東京ばな奈、お土産なのに全国コンビニ販売 コロナ禍で変わる“東京土産”の新たな可能性

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2020年11月30日 09:30  ORICON NEWS

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写真30周年を前に、初の全国販売やネット販売が話題を呼んでいる『東京ばな奈』
30周年を前に、初の全国販売やネット販売が話題を呼んでいる『東京ばな奈』
 1991年に発売され、外国産のバナナを原料にしながらも東京土産の定番となった『東京ばな奈』。近年は、お土産商戦が激化する中、アニマル柄、ブリュレタルト、チーズケーキ、ソフトクリームなど様々な商品を展開。さらに、11月からはピカチュウ柄の『ポケモン東京ばな奈』を全国のコンビニで発売した。コロナ禍で土産産業も大きな打撃を受けたが、来年30周年を迎える同商品が新たな試みに踏み切った思いとは? 販売元のグレープストーン広報担当・大野由貴子さんに話を聞いてみると、その商品名、サイズ、価格すべてに顧客目線の気遣いが隠されていた。

【画像】「かわいすぎる」話題の“ピカチュウ柄”に“レモン味”まで‥ もはやなんでもありな『東京ばな奈』

■かつて憧れの食材だったバナナをおみやげに サイズや価格に込めたこだわり

――まずは、『東京ばな奈』開発のきっかけを教えていただけますでしょうか?

もともと“食に関する楽しいことをやる”というコンセプトの会社だったのですが、当時はまだ“ザ・東京みやげ”という感じのものが世に出ていなかったんです。それなら、自分たちで一から作ってみようという夢からスタートしました。

――当時、他のお土産品も作られていたのですか?

70年代からお菓子は手掛けていましたが、バブル真っ盛りだったので高級品や贈答品が中心でした。もっと身近で、おやつに食べられるようなお菓子も作りたいと、新たに土産品を開発することになりました。

――70〜80年代頃のおみやげの定番は、どのような感じだったのでしょうか?

それ以前は日本列島の移動に時間がかかる時代だったので、お土産は日持ちするものが定番でした。『赤福』さんや『萩の月』さんなど例外もありましたが、ほとんどが乾き菓子で日持ちするものが多かったですね。『東京ばな奈』が誕生する頃はもうだいぶ交通機関が発達していたので、おやつケーキのようなものでもいいのではないかという認識に変化していたんです。

――モチーフをバナナにしたのはなぜですか。

東京には特産品があまりない中で、誰もが親しみやすいお菓子を作りたいという思いから、世代や性別を問わず愛されているバナナを選びました。社長は今70代なのですが、当時40代で、世代的にバナナは憧れの食材だったんです。小さい頃は舶来品で、風邪で寝込んだ時に特別に食べさせてもらえるようなものだったそうです。

――開発時、工夫された点やこだわった点はありますか?

当時はバナナ味のお菓子が少なく、あっても香料だけを使っているものがほとんどでした。バナナ本来のおいしさを味わえるものにしたいという思いが大きかったので、本物のバナナを使うことには一番こだわりました。ただ、バナナは加工したり、時間がたつと茶色になってしまうのが大変で。悩みましたが、最終的にはおいしさを優先して、フレッシュなバナナから作った本物の味にこだわり抜いて作りました。あとは、価格設定ですね。

――価格はどのようにして決められたのですか?

おみやげを買う時は、飛行機や新幹線の時間を気にして、時間がないことも多いと思ったんです。そこで、1000円札を出したら、1円お返しするだけでいいように、999円に設定にしました。サイズも、当時のおみやげにあまりなかったA4より少し小さいサイズに。出張時のブリーフケースにすっぽり入るように、運びやすさとコンパクトさを意識しました。

■商品名に『東京〇〇』がつく土産品の先駆け 社内の反対を押し切ってまで採用した思い

――発売後の反響はいかがでしたか?

女性やビジネスマンを中心に、当初からすごく反響をいただきました。期間限定のポップアップストアのような形で駅などに出店させていただいたのですが、初登場でそれまでの記録を塗り替えるような高い成績を出すこともありました。

――いろいろな東京土産がある中で、人気が出た理由はなぜだと思われますか?

クリームが入ったスポンジケーキが、どの年代にも愛していただけたのではないかと思います。子どもから、堅いものが食べられないご年配の方まで、どの年代にも楽しんでいただけた部分が大きかったです。

――発売当初は、そういった生菓子のお土産は少なかったのでしょうか?

そうですね。昔は日持ちさせるパッケージの包装技術や衛生環境が整っていなかったので、フレッシュな生菓子を持ち運ぶことはなかなか難しくもありました。技術や環境が整うにつれて、そういったお土産が増えてきたのだと思います。あとは、みなさんに覚えていただけた『東京ばな奈』という名前もよかったのかなと思います。

――名前に込められた思いはありますか?

