野球も「子どもへの普及」もめいっぱい頑張る。三島南高校の活動。

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2020年10月30日 14:52  ベースボールキング

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ベースボールキング

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静岡県三島南高校硬式野球部は、2014年から未就学児童を対象に「野球交流会」を実施してきた。2019年からは高校野球200年構想を受けて小学生にも野球体験の場を実施している。この年は夏休みに3日間、野球体験教室を実施して104名の小学生が参加した。
この経験から稲木恵介監督は、年1回の普及活動ではなく、小学生がボールやバットを使って高校生との交流が持てる機会を提供すべきだと考え始めた。



三島南高校は、今年、野球でも注目を集める活躍をした。
新型コロナ禍で、活動停止を余儀なくされたが、夏の代替大会が決まるとともに、新しい部活動の形を模索し始めた。
稲木監督は「無理な練習はやらない。根拠立てて綿密にコンディショニングをしてみよう。今までの経験は無いから不安はあると思うが、全員で信じて作り上げよう」と選手とともに野球部の活動を見つめなおした。
静岡県の代替大会は7月11日からトーナメントで行われたが、三島南高校は東部地区大会を3位で突破し、静岡県大会では、二回戦浜名高校に4対2で勝利すると、準々決勝では優勝候補筆頭の静岡高校に3対1で勝利しベスト4へ進出した。準決勝、3位決定戦と敗れたはしたが、地元選手のみの普通の公立高校の善戦は大きな注目を集めた。

稲木監督は注目される今だからこそ地域貢献を復活できないか考えた。
「地域の方々から静岡高校に勝って準決勝を迎える時に、応援や激励の電話が学校へ多く寄せられ、改めて高校野球の力を感じました。地域への恩返しを考えた時、未来ある子ども達が活発に活動できる場を提供できないか。三島南高校へ遊びに行ったら高校生が一緒に遊んでくれたり野球を教えてくれたりワクワクする体験ができると子ども達が感じたら地域に元気が出ると思いました。いかに恒常的な活動に出来るかが今後の課題ですが、なんとか月に1回ぐらいでも実施していきたいです」

10月21日午後4時半過ぎ、三島南高校グランドにジャージ姿の小学生が集まってきた。学年も性別も所属小学校も様々である。総勢62人。
検温、アルコール消毒など感染症対策をしながら受付を終わった子から待ち構えていた高校生と的当てで遊び始める。



午後5時に全員の受付が終わり、小学生を学年ごと4班に分けて体験会がはじまった。
まずは走り方の教室。ミニハードルを立て、ベースランニングでの野球の動きにつながるように工夫されている。上級生になるにつれ、腕の振り方や足のあげ方など走り方のコツが伝えられた。
続いてキャッチボール。小学一年生は走ってきて上にあげられたボールを取ったり、バウンドしたボールを取ったりと様々な動作を遊びながら学んでいる。野球経験の無い3・4年生はボールの投げ方からはじまった。5・6年生はお互いにキャッチボールをしながら、時折高校生にアドバイスをもらっていた。
さらにバッティングと捕球・投球動作がはじまる。上級生は軟式球を使い本格的なフリーバッティングだ。未経験者や低学年はセーフティーボールや低学年用のティーボールを使っている。
捕球投球動作では、空き缶にテープを巻いたものを積んだ的や、ペットボトルに砂を詰め人気キャラクターを貼った的で的当て方式で行った。



日が暮れて夜間照明での体験会となったが、子どもたちは、高校生のお兄さんの指導で存分に体を動かした。
6時30分野球体験会は閉式した。

稲木監督は語る。

「私が子供の時に放課後家の近くの公園で遊んでいたようなことですが、なかなか今このような遊びをやる場所が無いのが現状です。だから少しでも野球を遊びとして捉えられる場が必要ではないかと考えています。
これまでの少年団は、土日の全ての時間を練習に当てていましたが、それよりも毎日少しの時間でも的当てをするなどしたほうが良いと思います。
長時間練習を無理にすれば、子どもが野球を嫌になってしまうのではないでしょうか」

三島南高校は今後も普及活動を定期的に行っていく。野球と普及活動は三島南高校にとって、活動の「2本柱」になったようだ。(取材・文・写真:濱岡章文)

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