星野一樹「耐久レースは自分たちとの戦い。ミスやペナルティこそ自分たちの敵です」【スーパー耐久 第4戦もてぎプレビュー】

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2020年11月20日 21:31  AUTOSPORT web

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DAISHIN GT3 GT-R(大八木信行/星野一樹/大八木龍一郎/藤波清斗)
全6戦が行われる2020年シーズンのピレリスーパー耐久シリーズも11月21〜22日に行われる第4戦『もてぎスーパー耐久 5Hours Race』で後半戦に突入し、第3戦終了時点で最高峰ST-Xクラスではポイントランキング上位3台が13ポイント差という激戦が繰り広げられている。今シーズン初の5時間レースとなる第4戦もてぎの公式予選を翌日に控え、今回のST-Xクラスの優勝争いを探った。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、9月5日〜6日の『NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース』で開幕を迎えた2020年シーズンは、全6戦中5戦のポイントで争われる有効ポイント制となったピレリスーパー耐久シリーズ。

 そんななか、第3戦終了時点でST-Xクラスのランキングトップに君臨するのが60ポイントを獲得している888号車 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3だ。

 2020年シーズンからスーパー耐久に参戦を開始したMercedes-AMG Team HIRIX Racingはデビュー戦となった第1戦富士24時間を制すると、続く第2戦SUGOでも2位表彰台を獲得。

 勢いをそのままに第3戦岡山でも好走を見せるかと思われたが、高木真一がステアリングを握った決勝中、激しいクラッシュに見舞われてしまった。高木は命に別状はなかったものの、腰椎と右手首を骨折し入院。今回のスーパー耐久第4戦もてぎ、そしてスーパーGT第7戦、第8戦を欠場することとなった。

 11月16日時点のエントリーリストでは山脇大輔を除く2名のドライバーの名前が“TBN”となっていたが、こちらはレギュラードライバーのショウン・トン、そして第1戦富士24時間を走った根本悠生がステアリングを握ることとなった。

 激しいクラッシュに見舞われたメルセデスAMG GT3は修復が叶わず、Mercedes-AMG Team HIRIX RacingはメルセデスAMG GT3の新車を手配し、第4戦の舞台ツインリンクもてぎにやって来た。

 2020年シーズンのスーパー耐久ではお馴染みとなったイエローのカラーリングが施された真新しいメルセデスAMG GT3は11月19日の木曜日にシェイクダウンが実施されたが、エースドライバーである高木が不在のなかで第4戦を迎えることとなった。

「正直、もてぎに来るまでは結構心配していました。ただ、若者二人(ショウン・トン、根本悠生)が頑張ってくれているので、大丈夫かなという気になりましたね。来るまではちょっと心配……。というか高木さんがいないと寂しいなという思いでしたが、高木さんも大変な状況なので、僕らで頑張ろうという感じです」とAドライバーを務める山脇大輔は話す。

「メルセデスAMG GT3は距離が長いレースが得意なので、今回の5時間レースは悪くないのかなと思っています。今日の午前と午後の占有走行でもにニュータイヤを使わず、1分54秒フラットと1分55秒1だったので、ペースはいいのではないかと」

「あと、オーナーからは『みんな無事に帰って来てくれ』言われていますし、欲をかくことなく無難に。ミスや接触はやめようねというだけですね。若者二人にも言ったのですが、淡々と戦って無事に帰ることができれば、という感じです」

 ポイントランキングトップということもあり、欲をかくことなく無難にと語った山脇。第4戦で脅威となりうるライバルについて尋ねると。

「今回のもてぎは81号車か9号車のGT-R勢は来ると思います。ストップ・アンド・ゴーのサーキットはパワーがあるGT-Rに合っているかと。アストンマーティンも速ければぶっちぎられるかもとは思いますが、レース距離が500kmだとどうなのか……なんとも言えませんね」と2台のGT-R、そして777号車のアストンマーティンが脅威になりうる存在だと語った。

■第1戦以来の参戦となる“若者”

 エースドライバーである高木真一の不在となった今回、より一層チームから期待されることとなったのがショウン・トンと根本悠生の“若者二人”だ。

 山脇とショウン・トンとともにトリオを組むこととなった根本は2020年シーズン、ランボルギーニ・スクアドラコルセGT3ジュニアプログラムのメンバーとしてイタリアGTを主戦場としており、今回のもてぎは第1戦富士24時間以来のスーパー耐久参戦となる。

「まずは新車投入に踏み切ってくれてたHIRIXさんの、すごく男気がある判断に感謝しています。優勝はもちろん狙いますが、それ以上に安定した走りをみせ、チームのみんなが前向きな気持ちで第5戦のオートポリスに向かっていけるように、ドライバー陣も頑張ろうという気持ちです」と根本は意気込みを語った

