オンライン会議は「声がかすれる」「声が出にくい」ので苦手。相手に伝わる声の出し方、コミュニケーションの方法は?

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2020年11月27日 17:01  JIJICO

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テレワークの普及により、今やビジネスシーンに欠かせない「オンライン会議」。ですが、「オンラインで発言するのは少し苦手」と感じている人は多いようです。「相手の反応がわからなくて話しづらい」と不安を感じる声や、「自宅で黙々と業務をしていると、いざオンライン会議に参加しても、声がかすれてうまく出ない」なんて声も…。


オンラインで伝わる話し方には、どのようなコツがあるのでしょうか。コミュニケーションを円滑にするためのポイントについて、伝わる声と話し方を指導するスピーチコンサルタントの成田万寿美さんに聞きました。


大きな声ではなく「地声」で話すのがポイント。オンラインでは、目線や表情、姿勢を意識するだけで印象がグッと変えられる


Q:テレワーク下で「声を出しにくい」と感じる人が増えているようです。その理由は?
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運動不足になると体の筋力が衰えるように、声帯も使わないと衰え、発声の力は弱まります。アナウンサーのような「声のプロ」であっても、1カ月声を使わなければ、声がかすれてくるのは当然のこと。ですが、声の筋力も鍛えれば復活します。正しい発声を心がけることで、よく通る声を取り戻すことは十分可能です。


Q:オンラインで「しっかり発声しているつもりでも、相手が聞き取りづらそうで不安」と感じている人は多いようです。どんな原因が考えられますか?
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「画面越しだからしっかり伝えなくては」と思うあまり、普段より声のトーンを上げたり、大きな声を張り上げたりしていませんか?


実は、「大きな声」と「通る声」は違うんです。高いトーンや大声は、キンキンと耳に響いて、相手に不快感を与える場合があります。また、高い声や大声を出そうとすると、舌の付け根が上がってのどを締めてしまい、かすれた声になりがちです。


ビジネスシーンで心がけたいのは「ナチュラルボイス(地声)」です。力みのない自然な声こそ、相手に最も心地よく響くといわれます。


私もテレビキャスター時代は、低い声をトレーニングするよう徹底されたほど。声のトーンを下げると、大人の安定と余裕を感じさせますし、自分の心を落ち着かせる効果もあります。


Q:オンラインで「相手に伝わる声」を届けるためには、どのような点に気を付ければよいでしょうか?
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オンラインでは情報量が限られる分、わかりやすい発声と、「目線」や「表情」といった「視覚」に訴えるコミュニケーションが重要になります。下記のポイントを参考に、普段以上に丁寧なアクションを実践してみてください。


【1】のどを開いて発声する
息をフーッと吐き、ゆっくり深い呼吸をしながら、あごと舌の力を抜き、のどを大きく開くイメージで話すのがコツです。リラックスした声はよく通り、聴き手を安心させます。


【2】声を張り気味にゆっくり、センテンスは短く
口の動きがわかるくらいのスピードを意識しましょう。聴き手には言葉を理解する「間」も重要。一文は短く、大事なフレーズを伝えるときは、前後どちらかに「間」をとりましょう。


【3】語尾は明確に、相手への敬意を乗せて
日本語は語尾が大切。優しい、怖い、投げやり…など、話し手の人格や感情は語尾ににじみ出ます。せっかくいい話でも、語尾が弱々しいと自信がないように聞こえるので、母音まできちんと発声しましょう。


【4】表情を豊かにして、自然な抑揚のある声に
マスク生活で無表情になっている人は要注意。口角と目尻はつながっています。表情筋を動かすと、目元がイキイキとし、自然と明るさのある声が出ます。


【5】背筋をピンと伸ばして、声も印象もアップ
パソコンに向かって前かがみになるのはNG! 自分の体は「楽器」と同じ。良い発声は姿勢に連動しています。姿勢が良いと画面上からも自信が伝わり、聴き手を引き付けます。


