院内感染「どの病院で起きてもおかしくない」 完全には防ぎきれない意外な理由とは

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2020年11月26日 08:05  AERA dot.

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写真院内感染の報告数が増えている。病院は不特定多数の人が行き来する。感染対策に細心の注意を払っていても、感染者が出るケースもあるという(撮影/写真部・東川哲也)※写真はイメージです
院内感染の報告数が増えている。病院は不特定多数の人が行き来する。感染対策に細心の注意を払っていても、感染者が出るケースもあるという(撮影/写真部・東川哲也)※写真はイメージです
 新型コロナウイルスの第3波が到来し、感染者だけでなく院内感染も増加している。手ってした対策を取っている病院でも予防できない背景とは。「コロナ第3波」を特集したAERA 2020年11月30日号から。

*  *  *
感染者が増加するなか、多くの医療者が懸念するのが、病院内でクラスターが発生する院内感染だ。9月以降、院内感染が目立ってきた。青梅市立総合病院(東京都)で患者と職員69人の感染が確認され、11月16日には虎の門病院(同)で患者と職員計11人の感染が確認された。

■予防に限界がある

 院内感染の対策には細心の注意を払っている病院でも防ぎきれない背景には、新型コロナウイルスの特性があるという。

「新型コロナウイルスには無症状感染者もいて、さらに発症の2日前から感染させる可能性がある。全く別の病気で入院した患者からクラスター化したケースも報告されており、いくら予防に徹しても限界があります」(東京都内の病院の副院長)

 人間である以上、意図せぬ隙も生まれる。

「理屈ではどんな感染対策が理想的かはわかっていても、休憩中などマスクを外した僅かな時間やちょっとしたやりとりで、感染者と接触している可能性はある。電子カルテの共用パソコンを打っている時に、急な呼び出しがあれば、手を洗う余裕がないまま応じることもあるかもしれない。休憩室で食事中にマスクを外したまま、おしゃべりをしてしまうこともあるかもしれません」(同)

 長期化したコロナ禍で、全員に会食をゼロにしろ、休日の外出や旅行を控えろというのは現実的ではない。

「職員には都外に出る際も旅行届を出してもらうことにしていますが、プライベートを明かせという無言のプレッシャーです」

 院内感染も、感染者との濃厚接触による自宅待機もすぐ隣にあると感じている。ある病棟スタッフの陽性が判明した際、発症3日前にその職員と自宅で会食したスタッフがいた。

「濃厚接触者の基準は発症2日前までですが、念のため抗原検査を行ったところ、偽陽性が出た。その濃厚接触者は10人もいました。一時は全員が自宅待機となったものの、後のPCR検査で陰性と判明したので、2日間で全員職場復帰できました。感染症である以上、誰かがコロナにかかることは止められない。かかった場合に広げないように努めるべきと考えています」

■外来の陽性率も増加

 医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は、院内感染を完全に抑えることは難しいとした上で、対策についてこう考えている。

「たとえば、院内感染が確認された虎の門病院は、経営状態が安定し、医師の質が安定して高いトップクラスの病院でした。クルーズ船の患者も受け入れ、ゾーニングなどの感染対策も徹底していたはず。つまり、院内感染はどの病院で起きてもおかしくないということです。院内感染を最小限に減らすために、病院で働くエッセンシャルワーカーに定期的に検査をし、感染者の早期発見・早期隔離に努めてはどうか」

 市中では、検査を受ける人の新型コロナウイルス感染の陽性率も上がってきている。東京都の大泉生協病院は、発熱者や検査の外来をしている。齋藤文洋院長は言う。

「第1波、2波の頃と訪れる患者数は同程度ですが、陽性率が上がっています。以前は7%くらいだったのが、まだ限定的な数字ですが11月第2週は18%くらい。感染の広がりを実感しています。PCR検査の結果は1日か1日半程で出ますし、明らかにコロナとみられる人にはより早く結果がわかる抗原検査を行えば、医療機関に迅速につなぐことができます。今のところスムーズに受け入れてもらえていますが、ベッドが空くスピード以上に、たとえばこの数日で爆発的に患者が増えれば、入院先を見つけられなくなることも起こり得ます」

 感染者が増加を続け、院内感染が増えれば、入院待ちや宿泊所の入所待ちが起こり、治療が遅れる恐れもある。第1波、第2波を通じて危惧されてきた医療危機は、第3波を迎えたいま、一層の現実味を帯びてきた。(ライター・井上有紀子)

※AERA 2020年11月30日号より抜粋

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