「来年、離婚する」信じただけなのに…不倫発覚で、相手の妻から「慰謝料300万円」請求

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2020年11月27日 10:21  弁護士ドットコム

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「不倫相手の奥さまに300万円の慰謝料を請求されました。どうしても納得いきません」。妻子ある職場の上司にアプローチされ、不倫の道に走った女性が弁護士ドットコムに相談を寄せています。


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相談者によると、上司は「子どもの関係でまだ籍を入れたままだけど、夫婦関係は破綻している。来年には妻と離婚することが決まっているから、結婚を前提に付き合ってほしい」などとアプローチしてきたそうです。ハネムーンの過ごし方などの具体的な話もあったため、相談者は上司のことをすっかり信じこんでいました。



こうして不倫関係に発展してから約1カ月後。上司の妻に関係がバレてしまい、300万円の慰謝料を請求されました。妻は「離婚するつもりはありません」と話しているそうです。



相談者の不倫はまたたく間に会社中に知れ渡り、陰で悪口を言われたり、仕事を外されたりするようになりました。不倫していたことは事実とはいえ、あまりに理不尽な展開に相談者はやるせなさを抱えています。



慰謝料額に納得できない場合はどうすればよいのでしょうか。柳原桑子弁護士の解説をお届けします。



●慰謝料額に納得いかない場合は?

ーー相談者は「300万円」は適正な金額ではないと感じているようです。そもそも、慰謝料額はどのように決まるのでしょうか。



慰謝料は精神的苦痛を金銭に評価したものです。その苦痛の程度は、社会通念を基準にします。簡単にいうと、精神的苦痛をやわらげるためのお金です。慰謝料の額は、最終的には、訴訟において主張立証された諸事情を踏まえ、裁判所が決めます。



額を決めるにあたっては「不倫だと一律いくら」というようなルールはありません。訴訟では、不倫の期間や、不倫の結果離婚に至ったか否かといった諸事情が考慮され、事案ごとに額は異なります。



訴訟をせずに、当事者間の話し合いで慰謝料額を決めることも可能です。相談者のように、単に請求をされただけで、訴訟までいっていない段階において、「請求金額が高すぎる」と思ったなら、請求した側に減額を提案して、話し合いを試みることになります。



●「分割払い」はできる?

ーー高額の慰謝料を請求された場合、「一括で支払えないので、分割で払いたい」と希望することはできるのでしょうか?



当事者間の話し合いで承諾されれば、分割払いも可能です。



ただ実際には、慰謝料を請求する側から一括払いを求められることが多いでしょう。なぜなら、数回程度の分割払いならまだしも、たとえば300万円を1万円ずつ支払うというような場合は支払い期間が長期にわたります。請求した側にしてみれば、将来的に滞りが生じる懸念をいだくことでしょう。



また、慰謝料の原因となる嫌な出来事を支払いがされるたびに思い出すのがイヤ、という事情もありえます。 



分割払いについて合意してもらうためには、公正証書による合意をするなど、将来的に支払いが滞る恐れを払拭できるような措置を受け入れる姿勢が必要です。



ーー相談者のように、不倫相手の妻(または夫)に慰謝料請求された場合は、どのように対応すべきでしょうか。



具体的な状況や請求金額にもよりますが、まずは真摯に受け止め、相手の請求の趣旨をよく理解するべきです。対応に迷ったならば、弁護士に相談するなどして、事態を冷静かつ客観的に受け止めるようにしましょう。



真摯に対応していれば話し合いで解決できたものが、無責任に放置したために、相手の感情を煽って訴訟が提起され、大事になってしまう可能性もありえます。



また、不貞行為は共同不法行為のため、相談者が男性の妻に慰謝料の支払いをしたならば、ご自身の責任部分を超える額は男性に求償することができます。



男性が支払ってくれそうもない場合、妻からの請求に対し、ご自身の男性に対する求償権を放棄して、その分を減額して支払うという協議をしていくことも考えられるでしょう。



(弁護士ドットコムライフ)




【取材協力弁護士】
柳原 桑子(やなぎはら・くわこ)弁護士
1998年弁護士登録 第二東京弁護士会所属
離婚事件・遺産相続事件などの家事事件、破産事件、不動産関係事件等を中心に、民事事件を扱っている。「離婚手続きがよくわかる本」、「よくわかる離婚相談」、「相続・贈与・遺言」、「離婚の準備・手続・ライフプラン」監修(いずれも池田書店)。
事務所名:柳原法律事務所
事務所URL:http://www.yanagihara-law.com/


このニュースに関するつぶやき

  • 別居しているなら婚姻は破綻しているとみなされるはず。だから、この場合は、結婚詐欺に該当すると思うんだけど違うのかな。
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