【6】カメラに「目線」をしっかり向ける
言葉を伝えるときは「目線」が重要です。画面の相手を見ると視線が下がるので、カメラをしっかり見て話すこと。相手と目が合っているように映り、言葉が届きやすくなります。


【7】アクションは大きく、画面のフレームを意識して
手の動きをプラスすることで躍動感が生まれます。画面いっぱいに顔を映すのではなく、上半身がきちんと映る距離を保つと、スペースに余裕ができ、姿勢の良さも際立ちます。


Q:オンラインだと雰囲気が伝わりにくい分、普段より緊張するという人も少なくないようです。緊張をやわらげるために、何か準備できることはありますか?
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まず「第一声」だけ練習してみましょう。緊張しているときに高い声を出そうとすると、声が上ずって、余計に焦ってしまいますよね。おすすめは、地声で出せる「ニュートラル(中音)」で話し始めること。同じ「こんにちは」でも、相手を想像して「落ち着いた感じ」「元気よく」などトーンを決めておくのがコツです。出だしがうまくいけば、その後も落ち着いて話しやすくなります。


そして、第一声の前に、深呼吸をして姿勢を整えるのがポイント。息をフーッと吐ききり、鼻から吸って空気をたくさん胸に入れましょう。深い呼吸をすると、のどが開いて、声が出やすくなります。
 
それでも表情が硬くなるときは、顔の緊張をほぐす「You・Me(ユーミー)体操」がおすすめです。覚えるのは、たった2フレーズでOKです。


/阿鬚靴辰り前に突き出して「ユー」と発音
∨砲魄き上げるように大きく「ミー」と発音


「ユーミー」と繰り返すだけで、緊張でこわばった頬がほぐれて、表情がイキイキしてきます。ポイントは、唇より頬を意識して動かすこと。徐々にスピードを上げると、効果もアップしますよ!


Q:オンラインのコミュニケーションをより円滑にするために、司会者や参加者の立場で工夫できることはありますか?
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コミュニケーションが一方通行にならないよう、「聞こえますか?」と声をかけたり、参加者に一言ずつコメントしてもらったりと、場を和ませる工夫をするといいですね。「不慣れなので、失敗したら笑ってくださいね」など、緊張もネタにしてみてください。人間味のある会話を交わすことで、相手との距離もぐんと縮まります。


また、画面上に映った顔を見て、自分が「無表情」であることに気付いた人も多いはず。オンラインの場合、ついリアクションが薄くなりがちなのですが、話し手側は反応が少ないと、不安に感じるものです。


話を聴くときにイメージしたいのが「モナリザの微笑」です。口角を3ミリ程度キュッと上げたほほえみは、相手に安心感を与えます。笑顔でスタンバイしていれば、いざ自分が話すときも自然と明るい声が出ます。


話を聴いている時は、カメラから視線をはずしても構いません。画面に映る相手の顔を見て、ゆっくりうなずくなど、リアクションを丁寧に行うことを心がけてみてください。


Q:ウィズコロナの時代、対面の機会が限られる中で、オンライン上のコミュニケーションがますます重視されています。相手と心を通い合わせるためにできることは?
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コミュニケーションのツールが代わっても、大切なのは「相手に寄り添うこと」です。相手の声のトーンやスピードに意識を傾けて、寄り添うように話をしてみてください。聴き手にとって「心地いい」「ペースが合う」と感じるのが「いい声」です。感情が反映される声を聴くことは、相手を気遣うことにもつながります。


そのためには、何より自分の声を好きになることです。


アナウンサーの声は「情報伝達」という目的のため、個性よりも聞き取りやすさが優先されますが、私たちは「コミュニケーション」のために声を使います。持って生まれた声にこそ、人柄や思いやりがにじみ出るもの。流暢な言葉よりも「その人らしさ」を感じる声に、人は心を動かされ、励まされるのです。


オンラインの対話でも「声」を意識することで、相手に想いを届けることができます。ぜひ、地声を磨いて、自信を持って話してください。日常が大きく変わった今こそ、他の誰にも代えられない、あなたの声が力になるのです。



(成田 万寿美・アナウンサー)

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