「鬼滅」のufotableだけじゃない! 京アニ、P.A.WORKS…アニメ制作会社の“特色”とは?

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2020年11月24日 16:30  AERA dot.

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写真劇場に設置された映画「鬼滅の刃 無限列車編」のポスター(撮影/飯塚大和
劇場に設置された映画「鬼滅の刃 無限列車編」のポスター(撮影/飯塚大和
 今や社会現象となっている大ヒットアニメ『鬼滅の刃』。原作漫画の累計発行部数は10月時点で1億部を超え、10月16日に公開された映画『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』は、興行収入259億超えを記録(11月24日発表)。これで『アナと雪の女王』を抜いて、興収ランク歴代3位となった。このまま人気が続けば、歴代1位の『千と千尋の神隠し』(308億円)に迫りそうな勢いだ。

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 映画を鑑賞した人が声をそろえるのは、「戦闘シーンがとにかくすごかった」という感想だ。映画だけでなくテレビアニメの制作も担ったufotable(ユーフォーテーブル)は、原作の魅力をハイクオリティなアニメーションで再現し、「鬼滅ブーム」を牽引している。アニメ業界に詳しいライターの河嶌太郎氏にufotableの実力の秘密、その他の注目すべきアニメ制作会社について寄稿してもらった。

*  *  *
 漫画原作の作品がアニメ化された場合、通常は漫画の2話〜4話ぐらいがテレビアニメ1話に相当する。一般的にアニメのほうが情報量が多いからだ。だが、アニメ『鬼滅の刃』の場合、漫画の第1話がそのままアニメ第1話として描かれている。漫画だと5分ぐらいで読めてしまう内容が1話24分に伸ばされており、原作にはない戦闘シーンの細かな動きや、原作には描かれていない登場人物の内面描写などが足されているのだ。こうした原作以上の情報量が詰め込まれているのが、アニメ『鬼滅の刃』ならではの魅力と言える。

■脚本からCGまで内製する職人集団ufotable

 実は、ここがアニメを制作するufotableの強みといえる。映画もテレビアニメもスタッフロールを見てもらえばわかるが、脚本の名義がufotableと会社名になっているのだ。これはどういうことかというと、社内の制作スタッフがチームでシナリオを内製しているのだ。通常、脚本はフリーの脚本家に外注される場合が大半で、名義も個人名が入る。それができる複数の人材を社内に抱えているのがufotableの特徴だ。監督は外崎春雄氏で個人名義だが、外崎氏もufotable所属の社内スタッフだ。

 また、特に戦闘シーンを支えるCGを自社で作れるのも強みのひとつだ。通常、CG描写は手描きのセルアニメとは作り方が全く異なり、ノウハウに乏しい老舗アニメ制作会社も少なくない。そのため、CGパートはCGを専門とするアニメ制作会社に外注することも珍しくない。ところがこの点でもufotableは自社に制作スタッフを抱えており、内製できるというわけなのだ。

 この2つの要因が、原作以上に濃密な心情描写と戦闘描写を実現しており、ヒットにつながったと考える。他にも映像制作における大抵の専門スタッフが自社にいるのもufotableの特徴だ。

■背景美術で頭一つ抜ける京アニ

 今回の『鬼滅の刃』ではじめてufotableという制作会社の名前を知った人も少なくないだろう。だが、他にも「特色」を持つアニメ制作会社はある。

 そのひとつが、昨年放火事件で全国的に広く知られることになった、京都アニメーション(京アニ)だ。東京以外の地方に本拠地を置く先駆けといえる制作会社で、東京とデータで制作資料のやりとりをする必要性から、いち早くアニメ制作のデジタル化を取り入れた企業としても知られる。このデジタル技術をいち早く取り入れた背景美術の仕上げに定評があり、写実的な内容であることから、「聖地巡礼」と呼ばれるアニメの舞台を旅するムーブメントのきっかけを生み出したスタジオでもある。

