パ・リーグは「文句なしで満点な指名」できた球団も!【2020ドラフト採点簿】

4

2020年10月28日 16:00  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真埼玉西武からドラフト1位指名を受けた渡部健人 (c)朝日新聞社
埼玉西武からドラフト1位指名を受けた渡部健人 (c)朝日新聞社
 新型コロナウイルスの影響で史上初めて球団ごとに部屋を分けて、リモートという形で行われた今年のドラフト会議。支配下で74人、育成で49人の合計123人が指名される結果となったが、補強ポイントやチームの将来に適した指名ができた球団はどこだったのか、採点してみたいと思う。今回はパ・リーグ編だ。

【写真】イチローがかつて「本当の天才」と言った選手はこちら
*  *  *
■日本ハム:100点

 総合力では一番人気となった早川隆久(早稲田大)を上回るとも評される伊藤大海(苫小牧駒沢大)の単独指名に成功。伊藤は先発としての能力も高いが、リリーフであれば本当の意味での即戦力となる可能性が高く、一年目からクローザー定着の期待もかかる。抑え不在のチームにとっては極めて大きいプラスだ。2位の五十幡亮汰(中央大)もプロ野球史上ナンバーワンとも言える脚力に加え、プロでも上位の肩の強さを持ち合わせており走塁と守備では一軍の戦力になれる実力者だ。

 3位の古川裕大(上武大)も強打の捕手で近い将来の正捕手候補。4位の細川凌平(智弁和歌山)、5位の根本悠楓(苫小牧中央)もこの順位で指名できたことがラッキーな将来性豊かな高校生だ。更に6位の今川優馬(JFE東日本)も社会人屈指の強打者で外野の底上げに成功した。チームの弱点を補いつつ、将来にも目の向いた指名で、ここ数年の中でも抜群の結果だったように見える。文句なしで満点をつけられるだろう。


■楽天:90点

 投手の目玉である早川隆久(早稲田大)を引き当てたことが何よりも大きい。チームの先発投手陣は中堅、ベテランに偏っており、左も不足していることからこれ以上ないプラスとなる。また2位で高田孝一(法政大)、3位で藤井聖(ENEOS)と大学生、社会人の実力派投手を続けて指名。高田は1試合を通じて150キロ前後のスピードを維持できるパワーピッチャーで、藤井も社会人を代表する本格派左腕。高田は先発、藤井はリリーフとして早くから戦力になれる可能性も十分だ。

 4位の内間拓馬(亜細亜大)も完成度は低く時間はかかりそうだが、馬力が魅力の右腕。若手投手陣の底上げには確実に成功した印象だ。5位の入江大樹(仙台育英)、6位の内星龍(履正社)の二人も完成度は低いがスケールのある高校生で、将来の大化けも期待できる。年齢構成的には上位4人でもう1人は高校生を指名した方が良かったようにも見えるが、全体的には納得の指名だ。

■オリックス:75点

 野手で一番人気の佐藤輝明(近畿大)を外して方針転換。スケールの大きさではナンバーワンとも呼び声高い高校生右腕の山下舜平大(福岡大大濠)を指名した。野手の強化は必要不可欠で、佐藤と同じ大学生では牧秀悟(中央大)も残っていたことを考えると山下の指名に疑問の声も上がるが、若手投手が伸びている中に更に将来性のある投手を加えて、投手王国を目指すというのも悪くない選択に見える。更に2位で元謙太(中京)、3位で来田涼斗(明石商)と高校球界で屈指の強打者を二人獲得し、若手野手陣の底上げに成功したことも大きなプラスだ。

 目先の弱点補強という意味では物足りないと感じるファンも多いかもしれないが、野手で即戦力になれる選手は毎年ほとんどいないことを考えると、思い切って将来性に賭けた点は評価できる。近い将来、山本由伸、山岡泰輔、山下が三本柱となり、吉田正尚の前後を太田椋、紅林弘太郎、元、来田などで固めることができれば、非常に魅力的な布陣となりそうだ。


