コロナ感染者急増GoTo見直しは時すでに遅し! 移動自粛は世界的な対応のこれだけの理由

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2020年12月02日 07:00  AERA dot.

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写真山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「いま必要なコロナ対策」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

【全国の人出と感染者数の推移はコチラ】

*  *  *
 先月21日、政府は新型コロナウイルス感染者数の急増を受け、「Go To」キャンペーンの運用を見直すことを表明しました。政府はこれまで、「Go To」キャンペーンにまつわる事業が感染拡大の要因になっている証拠はないとし、事業を継続する方針としていましたが、一転、見直しに転じたかたちとなりました。

 全国的に新型コロナウイルス感染症が拡大し続けるなかで、税金を投じて人の移動を促すことを続けていたら、感染を拡大させるだけでなく、経済も悪化するのは明らかです。実際に、日本の「Go To Eat」に似たキャンペーンが夏季に英国で実施されたのですが、英国における新型コロナウイルス感染拡大の要因だったことが調査結果でわかっています。

 英国で実施された、新型コロナ感染症から打撃を受けた外食産業を支援する経済策は「Eat Out Help Out」。8月の月曜日から水曜日に、対象の飲食店で食事をすれば、アルコールを除く飲食代の最大50%分を政府が負担する(上限1人10ポンド、利用できる回数に上限なし)というものでした。

 調査結果によると、新たに発生した新型コロナウイルス感染症のクラスターのうち、8%から17%は「Eat Out Help Out」に起因するものであり、「Eat Out Help Out」に参加したレストランでは、2019年と比べ来店者数が10〜200%増加したものの、キャンペーン終了後にはレストランの客足も激減したため、経済効果は長く続かなかったこと、さらにはキャンペーン参加のレストランが多い地域では、キャンペーン開始から1週間ほどしてから、新規の新型コロナ感染者のクラスター発生が顕著に増加し、 キャンペーン終了に伴いクラスターの発生も著しく減少したことが分かったと言います。

 米疾病対策センター(CDC)は、11月26日の感謝祭に合わせた旅行を控えるように促しました。ただ、この警告が出されたのは、移動を開始する前日のことだったようで、CDCの警告は遅かったという指摘もあります。アメリカ国土安全保障省の報告によると、11月26日の感謝祭を家族や友人と過ごそうと、11月20日以降に飛行機を利用して移動した人々の数は約500万人。CDCが警告を発したのにも関わらず、車や電車で移動した人も含め、多くの人が移動しました。

 日本の「Go To」キャンペーンの見直しは時すでに遅しなのかもしれませんが、必要な判断だったのではないでしょうか。政府がやらなければならないのは、国民に移動を自粛するように呼びかけることであり、これが世界の標準的な対応です。

 最後に、これまでに実施された無症状者に対するスクリーニングで世界最大の研究結果をご紹介したいと思います。これは、先月11日に、New England Journal of Medicine (NEJM)のオンライン版に紹介された、アメリカ海軍医学研究センターの臨床研究の結果です。

 この研究の対象者は、1848人の海兵隊員の新兵。彼らは、サウスカロライナ州のシタデル軍事大学に移動し、訓練を開始するにあたり、14日間の隔離下に置かれました。その際、到着後2日以内に1回、7日目、14日目に1回ずつ合計3回の検査を受けました。この結果、51人(3.4%)が検査陽性となったのです。意外なのは、51人すべてが定期検査で感染が確認され、46人は無症状だったことです。残る5人も症状は軽く、あらかじめ定められた検査を必要とするレベルには達していませんでした。

 若年者は感染しても、無症状者が多く、有症状者を中心とした検査体制では、ほとんどの感染者を見落とす可能性が高いことを示唆しています。さらに、51人の検査陽性者のうち、35人は初回のPCR検査で陰性。多くは入所後に感染したと考えられます。

 今回の研究結果は無症状の感染者を介して、集団内で感染が拡大したことを意味しています。こうしたことを踏まえると、症状の有無にかかわらず、定期的に検査を行い、陽性が出た時点で隔離するしかありません。現時点では、濃厚接触者と新型コロナウイルス感染症を疑う人にしか、PCR検査は公費負担になりません。

 無症状感染者を早期診断し、隔離することが、感染拡大を防ぐことに繋がります。主に医療・福祉、農業、小売・販売、通信、公共交通機関など、社会生活を支える仕事についている人が公費で定期的に検査ができるような仕組みが必要と言えるのではないでしょうか。

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

このニュースに関するつぶやき

  • 極端な話し二週間以上の食料に二週間の外出禁止にしないと感染者減らせないかも
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  • 有症状者検査体制では感染者を見落とす可能性が高いことを示唆しています。さらに、51人の検査陽性者のうち、35人は初回のPCR検査で陰性。https://youtu.be/gXgAmS-BcdE
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