「愛子さまを天皇に」は宮内庁から聞こえてこない?朝日新聞元編集委員が明かす

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2020年10月30日 11:35  AERA dot.

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写真愛子さま (c)朝日新聞社
愛子さま (c)朝日新聞社
 秋篠宮さまが皇嗣になったことを宣言する立皇嗣の礼が11月8日に執り行われる。皇室有識者会議で座長代理を務めた御厨貴氏と岩井克己・朝日新聞元編集委員が菅新政権と令和皇室の関係についてZoom対談。皇統問題のキーパーソンは官邸の“重鎮”杉田官房副長官という。

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御厨貴氏:ようやくです。コロナ禍で延期になっていた立皇嗣の礼が、11月8日に行われますね。

岩井克己氏:ええ。代替わりに伴う一連の儀式の締めくくりです。皇位継承順位の第1位が秋篠宮殿下、第2位が悠仁殿下という皇室典範特例法制定で確定した順位が、祭祀の世界でも固まることになります。皇居宮中三殿、伊勢神宮や神武天皇陵、昭和天皇陵に報告、ごあいさつされる。11月23日の新嘗祭。天皇陛下とともに平安装束姿で神嘉殿に入り、天皇のそばに控える。今後は他の祭祀も紀子さまと殿上拝礼されることになる。

御厨:秋篠宮さまの55歳の誕生日(11月30日)もあり、眞子さまと小室(圭)さんの問題に関する発言も注目されます。

岩井:僕は最初から、ご本人たちが希望するならば、一緒になればいいと思っていた。女性皇族の結婚は私的なことだし、思う通りにならなかったら別れられればいい。英国王室でも皆さん別れていますからね。
 やっかいなのは、皇籍離脱となれば「女性宮家」創設論議と絡んでくる点です。

御厨:眞子さまは、10月に29歳、愛子さまも12月に19歳になります。たとえ女性宮家の議論を始めても、眞子さまの結婚には間に合わない。

岩井:大事なのは、将来、男子継承が危うくなった万が一の時には皇籍に復帰していただける手段を考えておくことです。それまで「元内親王」とか「皇女」とか肩書をもって、公務などを手伝っていただく。個人的には、いざとなれば、それこそ特例法でもいいと思います。

御厨:準皇族のような立場もひとつの方法ですね。問題は、小室さんのスキャンダルです。だが、戦前の王室、皇室にスキャンダルはつきものでした。当時を考えればひどいことではない。

岩井:昔の新聞は、醜聞も丸めて書きましたが。

御厨:いまはSNSによって数分で炎上し世界中をめぐる。やっかいです。ところで、代替わりの瞬間は、令和の天皇さんもいいスタートを切った印象でした。即位の宮中行事をつつがなく終え、パレードや皇居前広場の祭典では、国民との一体感すら醸成できた。菅政権では登場人物が代わりました。官房長官だった菅(義偉)さんは総理に就任。加藤勝信官房長官、杉田和博官房副長官の布陣になった。

岩井:実は宮内庁幹部らが一番気にしていたのは、「誰が官房長官になるか」です。手堅く過激なことはしなさそうな加藤さんに決まって、宮内庁の役人はほっとしたのではないかと思う。

御厨:菅新総理が皇室との関係をどう考えるのかがポイントですね。2月に、官房長官だった菅氏は、安定的な皇位継承について、「有識者への意見聴取を行っており、『立皇嗣の礼』の後に具体的な論議を行う」と発言しています。菅新政権は皇統や女性宮家の議論をどうするつもりでしょうか。

岩井:1年以内に総裁選と衆院選、コロナ下での五輪開催問題もあるなかで、皇室に構ってられないのでは。(自民党の)二階俊博幹事長や河野太郎規制改革相らが、女性天皇も容認するかのような発言をしているが、本気で矢面に立つ覚悟があるのかは疑問です。

御厨:そうでしょうね。

岩井:河野さんは、皇統の問題は、「早くやらないとリスキーだ」という言い方をした。しかし、15年後、天皇陛下は75歳、皇嗣殿下は69歳。悠仁さまは29歳、結婚の適齢期ですね。3方はご健在でしょうし、まだ崖っぷちとは思わない。

