『鬼滅の刃』そっくりの香港警察キャラクターに周庭さん「宣伝道具になるのは悲しい」 中国では過去にこんなパクリまで

1

2020年11月18日 19:12  Techinsight Japan

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

Techinsight Japan

首をかしげる周庭さん(画像は『周庭 Agnes Chow 2020年10月24日付Instagram「沒有未來的人,也有屬於他們的生存方式。」』のスクリーンショット)
漫画にアニメ、映画と大ヒット中の『鬼滅の刃』は海外から注目されており、中国でもすごい人気だ。そんななか香港警察のキャラクターが『鬼滅の刃』の主人公に似ていることから「著作権侵害ではないか」と批判された。香港の民主活動家・周庭(アグネス・チョウ)さんがSNSでその件に触れて反響を呼んでいる。

【この記事の動画を見る】

香港警察が公式SNSで11月13日に投稿したキャラクターは、『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎のような市松模様の羽織を着て刀を持っている上に「騙滅之刃」の文字が描かれている。しかもツイートの文面には「防騙之呼吸」や「第十三型『便宜莫貧』」という『鬼滅の刃』を連想させる表現も見受けられた。

これは香港警察が詐欺防止を呼びかけるために用いたキャラクターだが、周庭さんは16日にTwitterで「先日、香港警察がSNSに鬼滅の刃の主人公に似たキャラの画像を載せました」と取り上げている。香港警察は著作権問題で市民に批判されると「それは炭治郎じゃなくゆるキャラの『葡萄』だ、著作権侵害ではない」と主張したという。

周庭さんは親日家で知られる。最近はTwitterで9月22日、乃木坂46の卒業コンサートが10月28日に迫る白石麻衣の生写真を友達からもらえて嬉しかったことをつぶやいたり、9月27日には「今年あった悲しい出来事はあまりにも多すぎて、受け入れようとしてもなかなか受け入れられません」と急逝した三浦春馬さんと竹内結子さんのツーショットを投稿して冥福を祈っていた。

芸能界だけでなく、11月13日には香港でも大人気だというドン・キホーテのテーマソングをカバーした「歌ってみた」動画をYouTubeで公開するなど、とにかく日本の事情に詳しい。

しかし一方では、6月30日に香港国家安全維持法が可決したことから中国政府による取り締まりが厳しくなり、香港情勢は緊迫感が増している。周庭さんはそうした状況で大好きな日本のキャラクターをパクられて「鬼滅の刃が香港警察の宣伝道具になるのは悲しい…」と訴えずにいられなかったのだろう。

周庭さんの投稿には、「これはどこから見ても炭治郎だね! タイトルロゴの波部分もめっちゃ似てるし! 服装は完全一致するよ!」、「香港警察は鬼の方だろ笑」、「コピー天国中華圏ならではですね…しかも何も悪気なくやってるから.余計に腹立ちますし呆れます」などの反響があった。

弁護士でアメリカ出身のタレントでもあるケント・ギルバート氏が『「パクリ国家」中国に米・日で鉄槌を!』を出版したのは2018年10月のことだった。最近は中国政府も著作権を意識するようになりコピー商品や海賊版をなくすよう進めているというが、香港警察のパクリ疑惑を見る限り浸透していないことがうかがわれる。

そんな中国では、これまでに様々なパクリ騒動があった。2010年4月、中国上海万博の5月開幕を前にPRソングが岡本真夜の楽曲『そのままの君でいて』にそっくりと中国内で指摘され「PRソング盗作疑惑」が浮上した。事態を受けて上海万博事務局が岡本真夜側に「楽曲使用申請」を出して許諾され解決したかに思われたが、直後に作曲者が「PRソングと岡本さんの曲は大きく異なる」と主張して波紋を呼んだ。

また2014年1月に中国の衛星放送テレビで放送されたバラエティ番組のパレードシーンで歌われたオープニング曲が、AKB48の34枚目シングル『鈴懸の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの』(2013年12月11日発売)に酷似しており、YouTube動画に「パクるなよ(怒)」、「似てるってか同じ」といった声が寄せられた。

2015年には、北京での開催が決定した「2022年冬季オリンピック北京大会」の招致テーマソング『氷雪舞動』が大ヒットしたディズニーのアニメ映画『アナと雪の女王』の主題歌『Let It Go』に似ていると指摘された。各国のメディアで「パクリではないか?」と扱われる一方で、中国では「雰囲気は似ているけれど完全に同じではない。これくらいOKだろう」という声もあった。

昨年1月にも、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)で中国共産党の公式アカウントにゲームソフト『スーパーマリオブラザーズ』そっくりな動画が投稿されて話題になった。裁判所の啓発動画なのに「著作権侵害だろう」と批判があり、さすがにすぐ削除された。

ちなみに中国では20以上の企業が『鬼滅の刃』に関する商標登録申請を行ったという。世界的な人気の『鬼滅の刃』だけに商標登録が許可されなかったとしても、香港警察のようなパクリ疑惑はあり得るかもしれない。



画像は『周庭 Agnes Chow 2020年10月24日付Instagram「沒有未來的人,也有屬於他們的生存方式。」』『Agnes Chow 周庭 2020年11月16日付Twitter「【香港警察が鬼滅の刃で宣伝?】」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)

このニュースに関するつぶやき

ランキングIT・インターネット

前日のランキングへ

ニュース設定