当時は、土産品でも『東京〇〇』という商品があまりなかったんです。弊社はそれまで高級なラインナップのお菓子ばかりだったので、そんなカッコ悪い名前でお客様が受け入れてくださるのかと、社内からも反対の声が挙がりました。それでも、時間がない中で買ってくださる時に、どんな物なのか考えさせてしまうよりは、分かりやすい方がいいのではと。“バナナを使った東京みやげなんだな”ということが、買う方にも受け取った方にもわかりやすくて親切なのでは、という思いから決まりました。

■時代とともに変わる東京土産の形「流行しているものが、すべてお土産になり得る」

――数ある土産品が発売されてきた中で、『東京ばな奈』の人気が危うくなったことはあったのでしょうか?

ありがたいことに、そういったことはありませんでした。ただ、ずっと同じものを出し続けて古びないかどうかという心配はあったので、どうすれば常に新しい目線で見てもらえるかは意識しています。ルイ・ヴィトンなどのラグジュアリ―ブランドが、変わらない定番の柄も持ちつつ、最新のデザインを出していくように、東京ばな奈も新たなものを生み出せるよう努力しています。

――これまで100種類以上の商品を発売されていますが、新商品やコラボ商品を開発される際、気をつけていることはありますか?

本物のバナナを使っておいしさを守ることと、形のかわいらしさですね。カーブしたバナナのかわいい形もあって受け入れていただいているので、シリーズ商品のカステラやチーズケーキも、バナナの形にして作っています。

――特産品があまりない東京のお土産は、全国各地と比べても難しさを感じますか?

確かに最初は、外国産の原料であるバナナで東京みやげを作っていいのかという思いもありました。でも最近の土産トレンドを見ていると、普段から東京のカフェやプレゼントで流行しているものが全てお土産になり得るんですよね。例えば、弊社で展開している、ラングドシャの中にバラの形のチョコレートが咲いている『東京チューリップローズ』というお菓子も普段から人気なのですが、お土産としても使っていただいています。

――普段東京で人気のお菓子が、おみやげになり得るということですよね。

そうですね。お土産として使う物のボーダーラインがなくなってきていると思います。ライバルが多くて大変ではありますが、自由にチャレンジできておもしろいです。

――確かに自由さも感じますし、“何でもあり”な印象を受ける時もあります(笑)。

まさに、東京ばな奈のコンセプトは“何でもあり”なんです(笑)。『東京ばな奈』という柱があって、それをお客様に認識していただけたことで、いろいろな遊びもできるのかなと。

■『ポケモン東京ばな奈』で身近な存在に 期間限定の全国販売で“バーチャル東京旅行”を

――今年は史上初のネット販売、全国展開も開始されましたよね。

基本的には東京土産なので、全国展開したという意識はなく、あくまで限定企画の出張販売というイメージです。あとは、『ポケモン東京ばな奈』のように、従来と違った別シリーズをお届けすることで、この先も続いていける新たな商品も作っていきたいと思っています。

――『ポケモン東京ばな奈』は、“お土産”という認識ではない?

もちろんお土産として使っていただけるように東京にも専用ショップができますが、毎日側にいてくれるようなお菓子としても考えています。もともとポケモンも思わぬところに出現する面白さや、パートナーとして側にいてくれる優しさもありますよね。そんな側面が、みなさんのお側に行きたいという『東京ばな奈』の思いとマッチすると思ったんです。

――東京を代表する土産品として、ネット販売は苦渋の選択だったのでしょうか。社内で反対の声もありましたか?

全然なかったです(笑)。もともとは東京旅行の思い出の味として使って頂きたかったので、やる必要性を感じていなかったんです。でも、お客様の事情が変わってしまったのに、こちらが今までと同じことをやるのは不親切なので。今求められているのは通販でも買えることだろうと思って、期間限定で取り組んでいます。

――実際にやってみて、反響はいかがですか?

すごく喜んでいただいて、出張販売の時も日本全国どこに行っても歓迎していただけるので、思い切ってやってよかったと思っています。

――『東京ばな奈』を全国で手にすることができるようになった今、お客様にどのように楽しんでいただきたいですか?

東京に行けない代わりに、バーチャル東京旅行というか、気持ちだけでも東京に行った気分で楽しんでいただければという思いです。また、『ポケモン東京ばな奈』のように、毎日の生活の中でもかわいいと思ってもらえる存在になれたらうれしいです。


(文=辻内史佳)

このニュースに関するつぶやき

  • 東京は土産物ばかりで、どれ買えばいいのかわからない。
    • イイネ!0
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  • 旦那東京に出張行くといつも買って来てた。お土産として食べるから美味しいのであって。出張もめっきりなくなったな。
    • イイネ!24
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