ネット発のイカれた陰謀論「Qアノン」信者が増殖中「トランプは救世主だ」

24

2020年10月31日 09:02  日刊SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊SPA!

写真Qアノンのベストを着た男性。マサチューセッツ州の「児童・生徒のインフルエンザ予防接種義務化」反対デモで。2020年8月31日、 REUTERS/Brian Snyder
Qアノンのベストを着た男性。マサチューセッツ州の「児童・生徒のインフルエンザ予防接種義務化」反対デモで。2020年8月31日、 REUTERS/Brian Snyder
 11月3日に行われるアメリカ大統領選。この数ヶ月、現地で大きな問題となっているのが、一部のトランプ支持者の過激化だ。なかでも、「Q Anon(Qアノン)」と呼ばれる陰謀論者たちが急増し、トランプ支持者の中にも多いという。
 Qアノンの主張は、まさかこんなことを信じるとは――と驚愕するほどトンデモ度が高い。ヨーロッパなどにも飛び火しており、日本にも信奉者が現れている。

 大統領選でどちらか勝とうとも、彼らのような極右カルト集団がなぜ生まれたのかが重要だ。Qアノンとはいったい何者なのか? 最新刊『隠れトランプのアメリカ』を上梓した横江公美氏(東洋大学国際学部教授)に解説してもらおう。

 横江氏は、米国の大手保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」の元上級職員で、2016年の大統領選でもトランプ勝利を言い当てた。2020年の大統領選も大接戦だと予想する。(以下は、横江公美著『隠れトランプのアメリカ』の一部を編集したものです)

◆ネットユーザーを侵食する極右カルト

 トランプが語るディストピアの世界観は、今まで光が当たらなかったアメリカの負の側面を露わにしつつある。極右のカルト集団や危険な極左集団などが、ある種の市民権を得るほど存在感を高めている。

 極右のカルト集団の代表格は、「Qアノン」だ。2017年10月にアメリカの匿名掲示板「4chan」に「Q」を名乗るユーザーが、自称「国家機密レベル」の話を投稿したのが起源とされる。その書き込みは一部のネットユーザーを虜にし、「Q」の考えに賛同する人たちが自らをQアノンと名乗り、アメリカ最大のソーシャルニュースサイト「Reddit」やフェイスブック、ツイッター、YouTubeなどを侵食することで信者を増やしていったのだ。

 アノンは「名無し」を意味する「アノニマス」に由来するように、その信者の大半は名前や素性を隠して活動している。あまりにも実態が把握できないために、「かなりの秘密文書にアクセスできるトランプ政権の高官も信者の一人」といった噂も飛び交っている。

◆Qアノンの狂った陰謀論…リベラル派は子供を殺して食べている

 ただし、Qアノンが主張していることは、まったく根拠のない陰謀論である。CNNのアンダーソン・クーパーは番組内で「Qアノンが信じている内容」を以下のように説明している。

●トランプのツイートは暗号である(トランプのツイート上の大文字の文字数が17文字で、「Q」も17番目のアルファベットであることを強調)

●1999年に飛行機事故で亡くなったジョン・F・ケネディ・ジュニアの生存とUFOの存在を信じる

●悪魔を崇拝する小児性愛病者(ロリコン)とディープ・ステート(影の国家)によって世界が支配されている

●ヒラリー・クリントンらのリベラル派の政治家やトム・ハンクスなど著名人は小児性愛病者で人身売買を通して子供を殺して食べている

●トランプは小児性愛病者やディープ・ステートから我々を守るヒーロー、守護神だ

 誰がこれを信用するのか?と不思議に思うだろうが、極端に右に偏ってしまったトランプ支持者はこの手の話が大好物だ。実際、アメリカの調査会社デイリー・コスとオンライン調査会社Civiqs社の共同調査では、共和党支持者の3人に1人がディープ・ステートをめぐるQアノンの主張を「真実だと思う」と答えている。アメリカにはすでに数十万人の信者がいるとも言われている。

◆共和党支持者の4割は、Qアノンの投稿を「いい情報」と

 2019年にアメリカ連邦捜査局(FBI)はQアノンについて「国内テロの脅威とみなすべき要素は揃っている」と結論づけ、フェイスブックは今年6月になってQアノン関連の投稿の削除に動き出した。それでも、信者の増殖は止まらない。

 Qアノンの認知度を定点観測するピュー研究所でも、「Qアノンを知っている」と答えた人は今年3月時点で23%にすぎなかったが、9月初旬の調査では47%にまてで倍増した。75%の人がQアノンの書き込みを「いい情報ではない」と答えているが、共和党支持者に限ると、41%もの人が「国のためにいい情報」と答えている。

 そもそも、トランプが「(Qアノンのことは)よくは知らないが、私のことを好きだということは知っている」として存在を受け入れているぐらいである。トランプがQアノンの投稿にツイッター上で200回近くも「いいね」していたことも明らかになっている。半ば“公認”されれば、トランプ支持者が取り込まれるのも仕方がない。

◆Qアノン信者の下院議員も間もなく誕生

 実は、Qアノン信者の下院議員も間もなく誕生する。今回のアメリカ大統領選と同時に実施される下院議員選挙で、信者のマージョリー・テイラー・グリーンがジョージア州第14選挙区の共和党候補指名を受けているのだ。グリーンが共和党予備選で党主流派を破った翌日、トランプはツイッターに「未来の共和党のスター」と投稿した。

 このほか、2016年大統領選挙でトランプ陣営がロシアと共謀してヒラリー陣営にサイバー攻撃を仕掛けるなどの工作をした「ロシアゲート事件」をめぐって逮捕された元大統領補佐官のマイケル・フリンが、起訴の取り下げを求める活動のなかでQアノン信者にも寄付を募り、そのときQアノンに忠誠の誓いを立てている。

<文/横江公美>

―[隠れトランプのアメリカ]―

【横江公美】
明治大学卒業後に松下政経塾に入塾。プリンストン大学、ジョージ・ワシントン大学で客員研究員を務めた。’11〜’14年まではアメリカの大手保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」でアジア人初の上級研究員として活躍。’16年から東洋大学グローバル・イノベーション学科研究センターで客員研究員、’17年から同大学教授に。’16年に出版した『崩壊するアメリカ』でトランプ政権の誕生を予想するなど、アメリカ政治に関する著書多数。近著に『隠れトランプのアメリカ』

このニュースに関するつぶやき

  • アメリカでいう「ネトウヨ」にあたるものが「Qアノン」って話か?やってる事が政権批判してる人に政策に対する見解じゃなく根拠ない人格否定のレッテル張るって所はホント似てるな…。
    • イイネ!1
    • コメント 0件
  • イカれた陰謀論より面白い動画(ただし公共の電波に乗せられない)の類がたくさん出てくるバイデンの息子のスキャンダルの方が面白いと思うけどねぇ?www
    • イイネ!24
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(22件)

前日のランキングへ

ニュース設定