海外FA宣言の沢村はメジャーで通用するか 先駆者が語る「超高速スプリット」の盲点

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2020年12月01日 17:00  AERA dot.

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写真巨人時代の沢村拓一投手(C)朝日新聞社
巨人時代の沢村拓一投手(C)朝日新聞社
 プロ野球・千葉ロッテの沢村拓一投手(32)が11月30日、今季中に取得条件を満たした海外フリーエージェント(FA)権を行使することを表明した。今後は米大リーグ挑戦も視野に入れ交渉が始まる。ロッテでは好成績をおさめたが、巨人では低迷が続いた沢村は果たして海を渡った場合、通用するのか。日本人初の大リーガーで、大リーグ解説者のマッシー村上こと村上雅則氏が沢村の評価と、成功へのカギを語った。

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 1964、65年の2シーズン、サンフランシスコ・ジャイアンツで中継ぎや抑え投手として活躍した村上氏。ここ数年、主に同じ中継ぎや抑えを任されてきた沢村に「米で成功するためにもっとも必要なマウンドでの気の強さ、闘争心を持ち合わせています。不安定な時期があったとはいえ、通用する力も十分にあります」と、まずは太鼓判を押す。

 沢村は、佐野日大高(栃木)では控え投手で無名の存在だったが、中央大で素質が開花。150km超の直球を武器にアマチュア球界屈指の右腕に成長し、2010年のドラフトで「相思相愛」の巨人から1位指名を受けた。

 2011年から、球団としては堀内恒夫氏以来45年ぶりとなる「新人から2年続けての2桁勝利」を記録し、中心選手へと順調に階段を上っているかのように見えたが、その後は不安定な内容が続いた。

 今季、巨人では主に中継ぎで13試合に登板し防御率が6・08と低迷。7月には2軍に落とされ、その2軍でも制球難が続き、屈辱の3軍落ちも経験した。

 ただ、9月上旬に交換トレードでロッテに移籍後は、別人になったかのような圧巻の投球を続けた。

 22試合で計21回を投げ、防御率1・71。29の三振を奪い、奪三振率は12・43と高い数字を記録した。落ちる球であるスプリット、しかも球速が150km前後に達する「超高速」スプリットがたびたび話題となった。

 村上氏は「環境が変わったことで精神面に良い影響を与え、飛躍する選手もいる。沢村はその好例だと思います」と変化を評価したうえで、大リーグで通用する理由をこう分析する。

「大リーグの打者を抑えるには、フォークやスプリット、チェンジアップなどの落ちる球が有効です。沢村はまず直球という武器がある。150km台後半の直球の威力は向こうでも通用しますし、内角を突くコントロールもあります。さらにスプリットという武器があるので、大リーグに向く投手と言えます。チームの状況にもよりますが、佐々木主浩ほどの実績はないので、いきなりクローザー(抑え)ということは考えにくい。セットアッパー(中継ぎ)で短いイニングを任されるのではないでしょうか」

 野茂英雄氏、佐々木主浩氏のフォーク、上原浩治氏、現役では田中将大のスプリット。落ちるボールを駆使して成功した日本人投手は多い。先駆者と比べても、沢村の150kmの超高速スプリットは「規格外」と言えるかもしれない。

 ただ、村上氏は「勘違いしてはいけないところもある」と注文も付ける。

「メディアでは何キロ出たなどと、スプリットの球速ばかりに焦点が当てられていますが、落ちる球の球速が速ければ速いほど打てないという単純な話ではありません。大リーグには直球の球速に近い、高速の落ちる球を得意とする選手もいれば、苦手な選手もいます。逆に直球との球速差が大きい落ちる球についても、同じことが言えます。打者の得意な速度で落ちる球を投げてしまうと、少し制球が甘くなるだけで簡単に打たれてしまいます」

 では、どうしたらメジャーの強打者たちを抑えられるのか。

「沢村が成功するカギは、スプリットの『緩急』にあります。少し球速が落ちる142km前後のスプリットを習得し、打者によって高速スプリットと使い分けられるか。そこに気付かず、速さ一辺倒になったらやられるでしょう。そのうえで変化球をもう一つ、できればカーブ系のボールを使いこなすことができれば、投球の幅が広がりさらに抑えられる確率が高まります」

 過去には佐々木主浩氏が巨人戦のラジオ解説で沢村のスプリットについて、「(スピードが)速すぎると思う。緩急がついていない」と村上氏と同様の発言をしている。 

 沢村の選択肢は「大リーグ挑戦」「ロッテへの宣言残留」「国内他球団への移籍」の3つ。沢村はすでに代理人に、イチロー氏を担当したこともあり「すご腕」として知られるジョン・ボッグス氏を選定。米大リーグの情報サイトでは、複数球団が沢村に興味を示していると報じられている。

 果たして決断は――。(AERAdot.編集部)

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