就活生の「銀行離れ」を考える 今あえて銀行に行くのもあり?

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2020年10月31日 07:30  キャリコネ

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かつて就職人気ランキングの上位常連だった銀行ですが、足元2〜3年でその人気は一気に低下してしまいました。マイナビが今年4月に発表した「マイナビ・日経 2021年卒大学生就職企業人気ランキング」によると、銀行は最上位(文系)でも三菱UFJ銀行の21位と振るいません。

ほんの数年前まで、安定性や福利厚生の充実度から圧倒的な人気を誇っていた銀行は、もはや就職先として魅力がなくなってしまったのでしょうか。(文:楽天証券経済研究所・ファンドアナリスト 篠田尚子)

専門性を磨きたいならむしろ「アリ」

今あえて銀行に就職するのは「アリ」か「ナシ」か。新卒で銀行に入行し、その後は外資系通信社、そして現在は証券会社に身を置く筆者は十分「アリ」だと考えます。筆者が就職活動をしたのはもう20年近くも前のことで、銀行を取り巻く環境も当時から大きく変わりました。

それでもなお、銀行へ行くのが「アリ」だと思うのは、ひとえに「銀行でないとできない仕事」がたくさんあるからです。これは証券会社についても同様です。銀行と証券会社は就活関連の情報サイト等で一括りにされてしまいがちですが、間接金融と直接金融で担う業務の領域は大きく異なります。

もっと言うと、金融の世界は、銀行、証券、保険、資産運用会社、信販など、各会社に任せられた業務内容があり、突き詰めていけばいくほど、非常に高い専門性が求められます。新卒向けの就活情報で、金融業界の詳しい情報があまり見当たらないのは、単純に業務の領域が広すぎて紹介しきれないからと思われます。

また、どれだけ素質があったとしても、新卒でいきなり極めて専門性の高い業務に就くことは現実には難しいという事情もあります。どんな仕事でも、まずは信頼を蓄積していくことが大切だからです。

就活中の学生の皆さんとお話しすると、よく「専門性を身につけたい」という方がいますが、現在、金融業界の第一線で活躍している方の多くは、キャリアを重ねる中で専門性を磨きながら信頼を醸成し、現在のポジションを得ています。これは資格の有無や勤続年数のような単純な話ではなく、適正はもちろんのこと、その仕事に巡り合う「縁」のようなものも少なからず関係します。どのような専門性を身につけるかは、金融の世界に入ってから考えても決して遅くありません。

銀行の形は変わっても「銀行業」はなくならない

では、そもそもなぜ学生の銀行人気が低下してしまったのでしょうか。マイナビが今年6月に発表した「2021年卒マイナビ大学生業界イメージ調査」によると、銀行・証券業界は「安定性」のイメージこそ今も高いものの、「将来性」や「仕事の魅力」についてはマイナスのイメージを抱いている学生が多いようです。

後者の「仕事の魅力」については先述した通り、就職活動の段階ですべてを理解することは難しいと言わざるを得ません。学生の皆さんがより気になるのはやはり「将来性」でしょう。

「将来性」に対するマイナスイメージとはつまり、フィンテック・AI(人工知能)の台頭のほか、キャッシュレスの浸透によってマンパワーが必要とされなくなることを危惧しているものと思われます。確かに、これは決して間違っていません。とはいえ、歴史を紐解いてみると、実は銀行や証券会社の業務内容は過去にも度々変革を強いられてきたことが分かります。

代表的なのは、1990年代後半の日本版金融ビッグバンに伴う規制緩和です。筆者が現在在籍しているインターネット証券も、元々固定化されていた株式売買委託手数料が、金融ビッグバンの一環で完全自由化されたことで台頭しました。当時もやはり伝統的な証券会社のビジネスモデルを危惧する声がありましたが、20年の年月を経て、ネット証券と従来型の証券会社はそれぞれのビジネスモデルを確立し共存しています。これは銀行についても同様です。業界内で競争が起き、ビジネスの形が変わっても、証券業や銀行業といった業態そのものがなくなるわけではないということです。

現在、世界では新興のフィンテック企業が次々に誕生しています。また、米国では、フェイスブック、アップル、グーグルなどの巨大IT企業が金融事業に乗り出しており、こうした時代の流れも、学生の皆さんが銀行の将来性を危惧する要因になっていると思われます。しかし、これら新しいサービスの多くは、あくまでも伝統的な金融サービスの「応用編」として生まれたものです。何よりもまずは基礎を大切にすること。そして、変化を恐れることなく順応していくこと。銀行に限らず、金融業界を目指す皆さんに覚えておいてもらいたいことです。

【筆者プロフィール】
篠田 尚子(しのだ しょうこ)
楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
AFP(日本FP協会認定)

国内の銀行において個人向け資産運用のアドバイス業務に携わった後、2006年ロイター・ジャパン入社。傘下の投信評価機関リッパーにて、世界中の機関投資家へ向けて日本の投資信託市場調査および評価分析レポートの配信業務に従事。同時に、世界各国で開催される資産運用業界の国際カンファレンスで日本の投資信託市場にまつわる講演も数多く行う。2013年にロイターを退職し、楽天証券経済研究所に入所。各種メディアで投資信託についての多くのコメントを手掛けるほか、銘柄選びに役立つ各種コンテンツの企画や、高校生から年金受給層まで、幅広い年齢層を対象とした資産形成セミナーの講師も務めるなど、投資教育にも積極的に取り組んでいる。著書に「本当にお金が増える投資信託は、この10本です。」、「新しい!お金の増やし方の教科書」(ともにSBクリエイティブ)などがある。

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  • 高い給料が欲しくて奴隷のように働き、蹴落とし合いに勝ち残って威張りたいなら銀行かキャリアの公務員だ。そこそこの給料で楽をしたいなら大企業。高い給料で面白い仕事は起業するしかない。 https://mixi.at/agDdPxp
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