5年繰り下げで月7万円増加も 年金「手取り額」を知っておきたい!

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2020年11月23日 19:00  AERA dot.

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写真※写真はイメージです (GettyImages)
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 老後資金の大黒柱である「年金」。その額は自宅に送られてくる「ねんきん定期便」などでわかるものの、税金などを差し引いた肝心の「手取り」は誰も教えてくれない。年金額に応じて手取りはどう変わり、それを知るにはどうすればいいのか。豊かな年金生活を送る第一歩を学習しよう。

【比較表】5年繰り下げると…年金「手取り」はこうなる!

*  *  *
 埼玉県に住むAさん(65)は、これから夫とともに年金の「繰り下げ」を始める。1カ月繰り下げれば、年金額が0.7%増える制度。年金を本来受け取れるのは65歳だが、それを遅らせて年金額を増やす考えだ。

「この年になってお金の基盤を充実させようとすれば、年金を繰り下げるしかありません。そこそこ余裕ができる年金額にしたいのです」(Aさん)

 2人とも働ける場所があるからこそできる繰り下げだが、気がかりが一つある。年金額はすぐ計算できるが、「手取り」がわからないのだ。

「今と変わらない生活をしたいというのが私たちの希望なんです。でも、手取りが把握できないので、どれぐらいの期間、繰り下げたらいいかがわからない」(同)

 手取りを知るには、税金や社会保険料の金額を知る必要がある。

「それが難しくてわからないんです。役所に行っても、介護は介護保険課、住民税は税務課など、一つひとつの窓口が違っていて、とても回り切れません」(同)

 確かに給料と同じく、年金も実際に自由に使えるお金がどれくらいなのかが大切だ。手取りは、マネーの世界では「可処分所得」と呼ばれる。

 社会保険労務士でファイナンシャルプランナー(FP)の澤木明氏が、

「私が行うライフプランセミナーでは、必ず税金の仕組みをお話しして、手取りの求め方の基本を解説しています」

 と言えば、『「このままじゃ老後の資金が足りない!!」と不安になったら読む「お金」徹底見直し術』を上梓(じょうし)した社労士でFPの井戸美枝氏も、

「私たちは『額面』ではなく手取りで生活しています。その金額を知ることは年金生活を始める第一歩になります」

 ただ、Aさんが話すようにいちいち役所を回るのは大変。そこでまず、手取りのイメージをつかんでいただこうと編集部が独自に試算した。

 年金の繰り下げ可能な年齢が拡大されるなど、世は「繰り下げ時代」に入りつつある。試算では、ともに65歳で年金収入が「夫200万円、妻90万円」の標準的な夫婦を想定し、65歳から受け取る場合と、ともに5年繰り下げた場合(夫284万円、妻127.8万円)の2ケースで計算した。

 毎年の「ねんきん定期便」には65歳から年金をもらう場合と、5年繰り下げた場合の増えた年金額が棒グラフとともに示されているが、今回はその「手取り版」だ。

 先述のように、手取りは額面から「税金+社会保険料」を引いて求める。試算では代表的なものとして、税金は「所得税」(「復興特別所得税」は省略)と「住民税」、社会保険料は「国民健康保険」(75歳からは「後期高齢者医療制度」)と「介護保険」の保険料が引かれるとした(所得税以外は、自治体で基準額などが異なるので注意。編集部のある東京都中央区で試算)。

 まずは、二つの年金額の数字を素直に比べてほしい。東京23区の基準では、夫の年金収入が200万円なら住民税はかからない。各種控除を引くと所得税も「0」。

 しかし、5年繰り下げて夫の年金収入が280万円を超えてくると、夫に所得税と住民税がかかってくる(年間約8万円強)。社会保険料では、国民健康保険と後期高齢者医療制度の保険料が2倍以上高いのが目立つ。介護保険料も約1.7倍で、夫婦での税と社会保険料の負担は5年繰り下げた場合のほうが約28万〜29万円多くなる。

 住む自治体や個人の状況によって違うものの、年金額のレベルによって負担がどう違うのかを実感していただきたい。

 手取りでも5年繰り下げた場合が大幅に多い。年間に手取りが90万円以上高くなる計算だ。月単位だと約7万5千円違う。

 これこそ繰り下げの“威力”になる。5年繰り下げによる額面の42%増には及ばないが、夫婦で手取りが約34%も増えるのだ。

「わが家は3人家族ですが、巣ごもりで毎日3食、家で食べて食費が月に7万円程度。高齢者の家庭では、この手取り増は生活の大きな安定につながる」(先の井戸氏)

「もう一つの見方」もある。繰り下げない人の視点だと、年金額のレベルに応じた負担や手取りの大ざっぱなイメージがつかめる。

 夫の年金額に注目してほしい。年金収入200万円の夫は厚生年金が月10万円程度と、厚生労働省のモデル世帯並みの男性を想定している。一方、年金収入284万円の夫は、厚生年金が月15万円前後の大企業社員と見立てられる。こうした想定をもとに、「ねんきん定期便」の数字と比べれば、自分の年金のレベルがわかる。また、その位置関係からおおよその手取りがイメージできる。(本誌・首藤由之)

※週刊朝日  2020年11月27日号より抜粋

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  • 確実に言えることは、年金の受給開始を5年繰り下げても、寿命は5年伸びないよ
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