「嫌なことからは逃げる」が、心にとって正しい/プロ奢ラレヤー×臨床心理士

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2020年11月01日 07:22  日刊SPA!

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写真「嫌なことをすぐやめる」ことは心理学的にも正しかった⁉️ プロ奢ラレヤーと臨床心理士の向後善之氏がメンタルの持ち方について語り合った
「嫌なことをすぐやめる」ことは心理学的にも正しかった⁉️ プロ奢ラレヤーと臨床心理士の向後善之氏がメンタルの持ち方について語り合った
 年始から世界を襲った新型コロナウィルスは、人々の心をも蝕んだ。コロナ禍による休業・倒産や外出自粛が相次ぎ、自殺者も急増。メンタルケアの重要性とともに、働き方や生き方の見直しが迫られることとなった。

 そんな中、コロナ禍でもストレスとは無縁の生き方を貫く「プロ奢ラレヤー」(人にご飯を奢られて生計を立てている中島太一氏、奢られ実績3000人以上)が「メンタル」をテーマに対談する本シリーズ。今回登場するのは臨床心理士の向後善之氏だ。プロ奢ラレヤーの著書『嫌なこと、全部やめても生きられる』を軸に、「嫌なことをやめられない大人たち」はどう自分と向き合っていくべきなのかについて語った。

◆臨床心理士が太鼓判「プロ奢ラレヤーは、カウンセラーと同じだよね」

プロ奢ラレヤー(以下、プロ奢) てか臨床心理士ってなんすか。お医者さん? カウンセラー?

向後善之(以下、向後) 心理カウンセラー。僕はもともと理系でね、石油会社でずっと働いてたんだけど心理学をやりたくなってお金を貯めて40歳でアメリカに行ったんです。20年前は日本では学べるところが全然なかったから。プロ奢さんの本を読んでいろいろ考えたんだけど、カウンセラーとプロ奢ラレヤーって実はすごく近い存在なんじゃないかと思った。

プロ奢 あー確かに。お客さんが来て、話を聞くっていう……。

向後 カウンセラーだってお金をもらって奢ってもらってるようなもんです。ビルマのお坊さんだって、そう。奢られてるし。だから、なんでみんな「奢られてる」プロ奢さんにカリカリするんだろうって不思議なんです。

プロ奢 ネットにはいっぱいいるけど、実際には批判的な人って会わないですけどね。殴られそうになったことも殺されそうになったこともないから、いろいろ言われてても別にいっかーって感じ。

向後 批判的なコメントで落ち込んだりはしない?

プロ奢 僕、Yahoo!ニュースに載るのが好きなんですよ(笑)。どうせなら普段見れないものをみたいじゃないですか。そういう意味でいうとYahoo!ニュースに自分の記事が上がると、この世の見えなかった部分、聞こえてこなかった声が集まってるのを眺めるのは楽しい。

◆キツいことがあったら、どんどん逃げろ

向後 すごいですね。僕もたまに悪口言われたりすると、なんとか参考にしてやろう!とは思うんだけど、やっぱり落ち込んじゃう。その強さはすごいなあ。なぜそれができるんだろう?

プロ奢 知らない人がネットに書いてるものって、なんかリアルに感じないんすよね。中学の頃から2ちゃんねるみたいな場所に出入りしていたから免疫があるのかもしれない。

向後 タフになってるのかな?

プロ奢 ていうか、そもそも当たらない。悪口って基本的に論理性がないじゃないですか。

向後 ない。本にも書いてあったけど「負けないこと投げ出さないこと逃げ出さないこと」とかも、悪口ではないけどまさに論理性が0なんですよね。だから僕は嫌なことやキツいことがあったらどんどん逃げろって思ってる。そこで立ち向かう必要なんてないから。

 アメリカでカウンセラーやってた時代は「ファックユー」って言われたり罵倒されることも多かったんだけど、それを上司に相談したら「無意味だから聞かなくていい」って言われてさ。そもそも英語の悪口なんて習ったことないからほとんど何言ってるかわからなかったんだけど(笑)。

◆人生はゲーム、大したことじゃない

プロ奢 傷つかない工夫も大事ですね。僕らの世代って「ゆとり世代」とか言われがちだけど、いい意味でゲーム脳なんじゃないかなー。たとえば大学辞めるのは怖いってなんとなくみんなが思ってるけど、別に大学っていつでも行き直せるし本質的には大して失うものもない。シミュレーションさえできれば、別にセーブポイントからやり直せる。だからゲームの中の人物に何言われても大して響かないっていうか……。

向後 面白いですね。その考え方ってこれから主流になるんじゃないかな。人生100年時代、今から70過ぎまで同じ仕事なんて嫌だなと思う人多いんじゃないかと思います。だからスパッと辞めることも大事になってくるけど、なかなかその踏ん切りがつかない人が多いわけで。でも人生をゲームと捉えたら、意外とリセットも容易になるのかもしれない。

プロ奢 そうっすね。そこまで人生を大したことに捉えないで済みますよ。

向後 ゲームが役に立ってるんだな〜。

プロ奢 役立つかどうかはわかんないですけどね。まあ別に役立たなくてもいいじゃないっすか。

◆夢を叶えることより「嫌なことをいかにやめるか」が大事

向後 今って「好きなことを突き詰めよう」「天職を見つけよう」「自己実現しよう」って『役に立つ』内容の本が多い。でもプロ奢さんの本には「嫌なことをやめよう」とだけ書いてある。役立つって感じの本じゃない。でも、それがユニークですね。

プロ奢 そのぶん夢ないですけどね。

向後 でも、Amazonのレビューはめちゃくちゃいいじゃないですか。じわじわ売れますよ、こういう本は。みんな本当はわかってるはず。夢を叶えましょう努力しましょうって言っても叶えられる人なんてほんの一握りだって。僕のところにもこうしたいああしたいって来る人は多いけど、必ず伝えるのは「後悔しないならやったらいい」ということ。「夢は必ず叶う」なんてのは嘘ですからね。

プロ奢 向後先生は、なんで石油会社を辞めてカウンセラーになったんすか?

