予約の取れない“お片付けのプロ”が「無理して捨てると不幸になる」と語る深い理由

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2020年11月30日 11:35  AERA dot.

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写真古堅純子さん(著者提供)
古堅純子さん(著者提供)
 今年も年末のお掃除シーズンがやってきた。だけど、どうにも腰が重くて動けない……そんなあなたに朗報だ。多忙な方やシニアに向けて数々の革命的な提案をしてきた古堅純子が解く、一生散らからない“片づけの新常識”とは。『なぜかワクワクする片づけの新常識』より抜粋して紹介する。

*  *  *
 片づけのポイントは「モノは捨てなくていい」です。

 今までの片づけはそのほとんどが、モノとの向き合い方についてのノウハウでした。いかにして、モノを減らすか、手放すか、整理するか、収納するか……など。

 その観点からいくと、モノは必ず減らさなければいけない対象になります。なぜって、モノが多ければ、しまいきれませんから。

 しかし、年を重ねれば重ねるほど、モノは増え、モノに対する愛着も深まっていきます。

 ある程度の年齢になると、過去の思い出や栄光が大切な支えになるのです。人から見たら、ガラクタにしか見えないモノでも、本人にとっては、大切な思い出や記憶がつまったかけがえのないモノかもしれません。それらを手放すのは、輝いていたころの自分とサヨナラするくらいつらいこと。

「これ、いるの? いらないでしょ、こんなモノ!」 

 そんなふうに親とケンカしながら、片づけをする光景をよく見ます。親は子どもに迷惑をかけてはいけないと、じっと我慢しています。そんな残酷なことを、血のつながった親子でもしてはいけないと私は思います。

 またシニアの方のなかにも、「捨てなければいけないのだ」と、未練を残しながらも身辺整理を強行する人がいます。

 でも、年齢を重ねた人にとって、愛着のあるモノを捨てるのは、身を切られるよりつらいのです。そんな不幸せなことをする必要はどこにもありません。

 こんな例がありました。息子さん夫婦と同居するために自宅を建て直すことになった80代の老婦人の話です。一時的に仮住まいに引っ越さなければならなくなったのですが、引っ越し先は手狭ですので、今あるモノを整理しなければなりません。

 しかし老婦人の片づけは遅々として進みません。何しろ、この家は亡くなったご主人が建てた念願のマイホームです。半世紀以上住み続けた老婦人にとって、この家は人生そのもの、思い出のかたまりです。ひとつひとつのモノには家と家族の歴史、思い出がつまっています。おいそれと処分できるものではないのです。

 引っ越しの日が迫るなか、とうとう老婦人は体調をくずし、入院してしまいました。こういうことは、お年寄りにはよくあることです。愛着があるモノはその人の体の一部。無理に処分を迫ると、本当に体がおかしくなってしまうのです。

 私は老婦人が入院している間に、その家のモノを片づけるようご家族から依頼されました。ご本人がいないのに片づけるのは気が進まなかったのですが、長年のお客さまである息子さんとの関係もあり、また家を取り壊す期限が迫っていたこともあって、息子さん夫婦と相談しながら、モノを整理させていただきました。

■「捨てる」ではなく「寄せる」という発想 

 嫌がったら、無理してモノを捨ててはいけないと私は思います。

 心のよりどころになるモノがあったからこそ、安心して、暮らしていたのです。嫌がるのなら、無理やりモノから引き離す必要はないのです。 

「でもそんなことを言っていたら、全然片づかないではないか。モノを捨てずに、家を整理するなんて不可能だ」と思われるかもしれません。

 でも、大丈夫です。私は捨てるかわりに「寄せる」という大胆な方法を提案します。「捨てる」のではなく、「寄せる」のです。

 たとえばモノが床のあちこちに置いてあったら、とりあえず部屋のかたすみに寄せてみる。あるいは物置部屋をつくり、そこにモノを集めてみる。最悪、家具の後ろや、押し入れが空いていれば、そこに押し込んでもかまいません。

 これなら、誰でも抵抗なく片づけにとりかかれるはずです。「捨てる」「捨てない」でいちいちケンカしたり、悩んだりしなくてすみますし、モノを選別して処分する労力も必要ありません。短時間で部屋の様子が変わります。とりあえず寄せればいいのですから、かなりハードルは低いでしょう。

 なぜ寄せるのかというと、目的は空間をつくりたいからです。この「空間をつくる」というところが、私が考える片づけの第二のポイントになります。「寄せただけじゃ、片づいたことにならない」と思われるかもしれませんが、何はともあれ、やってみることをおすすめします。

 モノで埋もれていた場所が、とりあえずスッキリした空間になるだけで、何かが大きく動き出します。だまされたと思って、まずは寄せて、空間をつくってみましょう。そこから、片づけの劇的な第一歩が始まるのです。

【おすすめ記事】レジ袋と衣類は「たたまない」ほうがうまく収納できる理由


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  • …物理的にどうにかできる量ならなんとかできるけど…容積的に不可能な場合は一部から処分せざるをえなくなる…
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