出産にまつわる費用はいくらかかるのか、徹底解説!

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2020年10月28日 17:42  マイナビニュース

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出産は公的医療保険の対象外ですが、公的機関から補助金を得られる制度があります。出産にはどれぐらいの費用がかかるのか、出産費用の補助として活用できる制度にはどのようなものがあるのかを紹介します。
出産にまつわる費用

出産は病気ではないので、病気治療のための制度である公的医療保険の対象にはなりません。出産にまつわる補助金があるとはいえ、自己負担額がどのくらいになるのかは気になるところです。まずは、出産にまつわる費用を見ていきましょう。

○■正常分娩での出産費用の平均値と中央値

出産にかかる費用は、出産する施設や分娩方法、入院日数などによって変わりますので、一概にいくらとはいいにくいものです。目安として、出産にまつわる費用の平均値と中央値を見てみましょう。
公益社団法人国民健康保険中央会「正常分娩分の平均的な出産費用について」(2016年)によると、正常分娩の出産費用の全国平均額は50万5,759円、中央値は49万3,400円でした。なお、中央値とは、すべてのデータを小さい順に並べたときに中央に来る数字のことです。
○■出産取扱施設別・出産費用の平均額

出産を行っている施設は病院、診療所、助産所の3つがあります。
施設ごとの出産費用の平均値は下記のとおりです。

■正常分娩分の平均的な出産費用の平均値と中央値

※公益社団法人国民健康保険中央会「正常分娩分の平均的な出産費用について」(2016年)

病院と診療所は大きな差はなく、助産所が少し低い結果となっています。
○■都道府県別・出産費用の平均額

出産費用の平均額はエリアによっても違いがあり、都市部のほうが地方よりも高額になる傾向があります。出産費用の平均額が高額な都道府県と低額な都道府県、それぞれの上位5つは下記のとおりです。

■出産費用の平均額が高額な都道府県

※公益社団法人国民健康保険中央会「正常分娩分の平均的な出産費用について」(2016年)

■出産費用の平均額が低額な都道府県

※公益社団法人国民健康保険中央会「正常分娩分の平均的な出産費用について」(2016年)
出産費用は施設やエリア、分娩方法でも変わる

出産費用は、施設やエリアによる違いがあるほか、正常分娩か帝王切開かの分娩方法の違いや出産のタイミングによっても変わってきます。どのような費用がかかるのか、具体的に見ていきましょう。
○■分娩方法による違い

帝王切開の場合、出産費用は正常分娩よりも10万〜20万円ほどアップするといわれています。ただし、帝王切開には公的医療保険が適用され、自己負担割合は3割となります。

無痛分娩の場合は出産費用に加え、約10万〜15万円分が上乗せされることが多く、さらに陣痛促進剤などを使えば、その分の費用も発生します。無痛分娩は痛みをやわらげることが目的で、病気やケガではないため、公的医療保険の対象外です。

なお、無痛分娩でも急遽、帝王切開や吸引分娩などの医療行為が行われると、その分は、公的医療保険の対象になる場合があります。ただし、妊娠前の1年以上前から公的医療保険に加入していないと対象とはなりません。

○■出産のタイミングによる違いや家族の立ち会いがあるかないか

出産が深夜や休日になる場合、あるいは家族が立ち会いを望むケースは、施設によっては追加料金が発生する可能性があります。
○■入院期間による違い

帝王切開後の回復に時間がかかったり、合併症を併発したりして入院が長引いた場合は、延長した日数の分だけ入院費用が上乗せされます。
出産にかかる費用とその内訳は?

妊娠してから出産するまでには、検診や分娩などさまざまなことを行います。続いては、一般的に出産にかかる費用とその内訳について見ていきましょう。
■入院費

入院費は、病室の利用料と食事代のことで、一般的な病院で相部屋にした場合、一日2万円程度が目安です。正常分娩では6〜7日間入院するケースが多いので、約12万〜14万円前後かかります。また、妊婦自身が希望して個室にした場合は、別途個室代などがかかります。
■分娩費(帝王切開含む)

分娩費は、分娩にかかる費用のことで、正常分娩の場合で約25万円かかります。帝王切開や吸引分娩を行ったり、陣痛誘発剤を使ったりした場合は、その分の医療費はかかりますが、公的医療保険の対象になり自己負担は3割となります。

なお、事前に予定していた選択帝王切開の診療報酬は2万140点、緊急帝王切開の診療報酬は2万2,200点、吸引分娩の診療報酬は2,550点です。診療報酬は1点につき10円換算となりますので、これらの措置が行われた場合は、それぞれおよそ点数×10円の3割が支払金額に上乗せされます。

自己負担額は、選択帝王切開は6万420円、緊急帝王切開は6万6,600円、吸引分娩は7,650円です。

■新生児管理保育料

新生児管理保育料は、検査などの管理や保育など、新生児の健康管理にかかる費用のことです。公益社団法人国民健康保険中央会「正常分娩分の平均的な出産費用について」(2016年)によると、新生児管理保育料の平均値は5万621円、中央値は5万1,500円です。
■産科医療補償制度

産科医療補償制度は、出産において予期せぬ出来事で重度脳性まひとなった赤ちゃんとご家族の経済的負担を補償し、再発防止と原因分析に役立てるための制度です。医療機関だけに高額な賠償責任を背負わせると、リスクの高い産科医療を行う医療機関はどんどん減ってしまいます。そのため、出産を扱う分娩機関が入る民間の保険制度です。

2009年に同制度が導入される際に、分娩機関が支払う掛け金約3万円が分娩費に上乗せされることが見込まれたため、出産育児給付金が約3万円分引き上げられました。ただし、産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産する場合、出産育児一時金の金額が異なります。
■そのほかの検査等