「僕自身、ずっとランボルギーニでレースをしてきているのでメルセデスは久しぶりでしたが、乗り込んで3周くらいでタイムも出せました。木曜日にシェイクダウンをしたばかりという割にはすごく安定感があって、いい走りができています。あとはトラブルが出ないことを祈りつつ、粛々とやっていくだけですね」と久しぶりのドライブとなったメルセデスAMG GT3にも好感触を得ている様子であった。

 新車を投入し、第1戦以来となる表彰台の中央を狙う888号車は、決勝でどのようなレース運びを見せるのだろうか。若手ドライバーの走りとともに楽しみなポイントだ。



■星野一樹「耐久レースは自分たちとの戦い。ミスやペナルティこそ自分たちの敵です」

 888号車の山脇が驚異となりうるライバルとしてあげた81号車 DAISHIN GT3 GT-Rは、11月20日の午前に行われた専有走行で星野一樹が1分53秒435を記録、午後には藤波清斗が1分54秒208を記録する好走をみせている。

「前回の岡山も自分たちにできるベストを全部尽くして2位表彰台でした。アストンマーティンが速くて、あれには追いつけなかったなという印象です。耐久レースは純粋な速さだけの勝負じゃなく、チームワークだったり、いかにロスなくするピットストップを行うとか、ペナルティを受けないようにするとか。そういうものをすべてやった上で戦うレースなので、そういう点ではここ2戦、自分たちのベストを尽せて来てるかなと思ってます」と星野一樹は話す。

「(注視しているのは777号車ですか?)そうですね。あと、同じニッサンGT-RニスモGT3には負けたくないですね。ただ、耐久レースは本当に自分たちとの戦いで、ミスやペナルティこそ自分たちの敵だと思っています」

「もてぎはGT-Rとの相性もそこまで悪いわけでもないですし、どのクルマもブレーキが厳しくなって戦いにくくなったりすると思います。そのなかでミスなく、ロスなく戦えれば、最後は一番前でゴールできると思っています」

 ミスなく、ロスなくと何度も口にした星野。GTNET MOTOR SPORTSとともに2019年度のチャンピオンチームの強みを発揮し、ニッサンGT-RニスモGT3の今季初優勝をもてぎで飾れるだろうか。

■前戦の勝者アストンマーティン。もてぎでは如何に

 888号車の山脇、そして81号車の星野一樹が注視するのが、前戦岡山でポール・トゥ・ウインを手にした777号車 D'station Vantage GT3だ。

 開幕2戦は決勝で不運が続き、チャンピオン争いからは一歩遠ざかっている状況となっているが、第3戦岡山では他を寄せ付けないハイペースで周回を重ね、約1年ぶりのST-Xクラス勝利を手にしている。岡山ではこれまでにない新しい試みを行ったと第3戦岡山決勝後藤井誠暢は明かしてくれた。

「今まで優勝したすべてのレースは自分がトップに立ってマージンを作ってきて、というのがセオリーでした。ですが、岡山では勝ちにいくというよりも、違うことやろうということになりました」

 藤井の言う“違うこと”とは、決勝のスタートドライバーをオーナードライバーである星野敏が務めるというものだった。

「ポールを獲ったときにしか経験できない、周りがプロばかりのなかで、星野敏選手がスタートから50分間をどう料理するのかというのを新しいステップとしてやってみたかったのです。そういう新しいチャレンジのなか、星野選手のラップタイムは速く、完璧な仕事をしていたので、決勝は第1スティントで勝負が決まったという感じでした。もちろんセーフティカーが導入されたタイミングもラッキーでしたが、普通に淡々とやるべきことをやったら、結果が出たという感じです」とレースを振り返る。

 これまで3戦中2戦でリタイアが1回、完走扱いが1回あり、第3戦終了時点のポイントランキングではシリーズ参戦の5台中5位となっているD'station Vantage GT3。

 しかし、今シーズン大雨により公式予選がキャンセルとなった第2戦を除く2大会でポールポジションを獲得しており、そのポテンシャルの高さはライバルも認めるところだ。

 “何事もなければ抜群に速い”と評されるアストンマーティン。岡山の勢いをそのままに、ツインリンクもてぎでも好走を見せるのだろうか、公式予選の走りから注目しておきたい1台だ。

 ピレリスーパー耐久シリーズ第4戦『もてぎスーパー耐久 5Hours Race』は11月21日13時から公式予選が行われ、11月22日11時から5時間の決勝レースが開催される。

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