 今ではほとんど全てのアニメ制作会社がデジタルに移行しており、京アニとの技術格差は相対的に縮まったと言える。だが、見る人が特に背景を見れば、一目で「京アニ作品か」とわかるぐらいに頭一つ抜けた技術を今でも持ち続けている。また、地方に拠点を置くことから人材の移動が少なく、自社のスタッフでも監督兼脚本などができる人材を抱えているのが京アニの強みだ。

■「地方」に定評のあるP.A.WORKS

 京アニに続く形で地方に拠点を置くアニメ制作会社がある。P.A.WORKSだ。富山県南砺市に本社を置き、京アニに続く形で数々の地方を舞台にしたアニメを生み出してきた制作会社だ。北陸を中心に地元から制作スタッフを採用し、新たな雇用創出にもつなげているのが特徴だ。一見普通のように見えるが、実はアニメ制作会社では異色のこととも言える。一般的なアニメ制作会社の場合、東京都西部に拠点を置き、大半の制作スタッフは個人事業主として業務請負の雇用関係を結ぶのが通例だからだ。この点、P.A.WORKSはアニメーターなども社員待遇で雇用することで知られる。

 地方を舞台にした作品を単に作るだけでなく、その後の地方創生も視野に入れた社会的な取り組みをしているのも特徴だ。例えば2011年に放送され、金沢市湯涌温泉などが舞台になったアニメ『花咲くいろは』では、「ぼんぼり祭り」という架空のお祭りが登場するが、このお祭りを湯涌温泉協会と協働して現実の地域のお祭りにしてしまった実績がある。また、地元の南砺市を舞台にした2016放送のアニメ『サクラクエスト』に登場する架空の市「間野山市」と現実の南砺市を姉妹都市提携する取り組みにも関わっている。

 P.A.WORKSの関連団体として「一般社団法人地域発新力研究支援センター(PARUS)」を2015年に設立しており、P.A.WORKSの持つ著作物をいかに地方創生などに役立てられるかの活動をしている。こうした団体をアニメ制作会社が持つのは他に例のないことだ。こうした取り組みから、P.A.WORKSはまさしく「地方」に定評のある制作会社と言って間違いないだろう。

■「アイドル」にも強みを持ち始めるサンライズ

 最後に、誰もが知る制作会社でも新たな「特色」を持ち始めている例がある。サンライズだ。

 サンライズといえば、恐らく多くの人が『ガンダム』に代表されるロボットアニメの老舗を思い浮かべるだろう。もちろん、その立ち位置は何ら揺るぐことなく今でも続いている。だが、近年では「アイドル」モノのアニメにも強みを持ち始めている。

 代表的な作品が、『アイカツ!』シリーズと『ブライブ!』シリーズだ。手描きだとコスト的に量産が困難だったライブ描写に3DCGを積極的に取り入れたことでこれが可能になり、毎話のようにライブパートが描ける革命をもたらした。

 特に『ラブライブ!』は社会的な大ヒットをもたらし、9人の主人公達を演じる声優による現実のアイドルグループ「μ’s(ミューズ)」は2015年の紅白歌合戦にも出場した。『アイカツ!』『ラブライブ!』に端を発する二次元アイドルブームは今でも続いており、アニメだけでなくVチューバーなど多くの二次元アイドルが続々と誕生し続けている。

 昨今、『鬼滅の刃』の大ヒットで制作会社のufotableも取り沙汰されることも多い。だが、ufotableに負けず劣らず様々な特色を持つアニメ制作会社がある。またもちろん、これらの制作会社で挙げた強みはほんの一例に過ぎず、他にも様々な長所がある。アニメを観る際に制作会社名にも注目してもらえれば幸いである。(河嶌太郎)

このニュースに関するつぶやき

  • ☆アニメ制作会社の特色 P.A.Works…お仕事アニメなら任せろ! 動画工房…日常系からギャグ系までお手の物。 feel…JK多い日常系得意。 A-1pictures…ラブコメ得意!ただアニプレやCXと(以下略) サンライズ…昔ガンダム、今銀魂ラブライブ!(←ヲイ
    • イイネ!2
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  • 「昨年放火事件で全国に知れ渡った、京都アニメーション」って、随分とデリカシーのない言い方だな ( - _ - メ )
    • イイネ!36
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