動物写真家・岩合光昭語る、コロナ禍にネコが教えてくれた“本当の豊かさ”「自分たちの世界での充足があればいい」

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2020年12月01日 07:30  ORICON NEWS

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写真牛舎で生活する猫の家族(C)「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き 2 」製作委員会 (C) Mitsuaki Iwago
牛舎で生活する猫の家族(C)「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き 2 」製作委員会 (C) Mitsuaki Iwago
 動物写真家・岩合光昭氏が世界中のネコを撮影するドキュメンタリー番組『岩合光昭の世界ネコ歩き』(NHK BSプレミアム)。その映画化第2弾となる『岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族』が来年1月に公開される。岩合氏が心から撮りたいと願ったネコの“家族愛”を、1年かけて見つめ続けたドキュメンタリーだ。これまで世界中の動物たちと触れ合い、心を通わせてきた岩合氏だが、コロナ禍での動物との付き合い方をどのように考えているのだろうか。

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■コロナ禍でテレビ版『世界ネコ歩き』が高視聴率「みなさんがネコを待っていた」

 ミャンマーの湖上に建つ小さな家で暮らしているネコの家族とヒトの家族。北海道の牧場でウシやイヌと暮らす母ネコ、雄ネコ、子ネコ。2つの舞台で、ネコたちの飾らない日常と、愛や絆を描いたのが同映画だ。ナレーションは中村倫也が担当している。

――テーマに『家族』を選んだ理由を教えてください。

【岩合】ネコ科で社会生活を営むものはイエネコとライオンだけなんです。北海道ではおっぱいをもらっている子ネコが別のお母さんのおっぱいへ。どっちが本当のお母さん?と思わず子ネコに聞きました。ミャンマーではお父さん・お母さん・そっくりな子どもたち2匹がいて、そのネコ家族と、共に暮らすヒトの家族の絆を見てみたいと思いました。

――撮影で大変だったことや、こだわりは?

【岩合】ミャンマーには3回撮影しに行ったんですが、撮影期間は日本にいる時も、その子ネコたちが無事に成長してほしいと願っていました。とても心配でした。こだわったのは“光”。背景や光景がシンプルであればあるほどネコは引き立つので、舞台に立つ役者さんに当たる光をイメージしました。

――ちょうど撮影中に緊急事態宣言が出てしまったと聞きました。

【岩合】緊急事態宣言で北海道ロケの日程が白紙になったり、テレビの『〜世界ネコ歩き』も2回なくなりました。解除後に東京周辺でロケをして3カ後に放送したのですが、視聴率がすごく良かったんです。みなさん、ネコたちの姿を待っててくれたんだな、と改めて感じました。

■コロナ禍はすでに“日常” 「ネコたちを見て、あるがままに今を生きてほしい」

――例えば、日常を描くアニメ『サザエさん』を筆頭に、日常風景にネコが登場する作品はたくさんあります。コロナ禍という非日常で、“ネコ”という日常が求められていたということでしょうか。

【岩合】コロナ禍だから、ということではないと思うんです。現状、コロナはもう日常になってしまっています。一人一人が懸命に生きるしかないんです。自分なりに日常を過ごす中で、この映画のタイトルにもなっている、"あるがままのネコたち”の姿を見て「自分は自分だし、あるがままに、生きていこう」と思っていただけたら。この映画を作って良かったと、あらためて思います。

――コロナ禍を受けて、動物写真家として動物に対する思いに何か変化はありましたか?

