姜尚中「バイデンが勝っても米の対中強硬が変わらない理由 日本は韓国・東南アジアと関係強化を」

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2020年10月28日 07:00  AERA dot.

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写真姜尚中(カン・サンジュン)/東京大学名誉教授・熊本県立劇場館長兼理事長。専攻は政治学、政治思想史
姜尚中(カン・サンジュン)/東京大学名誉教授・熊本県立劇場館長兼理事長。専攻は政治学、政治思想史
 政治学者の姜尚中さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、政治学的視点からアプローチします。

*  *  *
 中国で、安全保障を理由に輸出を制限する「輸出管理法」が17日に成立しました。この背景にはトランプ政権による中国企業への制裁に対抗する狙いがあります。しかし、今回の対抗措置によって、米中対立は新しい次元にまで引き上げられてしまいました。

 現在、米国は更なる金融措置に走ろうとしていますが、仮に大統領選後に民主党政権になったとしてもその方向性は変わらなさそうです。バイデン氏に温和なイメージを持つ人もいるかもしれませんが、彼が「媚中派」とみなされればみなされるほど、そうではないというアリバイ証明のために中国に対してかなり強い対応をせざるを得ないからです。

 今のところ安倍政権を引き継いではいる菅政権ですが、対中国包囲網に関しては経済的な利益を考えると非常に慎重にならざるを得ないと思います。問題は米国がさらに圧力を加えてくるのかどうか。その時に日本はどれだけの経済的なデメリットをくらうことになるのか。今まさに政府はそろばんをはじいていることでしょう。

 米国のやり方も中国のやり方も本来であれば世界貿易機関(WTO)のルールに違反しています。しかし、そのWTOは次期事務局長選の真っただ中です。このWTOのトップが誰になるかということも輸出管理法とリンクしてくると思います。

 欧米では第2波といわれるように、コロナが猛威を振るっています。そんな最中でも中国は着々とコロナ後を睨んでいます。いよいよ中国とどう向き合うのかということが日韓関係のような二国間関係ですら影響を受ける時代に入っていきそうです。ここで大切なことは、米中対立を巡り、世界がブロック化へと向かわざるを得ない今だからこそ、日本と韓国、さらには東南アジアが強い連携を持つべきだと思います。菅首相が最初の外遊先にベトナム、インドネシアという東南アジアを選んだというのは、中国の影響力を削ぐという面ももちろんあるとは思いますが、そういう含みがあったからではないでしょうか。

 この時期の中国の輸出管理法の成立は、米中対立だけにとどまらず、世界に多大な影響を与えることは間違いありません。

姜尚中(カン・サンジュン)/1950年熊本市生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了後、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授などを経て、現在東京大学名誉教授・熊本県立劇場館長兼理事長。専攻は政治学、政治思想史。テレビ・新聞・雑誌などで幅広く活躍

※AERA 2020年11月2日号

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このニュースに関するつぶやき

  • あらら、最近はめっきり見かけなくなった生姜センセイじゃないですか。お元気そうで、何よりです。
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  • 日韓関係については、ボールはあっちが持ってますので(笑)
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