向後 会社員に向いてなかったんですね。給料は良かったけど……未来が描けなかったし、このまま10年20年いることを考えてもワクワクできなかった。でも僕はプロ奢さんみたいにスパッとしてなくて、アメリカで心理学を学べるよって教えてもらったのが29か30の時で、結局そこから10年間どうしようかとウジウジしていたんです。周りにはなんで今やらないの?って言われていたのに。

◆ユニークさを求められてうつ病になるアメリカ、皆と同じことを求められてうつ病になる日本

プロ奢 単純に20年前だと「アメリカ行ったよ」っていう情報も少ないから、不安ですよね。今たとえば僕がちょっとチェコ行くか、と思ったらツイッター検索すれば「電車はこう乗る」とか「ここが穴場」とか、今の情報も昔行ったことある人の情報も無限に出てくるので、そこに身構える必要もない時代になったと思います。逆に調べると楽しむ要素が減るぐらい情報が出てくるんで、それはそれでつまんねーなーとは思うけど。

向後 僕なんか何も調べられなかったから、最初はまったく予想と違いましたね。サンフランシスコの大学でもさすがに日本人いるだろうなんて思ってたら僕の行ったコースには誰もいなかった(笑)。

プロ奢 アメリカの患者と日本の患者ってなんか違うんですか?

向後 基本的には同じですけど、アメリカの場合は「ユニークであれ」という空気が強い。意見がなくても意見を言わなくちゃならない。だからそれがしんどくなってしまう人は多いですね。つまらない会議でも何かしら意見を言わないといけないのがプレッシャーになって鬱になる。日本は逆で「みんなと同じであれ」というプレッシャーがあるけど。

プロ奢 それだとアメリカの方が辛いっすね。だって人間なんて大概そんなユニークじゃないんだもん。8割ぐらいは本質的には大差ないじゃないですか。同じ学校で同じ会社でって似たような環境でいたらそりゃ互いに近づいていくわけで、みんな静かにしようとか同じことをしようっていう日本のがマシ。

向後 アメリカ人はよく言うよ、「いいよね、日本は会議で発言しなくてもいいんだから」って(笑)

プロ奢 大人しくしてればそこそこの点が取れるって意味では、日本は楽ですね。なんか違うことしたり、でかいこと言えば叩かれるし。

◆「〜であるべき」に毒されている

向後 そうですね。日本はいつからかわからないけど「〜であるべき」に毒されている気がする。しがみついてるんでしょうね、これが正しいんだ、っていう概念に。違う価値観に寛容になれないのは、どこかで俺の人生は間違っていなかったんだって思い込みたいからじゃないかな。否定されるのが怖いんでしょうね。

プロ奢 僕が本の中で言いたいのは、極端な話「別にブサイクでもいいんじゃね?」ってことなんですよ。だから「いや、かっこよくあるべき」っていう人には僕の話は響かない。いろいろなところで言ってるけど、例えば日本でブサイクとされていても他の国に行けばめっちゃモテるかもしれない。
どうしてもモテたかったら国を変えるとか「ブサイク」なままモテる方法だってあるし、そもそも「モテ」さえ諦めれば別にいいわけだし。でもみんな本質的に備わってる変えようのないものを、今の環境のままで変えようとするから生きづらくなる。

向後 プロ奢さんのように、ありのままで生きられるのが一番だよねえ。

<取材・文/片岡あけの 安(本誌編集部)>

【向後善之】
臨床心理士。石油会社での会社員生活の後、渡米しCIIS(カリフォルニア統合学大学院)で統合カウンセリングを専攻。サンフランシスコ市営のRAMS(Richmond Area Multi-Services)他でカウンセラーとして働く。著書に『自分をドンドン傷つける「心のクセ」は捨てられる!』(すばる舎)、『人間関係のレッスン』(講談社現代新書)、『カウンセラーへの長い旅―四十歳からのアメリカ留学』(コスモスライブラリー)他。共著に『仏教心理学キーワード事典』(春秋社)。

―[プロ奢ラレヤー「嫌なこと、全部やめても生きられる」]―

【プロ奢ラレヤー】
本名、中島太一。23歳。「他人のカネで生きていく」をモットーにツイッターを介して出会ったさまざまな人に「奢られる」という活動をし、現在フォロワー約9.8万人。奢ってくれた人々との邂逅を綴った「奢ログ」を含む日々の考察を有料note「プロ奢ラレヤーのツイッターでは言えない話。」として配信中。著書『嫌なこと、全部やめても生きられる』(扶桑社刊)、『プロ奢ラレヤーのあきらめ戦略』(祥伝社)。

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  • 個人はいいかもだけど、与党政治家で説明責任を果たさず逃げ回るこう言うアレな議員辞職させる法律を作るべき。
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