売れない車いすをヒット商品に変えた! 三浦崇宏流「コアアイディア」3つの変換法とは?

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2020年11月27日 06:41  ダ・ヴィンチニュース

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写真『超クリエイティブ 「発想」×「実装」で現実を動かす』(三浦崇宏/文藝春秋)
『超クリエイティブ 「発想」×「実装」で現実を動かす』(三浦崇宏/文藝春秋)

 クリエイティブという言葉は、多くの人にとってブラックボックスだ。真っ先に連想されるのがデザインやアート、エンタメをゼロから生み出す“クリエイティブ”だが、普通の社会人からするとその実態はよくわからない。クリエイティブとは、“そういう人たちのもの”であり、何か特別な力や才能が必要に思えるのだ。

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 本書『超クリエイティブ 「発想」×「実装」で現実を動かす』(三浦崇宏/文藝春秋)を読めば、その認識が変わる。そして、クリエイティブが、今の時代に求められるイノベーションの力であることがわかるだろう。著者は、新聞広告の常識を打ち破った「朝日新聞×左ききのエレン×JINSプロジェクト」や、マンガ『キングダム』を“日本一売れているビジネス書”として売り出して話題となった、クリエイティブディレクターの三浦崇宏氏。彼は本書でクリエイティブをこう定義する。

クリエイティブ=
非連続な成長を促し、新たな価値を生み出す多面的な思考法

 広告は、PRする商品の価値を見つめなおし、再定義して世に送り出す。その過程で行われるクリエイティブ的な思考は、広告作り以外にも役に立つ。本書を読めば、それが自分の仕事、ひいては自分自身とも密接に関わることがわかるはずだ。

新たな価値を生み出す“コアアイディア”

 本書で多くページが割かれているのが、クリエイティブの根幹をなす“コアアイディア”についてだ。著者によれば、コアアイディアとは「物事の本質を見抜いたうえで、〈状況を一変させる考え方〉」。具体的にはどういうことなのか。三浦氏がプロモーションを手掛けた「COGY」の例を見てみよう。

「COGY」は、足が不自由な人でも自分でこげる車いす。元々は「足こぎ式車いす」として売り出されていたが、あまり売れていなかった。三浦氏は、この「足こぎ式車いす」が身体機能の向上やリハビリを目的としたユーザーに愛用されていることに注目。そこから「COGYとは、自分の足で歩くという夢をあきらめないための道具だ」というコアアイディアを生み出した。機能そのものではなく、「あきらめない人の車いす」という商品の本質を打ち出し、売り上げは大きく伸びたという。

どうすれば“本質”が見つかるか?

 COGYを「足こぎ式車いす」→「あきらめない人の車いす」と再定義したプロモーションは鮮やかだが、このように“本質”を発見するにはどうすればいいのか。本書には「センスがある」で済ませない、再現性のある手法が紹介されている。

 本質を見つけることは、「AはBである(=COGYは、あきらめない人の車いすである)」と翻訳し、人々の認識を変化させることだ。著者によれば、「社会」「未来」「人生」3つのベクトルで変換することが、この翻訳のコツだという。

ー匆颪紡个靴討匹鵑憤嫐があるか

¬ね茲嚢がったらどうなるか

自分にとって、あるいは熱狂しているユーザーの人生にとってどんな意味があるか

 自分の目に見えていることを、社会や人生といった、時間的・空間的に大きなスケールに拡張するイメージである。「COGY」はの好例だろう。ずっと車いす生活を続けるのではなく、いつかはもう一度自分の足で歩きたい。そう考えるユーザーにとって、「COGY」は自分の夢をかなえるための特別なプロダクトだ。「あきらめない人の車いす」というコアアイディアは、そんなユーザーの強い思いを抽出したものなのである。

 はじめに、本書のクリエイティブの考え方が広告以外にも役に立つ、と言った意味がだんだんとわかってきたのではないだろうか。この思考法は、PRをする段階からではなく、商品やサービスそのものを生み出し、改善していくときにも使える。そして、個人の力が日に日に増していく今、社会おける自分のスタンスを考えるときにも役立つ。自分の仕事は、社会にとってどんな価値を生み出しているのか――。本書で刺激を受けた後は、そんな“再定義”からスタートしよう。

文=中川凌

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