ドコモがショップでアプリ設定を“有料サポート”する狙い 業界に与える影響は?

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2020年11月28日 07:52  ITmedia Mobile

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写真端末の初期設定サポートに加えて、8つのアプリに対するサポートを提供。料金は1アプリごとに1650円かかる
端末の初期設定サポートに加えて、8つのアプリに対するサポートを提供。料金は1アプリごとに1650円かかる

 NTTドコモは、12月1日に全国のドコモショップで「アプリ設定サポート」の提供を開始する。対象となる8つのアプリのインストールや初期設定、アカウントの引継ぎを手助けするサービスで、料金は1アプリあたり1650円(税込み)。ドコモ回線を契約するユーザーが利用できる。



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 同サービスは、東京都や神奈川県にある250の店舗で実施してきたトライアルを受け、正式化されたものだ。12月には、これを800店舗に拡大。2021年2月には全店舗への導入を目指す。これまでのキャリアショップは、販売やサポートの拠点になっていた一方で、後者に関しては、事実上、無料でユーザーに提供されていた。アプリ設定サポートには、後者のサポート機能をより強化するという意味合いがある。その狙いや、業界に与える影響を読み解いていきたい。



●8つのアプリの初期設定やアカウント移行をサポート



 アプリ設定サポートは、計8つのアプリが対象になる。そのアプリは「ディズニー ツムツム」「メルカリ」「モバイルSuica」「Facebook」「Instagram」「LINE」「Pokemon GO」「Twitter」だ。料金は1アプリごとに1650円。アプリの初期設定や機種変更時のアカウント移行などをドコモ側がサポートする。もともとドコモでは、2019年12月に「初期設定サポート」を開始したが、こちらはAppleやGoogleのアカウント設定や基本的なデータ移行が中心。アプリ設定サポートは、それの上位レイヤー版という位置付けになる。



 サポートと銘打っているのは、操作自体を肩代わりするわけではないためだ。同意の上でショップのスタッフに教えてもらいながら、ユーザー自身が操作して、これらのアプリの設定をする必要がある。対象となるのは、ドコモ回線を契約しているユーザー。想定している主な利用者は、シニア層だ。



 この8つのアプリに絞った背景には、ニーズの高さがあるという。実際、どのアプリも、ユーザー数は1000万人を超えており、“定番”といえる存在。ドコモ 営業本部 販売部 チャネルデザイン 担当部長の蓑手康史氏によると、アプリの選定は、「一度、市場調査をかけた上で、人気のアプリをトライアルで検証しながらやってきた」という。



 実はトライアル時の方がアプリ数は多く、11のアプリを対象にしていたが、「ニーズがなさそうな3アプリは正式サービスでいったん落とすことにした」(同)。乗換案内など、初期設定や引き継ぎの必要性が薄いアプリを対象から外し、人気が高く、サポートのニーズが高いものに絞り込んだ格好だ。蓑手氏が「いったん」と述べていたように、対象アプリは、今後の利用動向に応じて、入れ替えられる可能性もありそうだ。



 FacebookやTwitterなどは、移行時にIDとパスワードを入力するだけで、「LINEと比べると、そこまで(トライアルで)数が出ているわけではないが、シニアにニーズのあるサービスというデータは得られているため、サポートしてきたい」(同)ことから対象になった。



●ショップスタッフへの研修や店頭オペレーションも考慮



 新規でスマートフォンを契約し、初期設定するだけならサポートはしやすいかもしれないが、機種変更のアカウント移行の場合、各アプリでのIDやパスワードが必要になるだけでなく、LINEのように、端末側にデータを保持しているアプリでは、そのバックアップも必要になる。モバイルSuicaも、事前に旧端末でデータを預け入れしなければならならず、手間がかかる上に操作を熟知していないと、ユーザーをサポートするのは難しい。



 そこでドコモはアプリ設定サポートの提供にあたり、各アプリ事業者には「許可を得た」(営業本部 中期チャネル戦略 担当課長 岩城雅洋氏)という。ショップスタッフ向けには、アプリごとのマニュアルも作成。「事前に店舗をつないで、Webでスタッフ向けの説明会を開き、しっかりお客さまにご説明できる形にした」(同)と、準備を進めてきた。



