企業は今、どのように戦うべきか?コロナ禍での消費者コミュニケーションを考察

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2020年10月28日 20:30  FUTURUS

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世界的に大きな影響を与えている新型コロナウィルス感染症(COVID-19)。日本でも「コロナ禍」というワードが使われるようになって久しいが、一時期の緊急事態宣言に比べると消費者・企業を含めた活動はコロナ禍前に戻りつつある。 しかし、気になるのは消費者行動の変化についてだ。リモートワーク化の流れなど、オンライン化の加速は、実際の消費者の購買行動にどのような影響を与えているのか。 今回は、「ニールセン デジタル株式会社」が発表した、消費者のマルチスクリーン利用状況についての分析結果を基に、これからのマーケティング・コミュニケーションについて考えていく。

コロナ禍で消費者行動はどのように変わっているのか

コロナ禍での消費者行動の変化については、推測を含めさまざまな情報が飛び交っている。今回は「ニールセン デジタル株式会社」の発表する、消費者のマルチスクリーンの利用動向調査を基にした結果を見つつ、さらなる深堀りをしていくことにする。

「ニールセン デジタル・コンシューマー・データベース2020 (Nielsen Digital Consumer Database 2020)」の結果から抜粋されている中で、今回は下記の2点についてみていく。

1.オンラインで購入を検討し、店舗で購入を行った行動数

SOURCE:PRTimes

消費者が実店舗での買い物によってCOVID-19に感染することを恐れるという心理的影響を受けて、店舗で買い物する場合には、滞在時間を減らすためにオンラインで事前に商品を検討した上で買い物に向かうケースが増えていると考えられます。実際に大半のカテゴリーにおいて、オンラインで検討してから店舗で購入する人の割合が昨年から大きく増加しています。

特に昨年比で変化の大きいカテゴリーは、「ゲーム関連商品」「化粧品」「ペット用品」「ベビー用品」などがあげられる。店舗滞在時間の長かったカテゴリー商品は、オンライン上で情報を得ることである程度購入イメージを膨らませ、イメージとの答え合わせとして店舗購入に至っている消費者が多いのではないだろうか。

一方で、ペット用品やベビー用品については、日用品や食品のカテゴリーに近いものになるが、明らかに昨年比でオンライン検討率が高くなっている。これは、心理的影響という観点から、信頼度をより重視しているのではないかと考えられる。

自分用に使っている日用品などはいつも通りか、店舗にあるものからすぐに選ぶことができるが、自身でリスク回避を行えないペットや赤ちゃんに対してはいつも以上に商品に対して信頼がおけるのか?を考え、より検討に時間を要するようになった、ということだろう。

これらの傾向から見えることは、より安全・信頼性に対する訴求が必要で、店舗での検討前にオンライン上で情報収集されることが増えている、ということだ。

マーケティング戦略として、いかに店舗の棚を取るか?という点は引き続き重要施策ではあるが、その前段階としてのオンライン上での消費者の検討割合は増えていることから、デジタル上でいかに商品・サービスの訴求ができるかは、より重要となってきているだろう。

また、デジタル上での消費者コミュニケーションにおいては、オフライン同様の情報が整っていることに加え、店舗へ行く前に「体験」を行える環境が整っていることも重要だと考えている。

店舗での体験機会が減少している今こそ、オンライン上での様々な体験は、消費者に購入喚起させるための、非常に重要な要素になるのではないか。

2.情報に対する信頼度について

SOURCE:PRTimes

COVID-19の影響によりSNS上でさまざまなフェイクニュースが広まったことで、情報を簡単に信用しないように心掛ける人も多いのではないでしょうか。その結果、消費者の情報に対する信頼度が変わっていると考えられます。実際に昨年と比較して、インターネット上の消費者の口コミに対する情報の信頼度が低下しています。

先程商品の信頼性についても話を出しているが、情報の発信元についても同じことが言えるだろう。特に、様々な情報があふれており、オンライン上で誰でも情報発信が可能な現代においては、信頼がおけるかどうかの見極めは重要だ。

今回のデータは、コロナ禍においてその流れがますます加速している、という結果であろう。

信頼というのは情報の正確性という視点ももちろんあるが、データから見えるのは「誰が言っている情報か」が重要な判断軸になっているということだ。特にEARNED部分の「友人や家族からの勧め」は信頼度が上がり、「インターネット上の消費者の口コミ」は信頼度が下がっていることからも、その傾向は見える。

結局のところ、信頼がおける情報というのは、自分の知っている誰が、どういっているのか、ということが重要なのだ。

ここから読み取れるように、誰が言っているか、、またそれが信頼のおける人物か、ということを伝えながら、コミュニケーションをとることが必要だろう。また、どのように消費者の信頼を得ていくのかということも、コミュニケーション戦略を考えるうえでは今後ますます重要になっていくと考える。

そもそもの消費者コミュニケーションの本質を考える

消費者行動の変化と、そこから見えるコミュニケーション施策については先に述べたが、ここでもう少し前提の話に立ち返っていきたい。行動変化を追うことは非常に重要であるが、同時に消費者コミュニケーションにおける本質は見落としてはならないためだ。

コロナ禍で一層加速したDX化だが、DX化というのは消費者や会社のゴールではなく、世の中のフィールドの変化に適応するための施策、という話だ。

オンライン上でのコミュニケーション施策が増えるのは、消費者のフィールドが変わったからというだけの話で、結局のところマーケティング施策やコミュニケーション施策の根本は変わっていない。

どのように消費者に接点をもち、どのようにコミュニケーションを行い、体験を与えていくと消費者は購買意欲を刺激されるのか。という部分を突き詰める視点は、オンライン・オフラインに関わらず、必ず立ち返らなくてはならない視点であろう。

その中で、コロナ禍のような世界的災害は消費者の行動変化にどのような影響があるのか。という視点に立って、コミュニケーションを取っていくべきである、と筆者は考える。

そのため、数値から見えるデータも重要だが、そこから読み取れる「安全や信頼を重視している」という消費者心理を踏まえたコミュニケーションは重要になってくるだろう。

また、コミュニケーションをとるべき消費者が、どの時間どこで、どんなコミュニケーションを取っているのか、という部分についても、同様に網羅的に理解しておくべきだろう。

消費者とのコミュニケーション目的の前提に立ち返ることで、常に変わっていく消費者の動向を的確に読み解いていくことができるのではないだろうか。

終わりに

今回はコロナ禍における対消費者コミュニケーションについて、調査データを基に考察を行った。FUTURUS編集部では引き続き、デジタル上での消費者コミュニケーション戦略とその動向について、様々な視点から追っていくつもりだ。

【参考・画像】 ※PRTimes

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