御厨:ただし、菅さんならば一気にやれる部分もあります。安倍さんの場合、支持母体である男系思想の右の勢力への配慮が出てくる。しかし、菅さんにしがらみはない。男系男子のイデオロギー的傾倒はないでしょう。

岩井:なるほど。

御厨:菅さんは、まず勝算と利益を考える合理主義者です。昨年末から水面下で識者からヒアリングをしていますね。意見集約もせず、だれに知らせるわけでもない。いま議論を進める合理性はないから、検討を続ける格好を取り続けている。

岩井:そうですか。

御厨:時期を見極めたときに実行するのが菅−杉田ラインだと思う。政権交代で、杉田さんは官房副長官を辞めると思ったが再任した。杉田さんは、「自分は退位の問題が終わったら安倍政権下でも副長官は辞める」と僕にはっきりおっしゃった。いまも続けるのは、菅政権下でも皇統の問題に連続性を持たせる気があるからだと思う。

岩井:問題は、皇統の議論が皇室本体が望む方向に行くのかです。

御厨:新聞などの世論調査では、「愛子天皇」賛成の声が高い。

岩井:だが、宮内庁の幹部と話をしても、「一刻も早く女性・女系天皇の容認を」「愛子さまを天皇に」という声は聞こえてこない。

御厨:やっぱりね。

岩井:思い出すのは、小泉内閣での、皇室典範改正の議論です。

御厨:悠仁さまが生まれておらず、孫の世代に男性皇族がひとりもいない皇室は危機的状況にありました。

岩井 政府は吉川弘之元東大総長を座長とする有識者会議を発足させて、「着地させろ」と散々にもめていた。そのとき、皇居の奥から花弁が舞うように、皇太子さまが、「ちょっと待ってくれませんか」と言いだしたという証言が聞こえてきた。

御厨:ははあ。

岩井:だが、有識者会議の主だった方々もご存じなかった。有識者会議は方針どおり、「女性・女系天皇容認」の報告書を提出。みんな懸命に努力してくれているのに、「事ここに至って止めるのは無理」ということで表に出なかったのではないかと推測しています。

御厨:皇太子さまが「待った」をかけたかった理由は?

岩井:雅子さまが適応障害で体調を崩し、子育てでも悩んでおられるなかで、「愛子さまが天皇になるぞ」と典範改正までされたらどうなるのか、と心配されたのかもしれませんね。

御厨:そのあと、いろいろなことが皇室の家族に起きました。当時の皇太子ご一家周辺の「赤坂」と平成の天皇ご夫妻周辺の「千代田」で溝も深まりました。

岩井:ええ、その溝は天皇と皇太子と秋篠宮の3人が毎月会う三者会議が定例化するに従い、埋まったようです。秋篠宮が皇嗣として事実上の皇太弟となることにも不協和音は聞こえてきません。上皇、天皇、秋篠宮の3者の合意ができているためではないでしょうか。それを理解しないまま、世論調査で「女性天皇」への賛成が多いから道は決まっている、と言う。宮内庁幹部の中には、「今は愛子さまを天皇に、という人は宮内庁にも官邸にもひとりもいない」と明言する人もいます。

(構成/本誌・永井貴子)

【後編:杉田官房副長官の謁見を断った風岡典之元宮内庁長“更迭劇”の真相は?】へ続く

岩井克己(いわい・かつみ)/1947年生まれ。94年から2012年まで朝日新聞編集委員。「紀宮さま、婚約内定」の特報で05年、新聞協会賞受賞。著書に『天皇家の宿題』『皇室の風』、共同監修に『徳川義寛終戦日記』など。

御厨貴(みくりや・たかし)/1951年生まれ。東大法学部卒。政治学者。東大名誉教授。東大先端科学技術研究センターフェロー。2016年に天皇の退位を検討する「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」で座長代理を務めた。

※週刊朝日  2020年11月6日号より抜粋

このニュースに関するつぶやき

  • どうせ恣意的編集をしてるんでしょ?
    • イイネ!5
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  • 普通の家でも嫌われるようなお相手だけどな。それを真子様のお相手として報道し続ける悪意については語らないメディアは異様よ?
    • イイネ!23
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