分娩中に、胎児の状態を知るために行われる検査などに費用がかかります。公益社団法人国民健康保険中央会「正常分娩分の平均的な出産費用について」(2016年)によると、そのほかの検査等でかかる費用の総額は、平均値で約5万5,000円、中央値で約3万4,000円です。

妊婦検診や出産以外の費用にも注目しよう

出産にかかる費用に加えて忘れてはならないのは、マタニティ用品・ベビー用品の購入費や、妊婦健診にかかる費用などです。

マタニティ用品をどれだけ買うかにもよりますが、下着やマタニティワンピース、腹帯などを含めて、2万〜5万円程度はかかります。ベビー用品は産着のほか、ベビーベッドや哺乳瓶、ベビーカー、抱っこ紐などを一式そろえると、5万〜10万円程度です。

また、妊婦健診は病気やケガではないため、公的医療保険は対象外となります。施設によって金額は異なりますが、妊婦検診料は1回につき5,000〜1万円程度です。
ただし、妊婦検診には公費による補助制度が利用できます。妊娠がわかったら、お住まいの市区町村の役所に妊娠の届出書を提出し、母子手帳を受け取りますが、母子手帳に補助制度に使う「妊婦健康診査受診表」がついています。こちらを医療機関に提出すれば、妊婦健診代が補助されますので利用しましょう。

ほかにも、病院へのタクシー代のほか、里帰り出産をする場合は新幹線代や飛行機代も必要になります。
出産時に活用したい給付金制度

医療機関だけでなく、ベビー用品なども含めると出産費用はかなりの金額になりそうですが、公的医療保険などの給付を受けられますので、実際的な負担額は抑えられます。
○■出産育児一時金

出産育児一時金は、国民健康保険または健康保険に加入している方が出産した際に、子ども1人につき42万円を受け取れる制度です。お産をする病院が、産科医療補償制度に加入していない場合は、受給額が40万4,000円になります。

出産育児一時金には、「直接支払制度」という便利な制度があります。直接支払制度は、出産前にお産をする医療機関と契約を結び、医療機関が被保険者本人に代わって出産育児一時金を申請して受給額を受け取り、被保険者は出産費用で超過した分のみを支払うことができるというものです。この制度を利用すると、出産費用の平均値50万5,759円の場合なら、出産育児一時金の42万円を引いた約8万5,000円分が自己負担になります。

もし、出産費用が出産育児一時金分を超過しない場合は、その差額を被保険者に返金するため、別途、出産育児一時金の申請が必要です。
○■高額療養費制度

高額療養費制度は、公的医療保険の対象となる治療費が、1カ月で上限額を超えた場合に、後で払い戻しを受けられる制度です。自己負担限度額は世帯所得によって違いますので、詳しくは全国健康保険協会のウェブサイトで確認しましょう。
○■医療費控除

医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間に医療費が一定額を超えたときに、確定申告をするとお金が返ってくる制度のことです。医療費の合計額から、出産育児一時金や高額医療費制度で払い戻しを受けた分を引いた額が10万円を超えると、医療費控除の対象になります。

なお、出産にまつわる費用の中で、医療費控除の対象になるものとならないものがあります。対象となるのは、妊婦健診やその際の通院費用、入院費、入院中の食事代、自然分娩を含む分娩費、定期健診、検査です。
出産する人が会社員の場合、受けられる出産費用の助成がある?

出産する本人が会社勤めをしている場合は、下記のような制度も利用できます。チェックして活用してみましょう。
○■育児休業給付金(育休手当)

育児休業給付金(育休手当)は、育児休業中の生活をサポートするために設けられた制度で、雇用保険に一定期間加入している方が対象となります。育児休業中に出産した女性、そのパートナーの男性ともに取得が可能で、女性は産休明け(出産日から起算して58日目)から、男性は出産の当日から支給対象となります。

育児休業中の就業日数が1カ月あたり10日以内、育児休業中の給与が休業前給与の80%未満など、いくつかの条件を満たしていれば、最大2年間の育児休業中に、一日あたり「休業開始時賃金の日額×支給日数×67%(半年経過後は50%)」の手当が受け取れます。
○■傷病手当金

傷病手当金は、切迫早産や妊娠高血圧症候群などで連続3日以上会社を休み、その間の給与支払いを受けていない場合に受け取ることができます。1日あたりの金額は、「直近1年間の月額平均給与÷30日×3分の2」です。
○■出産手当金

出産手当金は、出産のために休職する労働者を支援するための制度です。職場で健康保険に加入している方のほか、一部条件を満たしている場合は退職した方も利用できます。基本的に、出産日以前42日から出産日の翌日以降56日までの範囲内で、会社を休み給与の支払いがなかった期間が対象です。

一日あたり「支給開始日直近の1年間の月額平均給与÷30×3分の2」が、健康保険から支払われます。

○出産費用は余裕を持って準備しよう

正常分娩の出産費用平均額は約50万5,000円ですが、予定外の分娩方法になることもあります。また、マタニティ用品やベビー用品など、出産以外にもお金が必要です。

安心して出産に臨めるよう、出産費用はできる限り、余裕を持って準備しておくことをおすすめします。出産費用は高額に思えますが、出産育児一時金や高額療養費制度などを活用することで、自己負担額を減らすことができますので、忘れずに活用しましょう。(橘夢人)

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  • 助産制度も書いとかんとお金の無い低所得世帯の出産支援制度が抜けてるやん���줷�������줷�������줷����
    • イイネ!3
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