アトピー性皮膚炎と乾癬の関係は、B’zの関係に似ている? 皮膚科医が解説

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2020年11月27日 07:00  AERA dot.

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写真大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
 いつもは医療に関するコラムを執筆している京都大学医学部特定准教授の大塚篤司医師ですが、今回は、大ファンであるB’zにからめたコラムに挑戦。皮膚科医として医療に関する情報も盛り込んでのコラムをお届けします。

*   *  *
 B’z初の無観客配信ライブ「B’z SHOWCASE 2020−5 ERAS 8820−Day1〜5」がいよいよ明日(11月28日)に最終日を迎えます。10月31日にスタートした今回のライブは5週連続の配信です。B’zのこれまでの32年を五つの時代にわけ、80曲の違った曲を演奏するというファンにとっては願ってもない豪華なライブとなっています。

 私は1990年のアルバム「Risky」からのB’zファンなので、あの衝撃から30年の月日が経ちます。

 B’zの魅力は数え切れないほどあるのですが、その一つはやはり、ギタリストの松本孝弘さんのメロディーと、ボーカリストの稲葉浩志さんの歌詞でしょう。二人の役割分担はデビュー当時から続いており、松本さんのメロディーを聞けばすぐにB’zとわかるし、稲葉さんの歌詞はダサい男性を描いた内容でもかっこいい。

 他のアーティストと同じくステイホーム期間中にB’zもYouTube配信をいくつか行いました。配信の中で松本さんが「ネットニュースを読んでいます」というコメントがあり、熱狂的なファンの私としてはB’zについて何か書かなければという思いに駆られました。

 しかし、このアエラドットの連載は医療についてのコラムです。B’zにふれる機会がない。そこで思いついたのが、松本さんと稲葉さんの関係に近い皮膚病の話題はないか?というむちゃくちゃな問いでした。締め切りまでの2週間、ひたすら考え続けました。

 お二人の役割分担。一人が前に出ているときはもう一人は後ろに下がって……。皮膚病で何かないだろうか。知らない人に少しでも役に立ちそうな情報も踏まえて、と考えていたらありました。出てきました。

 それは、アトピー性皮膚炎と尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)です。

 アトピー性皮膚炎は日本全国で45万人以上の患者がいるといわれている皮膚のアレルギー疾患です。皮膚のかゆみ、乾燥肌、そして免疫機能の異常が原因の3本柱と言われています。治療の基本はステロイド外用ですが、それでも治療がうまくいかない患者さんが一定数いらっしゃいましたがその状況は変わりつつあります。アトピーは最近、新薬の開発が盛んです。重症のアトピー患者さんに効果のある注射薬デュピルマブや、ステロイドとは違う作用機序の塗り薬コレクチム軟膏が現場では使われています。その他にも2021年はJAK阻害剤の内服薬が登場する予定です。これまで治療が難しいと考えられていた患者さんにも保険診療でカバーできる新規治療法が使える状況に変わってきました。

 治療で一歩先に行くのが尋常性乾癬です。尋常性乾癬もアトピーと同じく皮膚のアレルギー疾患で、欧米では人口の2〜3%が罹患していると言われています。治療はステロイド外用剤に加えてビタミンD3製剤の塗り薬や紫外線治療があります。こちらはアトピーよりだいぶ早くに重症患者さんに使用可能な注射薬が登場しました。生物学的製剤と呼ばれる特定の標的分子を狙った薬剤です。現在10剤の生物学的製剤が治療に使えます。2〜3カ月に一度の注射で、塗り薬は一切使わないできれいな皮膚を保てる患者さんも多くいます。

 さて、アトピーと乾癬、ともに皮膚のアレルギーの病気で免疫が関与していますが、それぞれ異なる免疫の異常として知られています。少し難しい話となりますが、免疫応答の中にはTh1タイプ、Th2タイプ、Th17タイプという分類があります。腸疾患などにも関係してくる免疫機構なのですが、アトピーの場合Th2タイプの異常と言われており、乾癬の場合はTh17タイプがメインであるとわかっています。

 一人の患者さんにアトピーと乾癬の両方が皮膚に出ることはほとんどないのですが、この理由はアトピーの原因であるTh2と乾癬の原因であるTh17が抑えあっているためです。Th2が皮膚で前面にでるときはTh17は後ろに下がるのです。

 片方が前に出るともう片方が後ろに下がる。強引すぎるのを承知で言いますが、これぞまさしくB’zの松本さんと稲葉さんの関係ではないでしょうか。誰がなんと言おうと、私には同じにしか見えません。

 アトピーと乾癬は一緒に出ることはないと書きましたが、実はすごく珍しいケースでは併発します。なぜかアトピーの患者さんに乾癬が出てしまうこともあります。さらに、アジア人のアトピーは欧米人のアトピーと違って乾癬に近いTh17タイプであるという報告もあります。

 こういうレアなパターン、B’zでもあります。

 普段歌わない松本さんが、1フレーズだけ稲葉さんの合間に歌うときがあります。こうなるとファンの間では「まっちゃんが歌った!!」とSNSで盛りあがるわけです。

 同じようなことは皮膚科医の中でも起こります。アトピーと乾癬が併発すると皮膚科医の中でも話題に上がります。学会発表や論文などで「乾癬を併発したアトピーの一例」なんて演題が出るわけです。この心境はB’zのときと似ていますね。私は皮膚科医でありB’zファンなのでわかります。間違いありません。

 以上、今回はB’zに関連してアトピーと乾癬について無理のないように解説してみました。ここまでお付き合いいただいたみなさま、本当にすみませんでした。最後に、B’zのイントネーションは食べ物のチーズと同じであると強調して終わりにしたいと思います。

【おすすめ記事】「愛の不時着」にハマった医師 患者への説明に使えると思った「免疫」に似ている状況とは?


このニュースに関するつぶやき

  • はぁ? この馬鹿なに言いたいの? それなら島耕作とかでもいいのでは(笑)
    • イイネ!2
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