次世代のエース候補も躍動! フェニックスLで“目立った若手”は誰だ?

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2020年11月30日 16:00  AERA dot.

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写真巨人・井上温大 (c)朝日新聞社
巨人・井上温大 (c)朝日新聞社
 11月8日から29日まで約3週間にわたって行われたフェニックスリーグ。2006年以降はKBO(韓国プロ野球)などNPB以外のチームも参加していたが、今年は新型コロナウイルスの影響でNPB12球団のみでの実施となった。若手選手にとっては貴重な実戦の場であるが、その中でも活躍が目立った選手をピックアップして紹介したいと思う。

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 まずルーキーで最も存在感を示した選手となると、昨年のドラフトで目玉の一人だった奥川恭伸(ヤクルト)になるだろう。19日のソフトバンク戦で先発すると、初回に高田知季にツーランを浴びたものの、その後はしっかり立て直して5回を2失点にまとめる好投。27日の阪神戦では更に調子を上げ、6回を被安打わずか1、7奪三振で無失点という圧巻のピッチングを見せている。

 11月10日の一軍最終戦では3回途中5失点とほろ苦いプロデビューとなったが、その経験を生かしてしっかりと調整を進めてきたことが分かる投球だった。阪神戦では150キロもマークしているが、それ以上に目立ったのがコントロールと変化球の成長だ。2試合、11回を投げて与えた四球はわずかに1。決め球のフォークも低めにしっかりと決まり、イニング数を上回る12奪三振も記録している。二軍のレベルでは完全に頭一つ抜けており、来春のキャンプでも一軍帯同が濃厚だ。ダントツの最下位だったチームを救う救世主として期待したい。

 日本シリーズで2年連続の4連敗を喫した巨人も楽しみな高校卒投手が出てきた。2年目の横川凱とルーキーの井上温大だ。横川は8日の一軍戦でプロ初先発を果たし、5回1失点と好投。フェニックスリーグでもその勢いは変わらず、3試合に先発して19回を投げて自責点3、防御率1.42という見事な結果を残してみせた。高校時代はどうしても体が細く頼りない印象が強かったが、プロ入り後は着実に体力面が強化されてきているように見える。190cmの長身でありながらもフォームにギクシャクしたところがなく、ボールの角度は申し分ない。この調子を維持できれば、来季は先発争いに加わってくることも期待できる。

 そしてその横川以上の結果を残してアピールしたのが井上だ。9日のロッテ戦では味方の援護がなく負け投手となったものの8回を投げて2失点と好投。その後は1試合ロングリリーフでの登板を挟んだが、23日の中日戦でも8回2失点、29日の日本ハム戦では7回をわずか1安打無失点と3度の先発全てで結果を残してみせた。高校時代からフォームの良さは抜群で、数字以上に速く見えるストレートが大きな特長だ。この1年でかなり体重も増え、プロらしい体つきになってきたように見える。来年は一軍抜擢のチャンスも十分に考えられ、横川とともに次代を担う投手の一人として注目を集めることになりそうだ。

 野手で目立つ活躍を見せたのが日本ハムの野村佑希、海老原一佳の二人だ。高校卒2年目の野村は今年ビヤヌエバの出遅れもあって開幕スタメン出場を果たし、7月にはプロ初本塁打をマーク。その直後に打球を右手に受けて骨折し長期離脱となったものの、シーズン終盤には復帰し本拠地の最終戦では4打点も記録している。

 フェニックスリーグでは全18試合に出場。打率.338、3本塁打、12打点と見事な成績を残した。軽く振っているように見えてもヘッドが走って打球が飛ぶのが特長で、その高い放物線にはホームラン打者らしさがあふれている。積極的に打ちに行くスタイルも魅力だ。サードの守備もまだまだ堅実さは物足りないが、スローイングに強さがあるのは心強い。来季は新外国人のロニー・ロドリゲスとポジション争いを演じることになるが、何とか勝ち抜いてサードのレギュラーに定着したいところだ。

 一方の海老原は育成ドラフトで入団して2年目の外野手。昨年は11本塁打、今年も10本塁打と二軍では長打力を発揮している。確実性が課題と言われていたが、このフェニックスリーグでは終始安定した打撃で打率.326をマーク。大学、独立リーグ時代と比べても下半身が明らかに安定し、目線がぶれなくなったように見える。持ち味であるフルスイングと長打力も残しており、野村を上回る4本塁打を放ち、15安打のうち半数以上の9本が長打だった。この調子を維持できれば支配下登録の可能性は高く、外野のレギュラー争いに加わってくることも十分に考えられるだろう。

 ここまでに挙げた選手以外では、ピッチャーでは最終戦の広島戦で5回無失点の好投を見せた井上広輝(西武)や、3本塁打と持ち味の長打力を発揮した井上広大(阪神)なども目立ったプレイヤーである。これからシーズンオフに入るが、今年最後の実戦で得た良い感覚を収穫として、来シーズンのブレイクに繋げてくれることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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