写真 日本テレビアナウンサーの石川みなみ (C)oricon ME inc. |
今年4月に日本テレビに入社し、早速9月より朝の情報番組『ZIP!』のエンタメ SHOWBIZコーナーを担当している日本テレビの新人アナ・石川みなみ。入社式の1週間後に緊急事態宣言が発令され、アナウンサー研修はリモートで行われることに。出社日未定という先の見えない不安や、研修で痛感した同期との差──。さまざまな苦悩を乗り越えた先に芽生えた"コロナ世代"の新人アナとしての覚悟とは。
【写真】まぶしい笑顔に「朝の癒し…」可愛すぎると話題の石川アナフォトギャラリー■「カラオケボックスで自主練習」大きな声出せないリモート研修の難しさ
──『ZIP!』のレギュラーに就任して2カ月半生活は慣れましたか?
【石川アナ】オンエアが5時50分からなので、担当の月・水・金曜日は朝1時半に起きています。朝は弱いほうなのでアラームを5つかけているんですが、いつも鳴る前にパッと目が覚めてしまって(笑)。まだまだ気が張ってるんだなと思います。
──朝1時半起きで、不規則な生活は大変そうですね。
【石川アナ】学生時代は陸上部に所属していて、自己管理は常に厳しく求められていたので、その経験が活きていると思います。走る何時間前からアップするとか、体調をベストに持っていくために何を食べるとか、ルーティーンをきちっと守るほうでした。そうすることで自信を持って臨めるところもあって。喉もやはり、温まるまでには起きてから最低2時間は必要なんですよね。人それぞれかもしれませんが、私は朝起きてからの発声練習とストレッチを研修期間中から習慣にしていました。
──研修はほとんどリモートで行われたと聞きました。
【石川アナ】そうですね。リモートでも、発声の基礎からきっちりと指導していただきました。ただ一人暮らしのマンションなので、お隣の方にご迷惑にならないか心配で。講師の先輩方も『周りが気になる環境だったら、大きな声を出さなくても大丈夫だよ』と気を遣ってもらいましたが思い切り声を出せないもどかしさはありましたね。
──たしかに東京の住環境では、大きな声を出すのもはばかられますよね。
【石川アナ】やはり自宅では限界があったので、研修が終わった夕方からカラオケボックスで自主練習をしました。いつ現場に立てるかはわからなかったけれど、仕事が始まったらここまで時間は取れないだろうし、研修中にしっかり基礎を身に付けておきたかったんです。
■同期との差にコンプレックスも… 乗り越えられたのは桝アナの“矜持”に感銘
──自主練習の方法は自ら編み出したんですか?
【石川アナ】カラオケボックスは先輩方から教えてもらったんです。あそこなら思い切り声を出せるよと。ただそれだけでは自分には足りないと思い、研修のプラスαとしてボイストレーニングとナレーションスクールにも通っていました。
──自分に足りない部分とは?
【石川アナ】同期がとても優秀なんですよ。特に北脇太基は先輩方から『10年目のアナウンサー並み』と評価されるほどで。また、忽滑谷こころは度胸があって引き出しも多いので、フリートークがどんどん出てくる。田辺大智は愛されキャラで場の空気を作るのが上手なんです。そんな3人と一緒に研修を受けていると、自分は陸上しかしてこなかったし、不器用だし、地声も低いし、とコンプレックスばかりが募ってしまって…。
──その焦りをどのように乗り越えたのでしょうか?
【石川アナ】桝太一アナが話してくれたことが大きかったですね。桝アナって、傍目には完璧な天才肌に見えるじゃないですか。だけど実は入社当時、なんでもそつなくこなす同期の青木源太アナを目の当たりにして「敵わない」と思ったそうなんです。「だから、準備だけは彼に負けないと決めてずっとやってきたんだ」とおっしゃっていて。
──見えない努力をされていたわけですね。
【石川アナ】たとえばフリートークでも、アドリブでパーソナルな内容を引き出せるように、徹底的に相手のことを調べて臨むそうなんです。本番では、CM中もゲストの方と自然にコミュニケーションをとって盛り上げていたりと、そんな気配は微塵も見せないんですけど。でも、あの桝アナですらそんな努力を重ねた上で今があるなら、新人の私が弱音なんか吐いていられないなと、とても勇気をもらいました。
──石川アナは箱根駅伝の実況を夢見て、日本テレビを志望されたそうですね。
【石川アナ】思い返すと、人生の節目にはいつも箱根駅伝があったんですよね。早稲田大学を志望したのも2009年、蛯原哲アナの「朝日嗣也選手は浪人をして一般受験で入学。努力を重ねて4年、最初で最期の箱根を走っています」という実況に大変感動したのがきっかけでした。奇しくも私も1年浪人することになったんですけど(苦笑)。
■リモート研修だからこそ身についた“大胆さ” 「毎度ここで学ぶしかない覚悟」
──局アナの仕事も幅広いですが、担当してみたい番組やジャンルはありますか?
【石川アナ】箱根駅伝の存在が大きすぎて…。ただあの番組を担当できるとしても10年20年先だと思うので、いざチャンスが巡ってきたときに、選手の人柄や魅力をお伝えできるように取材力を養っていきたいです。そういう意味では、報道・スポーツの経験を積みたいですね。いきなり華やかな場を任されるよりも、コツコツと現場に立って。やはり長距離ランナー気質と言いますか、ゴールに向かって愚直に走っていくことしかできないんです(笑)。
──最後に、“コロナ世代”のアナウンサーだからこそ持つ“強さ”があれば教えてください。
【石川アナ】例年は研修中も先輩に同行しながら現場を学ぶそうなんですけど私たちの代はリモート研修で現場を知らないせいか、物怖じしない大胆さがあると先輩方から言われます。たぶんいろんなことを知りすぎると、怖くなってしまうこともあるんだと思います。きっちりルーティーンをこなさないと不安でしょうがない性格の私ですら、いきなり現場に放り込まれても「ここで学ぶしかない」という覚悟で飛び込んでいけるようになりました。こういう状況で入社した私たちだからこそ伝えられることがあると思うので、これからも学ぶことに貪欲に頑張っていきたいと思います。
(取材・文/児玉澄子)