井上尚弥の前座で豪快KO。16戦全勝のボクサー、平岡アンディとは何者?

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2020年11月25日 06:31  週プレNEWS

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写真同ジムの先輩でもある井上のアンダーカードに登場した平岡。合計3回のダウンを奪い、4回TKO勝利を収めた【写真:Mikey Williams/Top Rank】
同ジムの先輩でもある井上のアンダーカードに登場した平岡。合計3回のダウンを奪い、4回TKO勝利を収めた【写真:Mikey Williams/Top Rank】

「さっき、おやじと(大橋秀行)会長に『どうだった?』って聞いていたんですよ。(ダウンを奪ったパンチは)アッパーが当たったのかなあ、という感じで、あんまり感触がなかったので」

試合後、事もなげにKOシーンを振り返る姿からも、平岡アンディ(大橋ジム)が規格外のボクサーであることが感じられた。ほとんど手応えがなかったパンチでダウンを奪い勝利してしまう。このパワーとスケール感が、アメリカでも注目を浴び始めている。

現地時間10月31日、米ラスベガスのMGMグランドガーデン内にあるカンファレンスセンターで行なわれた、スーパーライト級8回戦。平岡はリッキー・エドワーズ(アメリカ)を相手に4回2分20秒でTKO勝ちを飾った。

サウスポースタンスで攻め込み3回に先制ダウンを奪うと、4回にも右フックでダメージを与え、2度のダウンを追加して完勝した。

【画像】平岡アンディとトレーナーでもあるガーナ人の父

この日のメインイベントは、"モンスター"こと井上尚弥(大橋ジム)のラスベガスデビュー戦。王者の井上が挑戦者のジェイソン・マロニー(オーストラリア)を7回KOで下してタイトルを防衛し、全米のファンを興奮させた注目度の高い舞台で、24歳のスター候補は強さと魅力を存分にアピールした。

近年、NBAでプレーする八村 塁(はちむら・るい)、女子テニスの大坂なおみなど、ハーフのアスリートの活躍が目立っている。ガーナ人の父、日本人の母を持つ平岡もそのひとり。プロデビュー以来16戦全勝(11KO)の快進撃を続けているが、遠くないうちに令和を代表するハーフ・アスリートとして認識されるかもしれない。

主要なタイトル獲得の実績はないが、平岡のポテンシャルの高さは、昨年11月に米最大手のボクシングプロモーション会社「トップランク社」と契約したことが証明している。

88歳の名プロモーター、ボブ・アラム氏が率いるトップランク社は、過去にマニー・パッキャオ(フィリピン)、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)といった多くの外国人選手をスターダムに導いてきた。最近では村田諒太(帝拳ジム)、井上という"日本の2大スター"も傘下に収めている。

平岡は、昨年11月のラスベガスデビュー戦でも2回KO勝ち。アラム氏の前で連続KO勝利を飾っている。

「(2戦とも)KOできたのはよかったんですけど、まだ自分の実力を100%は出せていないと思います」

そう厳しく自分を評価する平岡だが、豪快なKO勝利が求められているのは世界共通。今後も、井上のラスベガスでの試合のアンダーカードなどで、KOを積み重ねていけば本場アメリカでの知名度も高まっていくはずだ。

10月31日の勝利により、11月上旬に発表されたIBFランキングで、平岡はスーパーライト級の12位にランクインした。

今後の活躍次第で、「(来年は)コロナも落ち着いてくるかもしれないんで、どんどん試合をこなして活躍したい。タイトルも獲(と)りたいですね」という本人の希望どおり、早いうちに世界タイトル挑戦も視界に入ってくるかもしれない。

現在、WBA・IBF世界スーパーライト級の王座を保持するジョシュ・テイラー(イギリス)、WBC・WBO同級王座を持つホセ・ラミレス(アメリカ)はどちらもトップランク社に所属している。同社がスーパーライト級に力を入れているのは明白であり、同級の無敗の有望選手である平岡に注目した理由のひとつでもある。

テイラー、ラミレスは来春にも4団体統一戦に臨む予定で、同級のタイトル戦線はその試合で一段落。そうなると4つの王座のうち、いくつかが返上される可能性が高い。平岡はそのときまでにできるだけランキングを上げ、タイトル戦への出場チャンスをうかがうことになる。

ただ、世界王座獲得はすべてのボクサーの夢ではあるが、平岡はさらに大きなものも見据えている。目指すはただの世界王者ではなく、「唯一無二の存在」。平岡が残した次のような言葉からも、日本人らしからぬスケールの大きさが感じられる。

「どのタイトルを獲りたいとか、そういうこだわりはない。それよりも、ほかの誰もなれないようなボクサーになりたいんです」

そこには、トレーナーでもある父の思いに応えたいという気持ちもある。幼少の頃から共に歩んできた父の名であり、自身のミドルネームでもある"ジャスティス"を、平岡は自身のトランクスに織り込んで戦う。二人三脚の"親子鷹"だが、世界的なプロモーターに実力を認められた今でも、父親から「合格点」はもらえていないという。

「いつも試合が終わったらおやじに点数をつけられるんですけど、『まだおまえは50%だ』とか言われるんですよ。それが100%になれば僕はもう満足なので、そこにたどり着きたいですね。おやじは厳しいので、なかなかそこまでいかないと思いますけど(笑)」

トップランク社と契約し、「おやじと僕の夢でした」というラスベガスでの試合は実現させた。父親の誕生日(10月29日)の2日後に行なわれた今回の試合でも圧勝し、世界的な評価を高めつつある。

勢いをつけて迎える平岡の2021年が楽しみだ。コロナ後のアメリカで世界王座までたどり着けば、日米で人気選手になることは間違いない。愛情深く厳しい父親も、ついに「100%」の評価を息子に与えるかもしれない。

取材・文・撮影/杉浦大介 写真/アフロ

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