■ソフトバンク:65点

 佐藤輝明(近畿大)を外して高校生野手の井上朋也(花咲徳栄)を指名したがこの選択は大正解。昨年も石川昂弥(東邦→中日)を1位指名しているが、松田宣浩、内川聖一の後継者となれる内野手が最大の補強ポイントであり、井上はチームに不足している右打者という点でもピッタリ当てはまる。そして4位まで高校生野手を揃えたが、これも現在の戦力と将来を考えると頷ける判断だ。2位の笹川吉康(横浜商)は典型的な未完の大器で、少し順位が高いようにも見えるが、とらえた時の飛距離と大型で動ける点は大きな魅力だ。高校時代の柳田悠岐がこんな選手だったのではと思わせる雰囲気があり、ポスト柳田の期待がかかる。

 3位の牧原巧汰(日大藤沢)は高校球界を代表する強打の捕手。捕手では昨年も海野隆司を指名しているが守備型の選手だけに牧原とは特徴が重ならず、上手く二人が並び立つことも期待できる。4位の川原田純平(青森山田)は小柄だがパンチ力があるショートで、タイプ的に重なる今宮健太の後釜として期待がかかる。一方の投手は5位の田上奏大(履正社)に加えて育成でも5人を指名したがいずれも素材の良さが光るタイプで、ソフトバンクの環境であれば大化けも期待できるだろう。


■西武:65点

 外れ1位で最も驚かされたのが西武の渡部健人(桐蔭横浜大)だが、チーム事情を考えるとこの選択肢は納得がいく。毎年のように主力の野手がFAで退団し、25歳以下の若手にもほとんど強打者タイプがいない。渡部は対応力には課題が残るものの、この秋は10試合で8本塁打とその長打力は非凡なものがあり、西武というチームに非常にマッチしている選手だ。また3位以下で獲得した野手4人もいずれも粗さはるものの長打力を備えた選手たちである。野手の育成に長けているチームの長所を生かすことを考えた指名とも言え、この中から数年後の主力が複数出てくることも十分に考えられるだろう。

 一方の投手は支配下選手の指名は2人にとどまった。2位の佐々木健(NTT東日本)は社会人でも即戦力というよりも素材型の選手。5位の大曲錬(福岡大準硬式)は準硬式の投手とは思えない実力者だが、こちらも高いレベルでの経験は不足しているだけに長い目で見たい投手だ。育成で獲得した3人の投手も面白い素材だが、もう少し早くから戦力として期待できる投手も1人くらい狙っても良かったかなという感想を持った。


■ロッテ:60点

 早くから公言していた早川隆久(早稲田大)の抽選を外し、同じサウスポーの鈴木昭汰(法政大)をヤクルトとの競合で獲得。更に2位で高校生屈指の実力者である中森俊介(明石商)、4位で未完の大器タイプながらスケール抜群の河村説人(星槎道都大)を指名して投手陣の底上げには成功した印象だ。ただ一つ気になったのは弱点と見られているリリーフ陣の手当ができなかったところ。抑えの益田直也、セットアッパーの唐川侑己、巨人から獲得した沢村拓一が揃ってベテランに差し掛かっており、若手では小野郁くらいしかリリーフの戦力になっていない。1人くらい早くからブルペン陣に加わりそうな投手を狙っても良かったのではないだろうか。

 野手の二人は手薄になってきた二遊間、将来を考えての右の大砲候補と補強ポイントにはマッチした指名になっている。ただ3位の小川龍成(国学院大)は打撃の弱さ、5位の西川僚祐(東海大相模)は確実性に大きな課題があるだけに、こちらももう1人くらい安定した打力のある選手を狙いたかったところだ。


 2回にわたってセ・パ12球団の指名を診断したが、どの球団も比較的納得がいく指名が多かった印象を受ける。それだけ力のある選手が多かったということは間違いない。コロナ禍で異例の年となったが、数年後に振り返った時に豊作だったと言われる可能性は高いだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

このニュースに関するつぶやき

  • ソフトバンクは、育成に偏りすぎ。主力が高齢化して、即戦力型必要だったのでは? 西武は渡部とか佐々木とか、ドラフト上位でなくてもとれたような選手を上位指名してるのがな。
    • イイネ!2
    • コメント 0件
  • 5年後採点振り返ったら1番点数高いよねオリックス、て言われる指名であって欲しいよね。絶対的エース候補に長距離打者2人、即戦力投手に強打の捕手。みんな開花して欲しい! https://mixi.at/agAbxBJ
    • イイネ!3
    • コメント 2件

つぶやき一覧へ(3件)

ニュース設定