映画『ジョーカー』主人公のキャラクター設定に問題か(画像は『Todd Phillips 2019年11月25日付Instagram「Some more random BTS pics.」』のスクリーンショット) 映画『セブン』『ファイト・クラブ』などで知られる映画監督デヴィッド・フィンチャー(58)が、映画『ジョーカー』は「精神的な病を抱える人に対しての裏切り」だと暗にほのめかした。フィンチャー監督は、ハリウッドの大手スタジオのリスク回避的な制作戦略について明かすとともに、トッド・フィリップス監督作品の『ジョーカー』が興行収入で驚くほどの成功を収めたことを振り返った。
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2019年に公開した米映画『ジョーカー』は、DCコミック『バットマン』の人気ヴィラン(悪役)ジョーカーの人生を描いた作品だ。トッド・フィリップス監督による同映画は大ヒットし、第92回アカデミー賞では同年最多となる11部門にノミネートされた。ジョーカーを演じたホアキン・フェニックス(46)は、アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞などで最優秀主演男優賞を受賞した。
7000万ドル(約73億円)以下の予算で制作された『ジョーカー』は、10億ドル(約1040億円)の興行収入を記録。評論家から多くの高評価を得たものの、精神疾患を取り扱ったことについては賛否両論だった。
映画『セブン』などを世に送り出したデヴィッド・フィンチャー監督は、このほど『The Telegraph』のインタビューに応じ「スタジオは、10億ドルを稼ぎ出せない作品は制作したくないんだ」と明かすも、時には挑戦的な題材がサポートを得ることはあるとし、『ジョーカー』は『ダークナイト』の例があったからこそ制作にこぎつけることができたと示唆した。
『ジョーカー』でホアキンが演じた主人公のアーサー・フレックは、脳の障害により緊張すると笑い出すという病気を抱えるキャラクターだ。病弱な母親と2人暮らしで、コメディアンになることを夢見ながら道化師として活動していた。しかし周囲から過酷な仕打ちが続き、次第にバットマンの宿敵「ジョーカー」へと変貌していくのである。
そんな『ジョーカー』のキャラクターについて、フィンチャー監督はこのように述べた。
「『ダークナイト』(バットマン3部作の2作目)がここまでの大ヒット作にならなかったら、『ジョーカー』が大ヒットを狙えるとは誰も思わなかっただろう。」
「僕はあのような題材を観て、このように思う人はいないんじゃないかと考えている。 “『タクシー・ドライバー』のトラヴィス・ビックルと『キング・オブ・コメディ』のルパート・パプキンを混ぜ合わせてキャラクターを作り、精神的な病を抱える人を裏切るような罠に陥れて、10億ドルを稼ごう”なんてね。」
このような表現に対し、SNSではフィンチャー監督が実際に『ジョーカー』が「精神的な病を抱える人を裏切る」として非難したのか否かについて、議論が高まっている。
「人々はフィンチャーの言葉の一部だけ引用していると思う。彼は精神的な病の人が社会から裏切りを受けていると言いたいのであって、映画が彼らを貶めているとは言っていないと思う。」
「私は、彼の言葉は『ジョーカー』が精神的に病んでいる人を裏切る行為だ、という意味だと確信していますよ。」
「みんなはフィンチャーのジョーカーに関する意見を勘違いしているみたいだね。見出ししか読まないからだよ。」
こういった意見の他、フィンチャー監督の発言を称賛する声もあがっている。
「フィンチャーは『ジョーカー』が『タクシー・ドライバー』と『キング・オブ・コメディ』から影響を受けたと認めたね。」
「『ジョーカー』は大好きだし、人がどう思おうが全く気にしない。デヴィッド・フィンチャーの姿勢も気に入った。」
画像1〜3、5枚目は『Todd Phillips 2019年11月25日付Instagram「Some more random BTS pics.」、2020年2月10日付Instagram「How ‘bout our boy last night?」、2020年4月26日付Instagram「Some more random shots, cause people are digging them.」、2019年11月4日付Instagram「Some more random BTS pics from the movie.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)