「音楽が記憶を呼び起こす」アルツハイマー型認知症の元バレリーナ、『白鳥の湖』を聞いて魂の舞い(スペイン)

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2020年11月11日 21:41  Techinsight Japan

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音楽に合わせて躍り出す女性(画像は『Mirror 2020年11月10日付「Incredible moment ballerina with Alzheimer’s remembers routine to Swan Lake」(Image: PA)』のスクリーンショット)
アルツハイマー型認知症を患い、ケアホームで車椅子の生活をしていた元プリマ・バレリーナがチャイコフスキーのクラシック・バレエの最高傑作『白鳥の湖』を聞き、まるで現役の頃の記憶が蘇ったかのように踊り出した。そんな元バレリーナの美しい舞いを捉えた動画が、人々に感動を与えて拡散している。

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「音楽の力が過去の輝かしい記憶を呼び起こす」―そんなことを実感させてくれる、スペイン、バレンシア出身の元バレリーナ、マルタ・C・ゴンサレスさん(Marta C. González)の動画が撮影されたのは昨年のことだった。

マルタさんはスペインからキューバに移住したことがきっかけでバレエを学び、1960年代には「ニューヨーク・シティ・バレエ団(NYCB)」でプリマ・バレリーナとして活躍した。しかし晩年は認知機能が低下していくアルツハイマー型認知症と闘い、動画が撮影された後に故郷でその生涯を閉じた。

そんなマルタさんが車椅子に座ったまま踊る『白鳥の湖』は、最近になってスペインで音楽セラピーを推進する非営利団体「Música para Despertar」や、アルツハイマー型認知症の支援団体「Alzheimer’s Society」などのSNSでシェアされたことで拡散。動画ではケアホームでヘッドフォンを付け、現役の頃に何度も耳にしたであろう『白鳥の湖』に耳を傾けるマルタさんが映し出される。

曲に合わせて右手をゆっくりと動かし、静かに目を閉じるマルタさん。その様子は瞑想しているようでもあり、感情の高ぶりを抑えているようにも見える。


しかしサビの部分になると、プリマ・バレリーナの頃の記憶が呼び覚まされたのであろう。マルタさんは車椅子に座ったまま白鳥になって舞い、美しく切ない動きを手で柔らかに表現し始める。そしてストーリーに合わせるようにマルタさんの表情にも陰りが現れる。

『Classic FM』によると、マルタさんがNYCBで『白鳥の湖』を踊ったのは50年以上も前の1967年のことで、この動画の撮影直後には「非常に感傷的になってしまった」と様々な感情が交錯していたことをスタッフに伝えたという。


マルタさんのこの魂の舞いは、スペインの俳優アントニオ・バンデラスや米女優ジェニファー・ガーナーなどがSNSでシェアしており、「音楽の力は計り知れない」「私の父も同じ病気。でもビートルズの曲は覚えているんだ」「輝かしい過去の記憶が、音楽によって蘇る。なんて素晴らしいんだろう」と音楽の素晴らしさを共感する声とともに、「彼女こそ真のバレリーナ」「魂を揺さぶられた」「私まで感情的になってしまった」「悲しくも、美しい」といったマルタさんのバレリーナとしての芸術性や情熱を称える声が数多く寄せられている。



画像は『Mirror 2020年11月10日付「Incredible moment ballerina with Alzheimer’s remembers routine to Swan Lake」(Image: PA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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  • だからなに? 昔何かの番組で日本の老人ホームでもっと凄い事があったとry 車椅子で認知症の爺さんに38式のエアガンだかモデルガンを手渡したら、
    • イイネ!1
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