロジーの急速な発展は、医療という概念をも拡大している。その具体的な表れのひとつが、医療分野のビジネスに非医療系の企業が続々と新規参入しているという現象だ。アップルのウェアラブル端末といった高性能医療デバイスが身近になり、AIによる画像診断や医療クラウドの分野ではグーグルが覇権を握るなど、確かな技術があれば、医療に向けてビジネスを発展させることで、企業の可能性は画期的に広がっていくのだ。

 本書には、テクノロジーの進化を感じさせる話題はもちろん、「脳トレはNG!?」「痩せたほうがいいのは50代まで」などの、身近で誰かに話したくなるような健康知識も盛りだくさん。ワクチン開発についても、平坦な道のりではないけれど、「今から10年のうちには、来るべき新しい敵への迎撃準備は完璧になる」と奥氏は述べる。「パンデミックというよりインフォデミック(情報災禍)」ともいわれる新型コロナ禍、押し寄せる情報に踊らされないためにも、最新の正確な知識に触れて、広く未来まで見通せる視野を持ちたいものだ。

文=三田ゆき

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