ウイルス、細菌、真菌の違い、知ってる?【専門医に聞くやさしい免疫学】

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2020年11月24日 21:41  ウートピ

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新型コロナウイルス禍にあっていまこそ免疫について理解を深めたく、「免疫って何? 高めるにはどうする?」と題した連載を、免疫に詳しい耳鼻咽喉科・気管食道科専門医の遠山祐司医師に尋ねています。これまでの記事は、文末のリンク先をご覧ください。

今回・第9回では、読者からご質問が多い、「ウイルスと細菌ってどう違うの?」について、病原体である「真菌(カビ)」も含めて詳しいお話しを聞きました。

ウイルス、細菌、真菌の特徴は

——感染症の原因になるものとして、「ウイルス」「細菌」「真菌」「微生物」「病原体」などの言葉が頻出しますが、これらはどう違うのでしょうか。

遠山医師:まず、病原体がヒトの体の表面に付着する、また体内に侵入して増殖や定着した状態やその過程を感染といい、そうして引き起こされた病気を感染症と呼びます。

ヒトのまわりには、多種多様の目に見えない小さな微生物が無数に存在します。ヒトにとって良い働きをするものもいれば、病気を引き起こすもの、どちらでもないもの、ときと場合によってその特性が変わって有害になったり無害になったりするものもいます。このうち、感染症を引き起こす微生物を病原体と呼びます。そして免疫とは、これらの病原体、つまりヒトにとっての外敵を撃退するシステムです。

ヒトに感染症をもたらす病原体には、ウイルス、細菌、真菌(カビ)があり、次のように、それぞれ大きさや特徴が異なります。

<ウイルス>

新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、肝炎ウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、HIVなど

大きさは0.02〜0.1マイクロメートル(µm)。1マイクロメートルとは1ミリの1,000分の1で、その1,000分の1が1ナノメートル。つまりウイルスは20〜100ナノメートルです。想像がつきにくいと思われますが、次に紹介する細菌よりも一桁は小さい、つまり極小だとイメージしてください。一般の光学顕微鏡では観察できず、電子顕微鏡で見ることができます。

ウイルスとはタンパク質の殻(カプシド)の中に遺伝情報を記録した核酸(DNAかRNA)が入っている微粒子です。細胞ではないので自分で増殖することはできませんが、ヒトの細胞の中に侵入して増殖していきます。次回に詳しく話しますが、ウイルスはこの特性からして「生物」ではありません。

ウイルスには、タンパク質の殻と核酸だけでできたタイプと、その周囲を脂質の膜で覆われたタイプがあります。この膜のことを「エンベロープ」(封筒の意)と呼びます。そこでウイルスは、前者の脂質の膜で覆われていないノンエンベローブウイルスと、後者のエンベローブウイルスに分類されます。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、後者のエンベロープを持つRNAウイルスです。先ほど事例として挙げた種類のうち、インフルエンザウイルスや風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、エボラウイルスもこのタイプです。脂質の膜に、トゲトゲのスパイク状のタンパク質が多数つき刺さった形をしています。そのため、洗剤や石けん、アルコールなどで手指など肌を洗浄することで除菌が可能です。

エンベロープを持たないタイプの例ではノロウイルスがあります。こちらはエンベローブがない分、アルコールによるダメージを受けにくく、消毒の作用はエンベロープを持つウイルスよりも弱くなります。

<細菌>

大腸菌、結核菌、サルモネラ菌、ピロリ菌、ブドウ球菌、緑膿菌、コレラ菌、赤痢菌、炭疽菌、ボツリヌス菌、破傷風菌、レンサ球菌など

大きさは0,2〜5マイクロメートル(µm)。光学顕微鏡で観察が可能。

細胞膜と細胞壁、外側に線毛、鞭毛(べんもう)、内側は染色体とリボソームでできています。形が特徴的で、球形、桿状(かんじょう。棒状のこと)、らせん、糸状などがあります。ヒトの体内で定着し、栄養を摂取して細胞分裂を繰り返し、自己を複製・増殖しながらヒトの細胞に侵入、毒素を出すなど悪さをして細胞を傷害します。細菌は生物(単細胞生物)です。

<真菌(カビや酵母の総称)>

白癬菌(みず虫)、カンジダ、アスペルギルスなど

大きさは数マイクロ〜数十マイクロメートル(µm)

真菌は葉緑素を持たない食物性の生物です。「菌」がつくので細菌の仲間と勘違いされやすいのですが、細胞の構造はまったく異なります。真菌は核と呼ぶ「DNAなどの遺伝情報を包み込む膜」を持ち、ヒトの細胞に近い構造をしています。そして真菌はヒトの細胞に定着し、菌糸が成長とともに枝分かれしながら発育していきます。

聞き手によるまとめ

ウイルス、細菌、真菌はまったく別のものということ、またそれぞれの特徴がわかりました。ウイルスは細菌よりもとても小さくて、自分で増殖することができずにヒトの細胞に入り込んで増殖すること、一方、細菌は自分で増殖する生物であり、細胞への侵入や細胞に毒素を出して傷つけること、真菌はヒトの細胞に似た構造で、ヒトの細胞に定着して育つということです。

次回・第10回は、ウイルス、細菌、真菌はそれぞれ、抗生物質(抗菌剤)は効くのかなどについて紹介します。

■これまでの連載を読む

【第1回】いまさら聞けない…「免疫」って何のこと? 皮膚が外敵をバリア
【第2回】鼻水、唾液、涙、胃液…「粘膜」は免疫だった!
【第3回】免疫の実態のひとつ…白血球が病原体を食べる仕組みとは?
【第4回】感染した細胞やがん細胞を退治! ナチュラルキラー細胞とは
【第5回】 白血球の細胞がチームプレーで闘う…「獲得免疫」の力とは
【第6回】免疫の働き…同じ感染症に二度はかからない「二度なし」とは?
【第7回】いま注目される自然免疫の力…何をどうすれば高まる?
【第8回】免疫力を高める最大の方法は「ワクチン」の接種

(構成・取材・文 品川 緑/ユンブル)

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