【岩合】まったくありません。動物だけでなくヒトに対しても。僕は科学的なことはよく分かりません。だからできるだけ自然にしていたいと思うんです。「あるがままに」まさにこの一言につきます。ヒトと動物も、動物同士も一緒ではない。動物からしたら、新型コロナよりも冬が来ることの方が重要かもしれない。相手が動物でもヒト同士の関係と変わらないんです。「あなたと私は違うよね」と認めること。動物もヒトも、分からないことばかりです。でもだから、もっと知りたいと思う。それが、僕がネコにカメラを向ける理由でもあります。

――つまり、岩合さんはネコに“恋するように”カメラを向けているのでしょうか。

【岩合】まさにそうだと思います。振られてばかりですが(笑)。ネコもコロナになると言われて、感染しないように考えてあげるのは良いことですが、意識し過ぎてしまうと、ネコはもちろん、ヒトも必要以上苦しくなってしまう。ネコだって一匹一匹が違います。そういった“違い”を、この映画を通して感じてもらえたら嬉しいです。

――改めて、岩合さんにとってのネコの魅力とは?

【岩合】やはり自由なところですね。それと、すごく自分を持ってることかなあ。ヒトや他のネコと一緒にいても、自分は自分だと思っている。ヒトをご主人だなんて、決して思っていない(笑)。

――ネコは人のことを“大きなネコ”ぐらいに思っているんじゃないかという話を聞いたことがあるのですが…

【岩合】それも少し違うかもしれません(笑)。ネコはイヌと違ってリーダーが必要ないんです。自分のしたいように動くし、思い通りにならない。でも時々こっちに来てくれる。ツンデレという言葉が近いかもしれないけれど、それとはまたちょっと違う感じで、愛が欲しいときは愛が欲しい顔をしているんです。思うままに生きている彼らだからこそ、そのことを僕は尊重したいと思っています。邪魔をしたくない。

■超近距離で撮影できる秘訣とは「ネコは“最初からそこにいるもの”は認める」

――昨今はネコの動画をYouTubeやSNSにアップしている方もいらっしゃいます。岩合さん流『ネコの撮影法』とは?

【岩合】ネコは自分のテリトリーをパトロールする習性があります。その際、侵入者がいると威嚇、排除します。ですが、ネコは“最初からそこにいるもの”を認めることが多い。威嚇も排除もしない。座っていたら、いつの間にかにネコが膝の上に乗ってくるという経験をされた方も多くいらっしゃると思いますが、それはあなたがそこに先にいたから。これを利用し、僕はまず、ネコのパトロールの道程を見極めます。そしてネコがいずれ通る場所でカメラを構えて待つ。するとネコはとくに意識もせず、いつもどおりにカメラの前を歩いてくれる。ネコが来たから、といってカメラを構えると間に合わないと思います。

――岩合さんが仕事をする際に「ここだけは譲れない」と思う点は?

【岩合】美味しいお酒と美味しい肴。美味しいものを食べないとエネルギーが湧かなくて(笑)

――なるほど、誰もがそうかも知れません。ネコもそんなところがあるんですかね?

【岩合】求めるものは、暮らす土地で変わると思うんです。ヒトはもちろん、ネコも。東京のように食べ物の種類が多い場所のネコはグルメになりがちかな。でも豊かさってそれだけじゃない。昔、香川県に行ったとき、うどんを啜るネコと出会いました。その子は毎日毎日、美味しそうにうどんを食べる。そんなに美味しいのかな、と思っていただいてみたら、うどんはもちろん、出汁が本当に美味しかった。鰹だけじゃない、数種の魚から、手間と時間を惜しまず作られていた。自分の生きる世界で満足できたら幸せです。ネコは生き方が上手だと思います。

――これから写真家として、映像作家として挑戦したいことは?

【岩合】映画を作ると大変でもう嫌だと思うんですけど、数ヶ月か経つとその大変さを忘れてまたやりたくなるんです(笑)。もしチャンスがあれば、前に監督した映画『ねことじいちゃん』の天才ネコ・ベーコンに出てもらって、演出されたネコだけの映画を撮ってみたいですね。

(取材・文/衣輪晋一)

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  • うちの近所の(のら)猫どもも、コロナなど どこ吹く風と、おわぎゃあァァ、おわぎゃあァァと 朝から縄張り争いをやってくれてます。ǭXǭ
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  • ǭうまいこと揃ったにゃ〜�Ԥ��Ԥ��ʿ�������ǭ����ʴ򤷤�����
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