レッドブル・ホンダ、2・3位でも戦略ミス。フェルスタッペンはチームを批判

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2020年12月02日 06:51  webスポルティーバ

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 レッドブルにとって、2017年日本GP以来のダブル表彰台。バーレーンでの表彰台は2013年以来、実に7年ぶり。マックス・フェルスタッペンが2位、アレクサンダー・アルボンが3位で表彰台に登壇した。

 だが、レッドブルにとってバーレーンGPが好結果に終わったかというと、必ずしもそうではない。レースを終えたばかりのフェルスタッペンの表情が、それを物語っていた。




「2位というのは悪い結果ではないけど、その過程はあまり満足のできるものではなかったと思う。僕はもっとアグレッシブにいきたかった。たとえそれで失敗したとしても、僕らには失うものなんてなかったんだからね。どうしてこんなにコンサバティブなレースをしてしまったのか、理解できないよ」

 レース戦略について、フェルスタッペンは公然とチームを批判する言葉を並べた。

 それは、バーレーンではRB16のフィーリングが決して悪くはなく、メルセデスAMGと戦えるチャンスがわずかながらあったからだ。

 しかし、それはアグレッシブな戦略を採れば......の話であり、実際にレッドブルの戦略はそうとは言えなかった。

 レースはスタート直後、ロマン・グロージャン(ハース)の大クラッシュで81分間にわたって赤旗中断となった。グロージャンのマシンは240km/hの速度でガードレールに衝突し、3段のうち中段のガードレールをノーズが突き破り、マシン後半部分はエンジンマウントから引きちぎれて止まった。

 その内部にある燃料タンクから漏れ出たと思われる燃料に引火し、大きな炎が上がった。だが、サバイバルセル(生存空間)と呼ばれるモノコックは原形をとどめていた。

 なにより2018年から導入されたHALOがガードレールからグロージャンの頭部を守った功績は大きい。グロージャンは自力でマシンから脱出し、手の甲に軽症の火傷を負うだけで済んだ。

 2017年以前なら考えられなかったことだ。たゆまぬF1の安全対策への努力の成果であり、こうした事故を経て、さらにこれからも安全性の向上は続けられていくことになる。

 赤旗中断の間にその事故映像を見たフェルスタッペンも、さすがに恐かったと話した。

「クレイジーな事故だったね。すごく恐かった。赤旗が出て、それがイコールひどい出来事と言うわけじゃないけど、大きな火が見えたし、いいことじゃないことはすぐにわかった。ロマンは幸運だったし、早い回復を願っているよ。

 F1マシンがいかに頑丈かということも証明されたね。HALOが導入された最初の頃は、見た目がよくないから僕はあまり好きではなかったんだけど、今日の事故ではHALOが彼の命を救ったことは間違いない。安全対策として非常に優れたものであることは明らかだし、もうHALOに関する議論もなくなるだろうね」

 この赤旗中断で、レースは3周目からリスタートとなり、さらにその直後の事故でレースは実質的に8周短くなった。これが結果的に、レッドブルのレースを苦しくした。

 今年のバーレーンGPではソフトタイヤが柔らかすぎて使い物にならず、どのチームもミディアムを中心に戦略を組み立てた。しかし、ミディアムも決して扱いが容易ではなく、フェルスタッペンは2セットしか供給されないハードタイヤを新品のままレースまで温存し、これを最大限に生かす攻めた戦略を採るつもりでいた。

 Q2でアタックしたミディアムでスタートし、新品のハードを立て続けに投入してプッシュ。メルセデスAMGにはできない3回ピットストップ作戦で揺さぶりをかける戦略だったのだ。

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 だが、実質的な周回数が少なくなったことで、そのメリットは小さくなった。

 スタートから最初のピットストップまでの周回数が短くなり、後続とのギャップが十分に広がらず、メルセデスAMGよりも先にピットストップを仕掛けると、後方集団のど真ん中に戻ることになってしまう。それをためらっているうちに、メルセデスAMGに先に動かれてしまった。

「今日の僕らは戦略面でも強いとは言えなかった。1回目のピットストップはもう少し早めに入るべきだったし、結果メルセデスAMGに先に入らせてしまった。それによって彼らは、僕らに対して2秒ほどゲインしてしまったんだから。

 第2スティントにハードを履いたのは正しかったと思うし、スティント序盤に1.5秒か2秒くらいは取り戻せたけど、そこからまた1周あたり1.5〜2秒くらいずつタイムを失っていった。そしてその後のピットストップも遅かった。ずっと4秒くらい後方を走っていただけに、戦略ミスの代償は大きかったと思う」(フェルスタッペン)

 2回目のピットストップでは先に動いたものの、タイムロスがあり5.1秒。翌周ピットインしたルイス・ハミルトンには悠々と前をキープされてしまった。

 速さで少々の遅れはあっても、4〜5秒以内についていける速さがあり、持ちタイヤの面で優位もあった。だからうまく戦えば、勝つチャンスもないわけではなかった。

 しかし実際には、速さもタイヤマネジメントでも戦略でも、すべてにおいてメルセデスAMGに少しずつ負けてしまった。

 アルボンが3位表彰台を獲得したものの、それもセルジオ・ペレス(レーシングポイント)のMGU-K(※)トラブルによって得たものだ。アルボンはペレスを追い切れず、リアタイヤのグリップを失ってしまっていた。

※MGU-K=Motor Generator Unit-Kineticの略。運動エネルギーを回生する装置。

 勝つチャンスがあったものの、それを掴み取るにはあまりにすべてが足りなかったと、ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターも認めた。

「いろんな要素がうまく噛み合えば、勝てるチャンスが今日はあったかなと思います。しかし、勝てなくて悔しいほどのチャンスがあったというレベルでもなかった。やはりメルセデスAMGの速さとレース運営、ドライバー、すべてをひっくるめての強さに、我々の力が届いていないのは自明です」




 そうはいっても冒頭に述べたように、これまで手も足も出なかったパワーサーキットのバーレーンでメルセデスAMGとの差を縮めたことは確かだ。

 1週間後には同じバーレーンのショートサーキットであるアウタートラックで、サヒールGPが行なわれる。共通であるセクター1とセクター3のマシン挙動のよさを生かし、新たに組み込まれるセクター2のショートカット部分をいかに攻略するか。

 バーレーンGPでの敗因をしっかりと分析し、1週間後にリベンジを果たしてもらいたい。

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