「学校教育にヨガを!」コロナ禍の授業に最適な理由とは

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2020年12月03日 08:05  AERA dot.

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写真今年7月に行われたヨガの授業。講師はオンラインで指導した(写真/古河市立総和南中学校提供)
今年7月に行われたヨガの授業。講師はオンラインで指導した(写真/古河市立総和南中学校提供)
 ホットヨガスタジオの「LAVA」など、専用スタジオの数も急増し、ここ数年で日本人のフィットネスの選択肢として定着してきたヨガ。このヨガを、小・中学校の教育に取り入れようとする動きがある。ヨガに取り組むことで、子どもたちにどんな効果があるのか。コロナ禍での体育の授業にヨガを取り入れている、茨城県古河市立総和南中学校を取材した。

*  *  *
 JR古河駅から車で20分ほどのところにある、古河市立総和南中学校。同校ではコロナによる休校が明けた今年6月から、体育の授業にヨガを取り入れている。体育館で行う授業の終盤に、整理運動代わりにヨガに取り組む。

 同校の森田泰司校長はこう話す。

「ヨガは一人ひとりがその場で静かに取り組みますから、接触や飛沫による感染のリスクが少なく、コロナ禍の体育にはうってつけです。ヨガのポーズにはストレッチ効果があってケガの防止にも役立ちます。ゆったりと呼吸を整えながら自分自身と向き合うことで、授業で球技等を行って興奮した気持ちを、次の授業に向けて落ち着かせることにもつながっています」

 コロナによる休校中には、5分程度で取り組めるヨガ動画を学校HPで配信したり、体育の教員がZoomを利用して、家庭でもできるヨガを生徒たちに指導したりしていたという。

「ヨガは動画を見ながらひとりでもできるので、休校中でも取り組みやすいというのも長所の一つでした」(森田校長)

 同校でヨガを始めるきっかけになったのは、森田校長自身が数年前に知人の紹介でヨガを始め、その効果を実感したことだった。

「自分が始めるまでは『ヨガ』というと、『若い女性がする運動』『体が硬い人には無理』という先入観がありました。しかし実際に自分でやってみたら、呼吸が整って気持ちが落ち着くし、ポーズをとることで姿勢もよくなった。私のようなおじさんでもできましたしね(笑)。これは子どもたちに取り組ませたら、きっといい効果があるに違いないと確信しました」

 森田校長は昨年春に同校に着任すると、その年の秋に都内からヨガインストラクターを招き、3年生の全4クラス154人を対象にヨガ体験を実施した。ヨガの基本的な呼吸法や瞑想(めいそう)を学んだあと、「三角のポーズ」や「木のポーズ」など、いくつかのポーズに挑戦した。そのうちの1クラスはその後1週間にわたって毎日の朝の会で、呼吸法と10種ほどのポーズを組み合わせた20分程度のヨガプログラムを続け、ヨガの健康に対する効果を測定した。

 1週間ヨガを続けた生徒たちからは「肩が軽くなった」「これまで1時間目の授業はとても眠かったが、ヨガをやってすっきりしたまま授業を受けられた」「初めは朝のヨガをストレスに感じていたが、後半は慣れてきて気分がよくなった」などという感想が聞かれたという。

 同校でヨガの指導と効果測定の調査を行った、慶應義塾大学環境情報学部講師でヨガインストラクターの加藤亜希子さんは、生徒たちへのヨガの効果についてこう話す。

「ヨガというと、ポーズをとるフィットネス的なイメージが強いかもしれませんが、呼吸に意識を向けて瞑想することで、心身のバランスを整えるという重要な側面もあります。中学3年生は思春期の上に受験を控えていてストレスを感じやすい時期なので、瞑想によってそうしたストレスをコントロールできるようになるということも伝えました。今回の調査では数値的には有意な結果は得られませんでしたが、『この1週間でだるいと思うことが減った』といった声も聞かれ、ヨガの効果を感じられた生徒さんが多かったようです」

 加藤さんによると、米メリーランド州の小学校では、児童に瞑想やヨガを行わせる取り組みを始めたところ、問題行動が減少したという報告があるという。

 森田校長は「ヨガのおかげかどうかはわかりませんが」と前置きしつつ、「最近は学校全体が落ち着いているように感じます。大声を出したり、すぐ興奮したりする生徒が少なくなりました。教員も同じように落ち着いて指導にあたれています」と話す。

 コロナの影響で実現できなかったが、当初の予定では今年4月から朝の登校後に、椅子に座ったまま呼吸やポーズを行う「椅子ヨガ」を取り入れる予定だったという。

「朝取り組むことで、落ち着いた学校生活をスタートさせる効果が期待できます。来年度からは毎朝の『ウォームアップタイム』として、椅子ヨガを日課表に組み込む予定です」(森田校長)

 同校は今年8月、学校としては全国で初めて、全日本ヨガ連盟公認の「ヨガマネージャー認定講座」の認定を受けた。「ヨガマネージャー」とは、ヨガに関する基本的な知識と技能を身につけ、「ヨガを必要とする人」と「ヨガを適切に教えられる人」との間を取り持つ“橋渡し役”。オンラインで全10回の講座を視聴後、ウェブテストに合格すると認定される。同連盟によると、現在は鹿児島県西之表市(種子島)の学校も認定に向けて検討を始めており、いずれは全国各地の学校に広めていきたいという。

 同連盟としては、ヨガを将来的には義務教育での必修化、つまり学習指導要領に入れることを目標としている。同連盟の関連組織である「ヨガ推進議員連盟」の会長を務める、元文部科学大臣の下村博文衆院議員らへの働きかけも始めている。

 前出の森田校長はこう話す。
「10年ほど前にはダンスが必修化されましたから、ヨガが必修化されたとしてもまったく不思議ではありませんよね。ヨガは体力や筋力がつくうえに、精神的な落ち着きや集中力も得られます。体育の授業はもちろん、朝の椅子ヨガも、ぜひ全国の学校に広がってほしいですね」

(文/白井裕子)

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このニュースに関するつぶやき

  • 健康維持なら、ヨガくらいでええかもだけど……体育の授業って「集団」や「チームワーク」ってことに対して触れることのできる機会でもあるからなぁ
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  • 良い取り組みだと思います。
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