レッドブル・ホンダ分析:電装系トラブルを「記録的な早さ」で修復したメカニックを称賛。タイヤ戦略も奏功

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2020年11月01日 10:51  AUTOSPORT web

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2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
F1第13戦エミリア・ロマーニャGPの予選、15分間で行われるQ2が始まってまもなく、コースインしていたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)から緊急無線が入ってきた。

「ノー・パワー」

 チーム側は「そのままアタックを続けて」と返答するが、フェルスタッペンは「とにかくパワーがない。アタックをやめる」と言って、ピットインしてきた。

 このとき、Q2の残り時間は11分を切ろうとしていた。

「問題のある部品の特定がスムーズにできた」と言うホンダF1の田辺豊治F1テクニカルディレクターによれば、原因は「電装系のトラブル」だったという。

 原因は特定できたが、安心するのはまだ早い。アタックをやめてピットインしたフェルスタッペンがQ3へ駒を進めるためには、もう一度コースインしてタイムアタックを行わなければならない。そのためには少なくとも約3分前には修復作業を終えていなければならないからだ。

 残り11分でピットインしたフェルスタッペンが、再びタイムアタックへ出るには、少なくともアウトラップとなる1分40秒前にはコースインしていなくてはならない。つまりレッドブル・ホンダに与えられた時間は10分もなかった。

 しか、レッドブル・ホンダのメカニックたちは、クリスチャン・ホーナー代表によれば、「信じられないような記録的な速さで修復し終えた」という。これで5分前にはフェルスタッペンは2度目のタイムアタックに出るために、再び集中力を高めることができた。

 この日、フェルスタッペンにとって、もうひとつ幸運だったのは、予選前のフリー走行でミディアムタイヤを使用していなかったこと。そのため、パワーユニットに問題が発生したQ2の1回目のアタックで履いたミディアムを履き替えて、もう1セット残っていた新品のミディアムでコースインする選択を採ることができた。

 メルセデス勢やチームメイトのアレクサンダー・アルボンはフリー走行でミディアムを使っていたため、新品のミディアムは予選に向けて1セットしか残っていなかった。

 メカニックたちの努力によって早め作業が完了したレッドブルのエンジニアたちは、ライバルたちのタイムを比較し、どちらのタイヤでQ3へ進出するのが得策かを余裕を持って戦略を練ることができた。

 果たして、彼らが選択したのはミディアム。そして、そのミディアムでフェルスタッペンは見事にQ2を4番手で突破した。

 不運だったのは、このトラブルによって、本来行う予定だったQ3へ向けたソフトタイヤでの予行練習を、Q2の2回目のアタックでできなかったことだ。そのため、フェルスタッペンは「Q3に向けてどこでタイムを削ることができるかが正確にわからなかった」という状況で、Q3に臨まなければならなかった。

 そのようななかで叩き出した予選3番手のタイム。予選後、フェルスタッペンはこう言って、メカニックたちを称賛した。

「またもやメカニックたちは素晴らしい仕事をしてくれた。Q2で見せてくれた彼らの早技は、見事としか言いようがない」

 14年ぶりのF1となるイモラ。2006年のサンマリノGPでは、ミハエル・シューマッハー(フェラーリ)とフェルナンド・アロンソ(ルノー)がテール・トゥ・ノーズのバトルを演じ、ピットストップのタイミングが勝敗を分けた。

 今年のエミリア・ロマーニャGPでもし、日曜日のレースでメルセデス勢とフェルスタッペンが接戦となれば、再びレッドブルのメカニックたちが脚光を浴びることになるかもしれない。

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