コロナ禍で予防接種受けられず子どもが危ない「麻しん」「百日せき」などのリスクが上昇

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2020年10月28日 08:00  AERA dot.

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写真予防接種のイメージ(Getty Images)
予防接種のイメージ(Getty Images)

 コロナ禍の影響で医療機関への受診控えが問題になっているが、特に深刻さを増しているのが小児科だ。

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「患者さんの数は少しずつ戻ってきていますが、去年と比べるとまだまだ。ソーシャルディスタンスや、マスク、手洗いなどのコロナ対策がほかの感染症の予防にも効果があるのか、風邪などの急性疾患で来院する子は今も少ないですね」

 こう打ち明けるのは、すがやこどもクリニック(東京都板橋区)院長の菅谷明則医師。

 小児科の受診控えは、日本小児科医会が全国400以上の小児科診療所の経営状態を調べた結果からも明らかだ。約9割の施設で5月の外来患者数がコロナ前より20%以上減少。60%以上減ったところも1割弱あった。経営難から閉院する診療所も出始めている。

 小児科医の仕事は、子どもたち心身の病気を治すことだけではない。予防接種で子どもたちを感染症から守ることも大きな使命の一つだ。だが、この予防接種についても接種率が下がっている可能性があるという。

 予防接種の情報提供・啓発活動を行っているNPO法人「VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろうの会」が予防接種の状況を調査。同会のスマホアプリ「予防接種スケジューラー」の登録データで、生まれて最初に受ける小児用肺炎球菌ワクチンや、幼児期に最初に受ける麻疹(はしか)と風疹の混合ワクチン(MRワクチン)の接種状況をみると、コロナ禍前より減少していることがわかった。

 このデータで大幅な登録の減少を見せたのが、BCGワクチンだ。BCGは本来、結核を予防するワクチンだが、接種国で軒並み新型コロナによる死亡者数が少ないことがニュースになった。同会によると、成人のBCGワクチン接種が増え、供給不足が生じたこと、集団接種が延期されたことなどが、理由として考えられるという。

 同会はまた予防接種を受けない理由について、保護者にアンケートをとっている。それによると、予防接種を延期した理由として多かったのは「感染が怖かった」という回答で、68%。「接種が遅れても問題ないと思った」も43%あった。

 同会の理事長でもある菅谷医師が危惧するのは、子どもの新型コロナウイルス感染症のリスクと、ワクチンで防げる病気のリスクに対して、正しい評価ができていないという点だ。

「子どもは新型コロナに感染しても軽症か、無症状のことが多く、重症化することはほぼありません。むしろ、ワクチンの接種率が低下によって、新型コロナが収束した後にワクチンで防げる病気が流行して、子どもたちが重症化するリスクのほうがこわいのです」

 その上で、予防接種率を迅速に評価できるシステムづくりが必要と考える。実は、わが国には接種率がどれくらいで、どれくらい下がったのかという正確なデータがない。

「データがあれば、今回のコロナのように新しい感染症が流行して接種率が低下したときに、そのデータに基づいて行政が接種を勧奨していくことができます」

 では、予防接種を受けないとどんなデメリットがあるのだろうか。菅谷医師が答える。

「予防接種を受けなければ、予防接種で予防できた感染症にかかるリスクが増えます。麻しん、百日せき、ロタウイルス感染症は、年少児がかかれば重症化し、命に関わることもあります」

 また、予防接種を受けていない人たちが増えるということは、社会的なリスクにもなる。

「今の日本は、予防接種で防げる病気で大きな流行は起こっていません。しかし、このコロナ禍で海外でも予防接種の接種率が低下しています。そこで流行が始まって、人の往来が従来通りに戻れば、ウイルスが外国から持ち込まれる可能性は高い。そのときに予防接種を受けていない人たちがいれば、日本でも流行が起こります」

 子どもに必要な予防接種は予防接種法によって、ワクチンの種類ごとに接種する年(月)齢や回数、間隔が決められている。そのなかには生後14週6日までに受けなければならない、接種期間が短いロタウイルスワクチンのようなものもある。

 このスケジュールに沿って予防接種を受ければ公費でまかなわれる定期接種となるが、タイミングを逃すと自費で受けなければならなくなる。幸い、厚生労働省が特例とし、定期接種ができなかった相当な理由があると市町村が判断した場合は、時期を過ぎても定期接種として受けることができるとしている。「大事なのは、接種もれした子どもたちに、いかに予防接種を受けてもらうか」と菅谷医師。

「接種時期が過ぎていても、2種類以上のワクチンを1回の通院時に打つ同時接種という方法をとれば、本来の接種スケジュールに間に合わせることが可能です。お子さんに予防接種を受けさせていない親御さんは、まず母子手帳を持って小児科で相談してください。どのタイミングで何を接種すれば良いか具体的に教えてくれると思います」

 最後になるが、予防接種といえば、冬のインフルエンザ流行シーズンを前に受ける、インフルエンザワクチンがある。今年は高齢者が優先的に接種されることになっているが、子どもはインフルエンザにかかるリスクが高く、インフルエンザ脳症にも注意を払う必要がある。コロナ禍においても例年と同じように、早めに予防接種を受けたほうがよいそうだ。

(本誌・山内リカ)

※週刊朝日オンライン限定記事

このニュースに関するつぶやき

  • コロナ禍だけど次男が3歳になり即日本脳炎2回行ってきたとこ。インフルも1回目済。長男は持病の為接種漏れがあるけど主治医のOKが出たらすぐ特例申請して打つつもり。
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  • そもそも三密の意味を理解できてない人が少なくないからね。三密とは、飽くまで「不特定多数の人が集まる」「至近距離で会話する」「密閉された空間」この3条件が重なる事。
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