沢口愛華の成長が詰まった名作『背伸び』にみる、「グラビア界」の充実度

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2020年11月28日 11:01  リアルサウンド

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 沢口愛華の2nd写真集『背伸び』(講談社)は、“令和のグラビアクイーン”のキャッチコピーも頷けるほどにストレートな王道のグラビア写真集だ。


 2019年3月に発売された1st写真集『でらあいか』(講談社)から約1年半ぶりに発売された本作は、「オリコン週間BOOKランキング」の「写真集」部門で初登場1位(集計期間:10月26日〜11月1日)を獲得した。


 「ミスマガジン2018」グランプリ受賞から2年。7年ぶりに復活したグラビアミス・コンテスト「ミスマガジン」は、今や出版社の垣根を越えた注目の的となっている。沢口と同年にミスヤングマガジンに選ばれた寺本莉緒、2019年には豊田ルナと多くの新星を発掘。今年は抜群のプロポーションを誇る新井遥がミスマガジンに輝いた。


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■出版社の垣根を超えたとは?


 「出版社の垣根を越えた」と先述したのには、(初めは講談社の独占が続くものの)いずれは『週刊プレイボーイ』や『週刊ヤングジャンプ』(共に集英社)、『BOMB』(ワン・パブリッシング)といった長年グラビアの歴史を紡いできた雑誌にも登場していくからである。AKB48グループが水着グラビアを席巻し、グラビアアイドルが嘆くといったかつての時代は過ぎ去り、今は再びグラビアシーンが再燃し始めている。そのきっかけを作ったひとつの要因に「ミスマガジン」の復活とゼロイチファミリアの誕生があげられる。今年10月には沢口が表紙を飾った『STRiKE!』(主婦の友インフォス)、ゼロイチの桃月なしこと十味が表紙の『DOLCE』(白夜書房)と、はっきり言ってしまえば坂道シリーズが登場しないグラビア雑誌が創刊されるなど、確実にグラビアシーンは息づいてきているのだ。


 そんな再興の2年間の中で、沢口は多くの雑誌の表紙を飾ってきた。挙げだすときりがないためここでは控えるが、青年誌で表紙を飾っていない雑誌は、ほぼないのではないだろうか。コンビニに行けば沢口に会えるといった状態。多くの撮影経験を積んできた沢口に、言わば“グラビアの筋肉”が備わっていることを『背伸び』では強く感じさせる。


 「ひとり旅」をテーマに、北海道と宮古島で撮影された本作。北海道の大自然をバックに自転車を漕ぐショットから温泉で泥湯に入る沢口。宮古島ではエメラルドブルーの透き通った海を背に無邪気に走り回る。古民家で涼んでは、浮き輪で海にプカプカと、まさに沢口のひとり旅を覗き見しているかのようだ。


 現役高校生の17歳。今なお進化し続けるグラマラスなボディはもちろん、温泉や海のシーンでは水滴の残るピチピチの肌に彼女の若々しさを実感する。今年9月に所属していたアイドルグループdelaを卒業し、ソロとしてリスタートした沢口。『背伸び』には改めてのスタートダッシュの勢いも感じさせつつ、これまで見せなかった大人な表情も覗かせている。


 印象的なのは北海道と宮古島の2編でところどころにインサートされる顔のアップだ。中でも寒さに凍えながらカメラに視線を向けるワイルドなショットは、初めて見る沢口の表情。さらに北海道編を締めくくる入浴から湯上がりまでの数ページは、自然な素顔を収めた珠玉のカットと言って間違いない。


 今作には、沢口の2年間の成長とソロとしての覚悟、背伸びした未来にいる大人な彼女の表情が詰まっている。


■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。


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