 ユーザーによっては、IDやパスワード自体を忘れてしまっている恐れもあるが、こうしたケースも想定はしているという。岩城氏によると、「パスワード(の確認や再発行)まではドコモ側が踏み込めないが、(各アプリの)事業者に伺ってもらい、サポートをしてもらってから、人によっては後日の対応になることもある」という。



 アプリ事業者によってはサポートの窓口がメールやチャットしかないところも多く、「お客さまが問い合わせるのも一苦労だった」(蓑手氏)。メールの場合、返信を待つ必要があり、時間もかかる。これに対し、アプリ設定サポートなら、対面ですぐにサポートを受けられる安心感がある。有料ながら、ユーザーのニーズに沿ったサービスといえそうだ。



 一方で、地域やショップの規模による差はあるが、ドコモショップは予約でいっぱいのところが多い。アプリ設定サポートを追加することで、その状況に拍車が掛かる恐れはないのだろうか。これに対し、岩城氏は「今は来店予約がほとんど。事前に新規契約か機種変更かは分かるので、ご来店前にご連絡して、希望があればプラスαの時間を設ける形で、店舗の時間をうまく調整し、混まない形でのオペレーションにしていける」と語る。想定しているのは、1アプリで15分程度。「大きく応対時間に影響を及ぼすわけではない」(蓑手氏)という。



●ショップの負荷軽減になるか? アプリ事業者とのさらなる連携の可能性も



 1650円という料金は、「トライアルの中でアンケートを取り、それを元に受け入られる金額を判断した」(岩城氏)。金額だけでなく、「時間課金がいいのか、1アプリごとがいいのか、複数のトライアルをした」(同)と、課金形態にもさまざまな選択肢があったという。料金は「代理店に対価としてお支払いする」(蓑手氏)といい、キャリアショップの新たな収益源になる可能性もある。



 こうした設定のサポートは、本来、ドコモショップの業務には含まれていなかった。スマートフォンや回線は提供しているものの、サードパーティーのアプリは、ドコモとは無関係だからだ。ただ、現場ではその線引きが明確に引かれていたかというと、必ずしもそうではない。店舗やスタッフの中には、「お客さまに応じて、(設定を)やることはあった」(同)というのも事実だ。アプリ設定サポートというメニューを設ければ、ここに一定の線を引くことができる。



 蓑手氏は「店舗の困りごとを救済するというのが目的ではなく、あくまでお客さまサービス向上の一環」というものの、本来は断らざるをえなかったアプリの設定を、正式なサービスとして提供できるようになるのは、ショップスタッフの心理的な負荷軽減にもつながるはずだ。実際、ショップには「これまでは信頼関係の中でやっていたものを、サービスとして提供できるということで歓迎されている」(同)という。ショップの運営にもコストがかかっている以上、業務の範囲を超えた無償サポートは、回りまわって通信料にも跳ね返ってくる。公平性の観点では、アプリ設定サポートを利用しないユーザーにとっても、歓迎できるサービスといえる。



 一方で、見方を変えると、アプリ事業者がやるべきサポートを、ドコモやドコモショップが肩代わりしている構図にもなっている。その対価を支払うことになるのは、ユーザーだ。ビジネスモデルをどう組み立てるのかにもよるが、アプリ事業者に対してドコモが対価を請求し、ユーザーのサポート料は無料にするという方法も考えられる。



 実際、ドコモとメルカリが共同で実施している「メルカリ教室」では、両社が費用を出し合っているという。蓑手氏は「アプリ設定サポートで導入するかどうかは未定だが、今後の検討課題。まずは店頭でサービスを提供するというシンプルなところから始めた」と語る。ユーザーのリアルな接点を持ちたいアプリ事業者にとって、全国津々浦々にあるドコモショップは魅力的なだけに、次のステップの挑戦にも期待したい。


このニュースに関するつぶやき

  • 高ぇよ、いままではショップで普通にやってくれたぞ?まぁ、店にもよってだろうけどさ…
    • イイネ!2
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  • 操作に疎いジジババを言葉巧みにスマホに移行させ、更に一項目に付き1650円と言う、決して安くはない手数料をぶん取るとは。殿様商売にも程がある。
    • イイネ!132
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