コロナ感染大爆発で医療・経済崩壊の“生活危機”迫る、やっておくべき「8つの備え」

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2020年12月03日 17:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

このまま感染拡大が続けば、再び緊急事態宣言の可能性も

 全国の新規感染者数は2000人を超える日もあり、新型コロナウイルスの猛威が止まらない。

 東京都でも医療崩壊を引き起こすレベルの感染者数と重症者数になりつつある。

 大阪府では新規感染者数、PCR陽性率、感染経路の不明割合など政府の分科会が定めた感染状況の6項目の指標のうち5つがすでに超過。残るひとつの病床の逼迫(ひっぱく)度合いも警戒基準値が目前に。

 11月26日、全世界の感染者数が6000万人を突破。他国で起きているようなパンデミックが日本でも現実のものになろうとしている。

ウイルスが変異する可能性も

 懸念される感染大爆発は起こるのだろうか。専門家に聞いてみると──。

「気温や温度と新型コロナウイルスの広がりやすさに関する研究はいくつかあり、温度・湿度の低い地域では高い地域よりも広がりやすいという結果が出ています。春先のように外出を自粛するなど私たちの行動が変わらない限り、感染者数も重症者数も増えるいっぽうです」

 と、そう遠くない未来に感染爆発が起こることを予測するのはKARADA内科クリニックの田中雅之医師。

 医学ジャーナリストの植田美津恵さんは、2つの可能性を示唆する。

「ひとつは現在の第3波がおさまらずに感染者が増え続けることが考えられます。もうひとつは、この後いったんは落ち着いたとしても、年末年始の人の流れで年明けにまた増える。こうした感染の増加と減少を繰り返しながら、事態は続いていくでしょう」

 年末年始にかけての感染対策が重要なことは明白だが、相手は未知のウイルス。前出・植田さんは警鐘を鳴らす。

「万一、ウイルスが変異することもありえます。そうなれば欧米のような悲劇が起こらないとは言い切れません」

 欧州各国は強烈な第2波に見舞われている。第1波のときのような医療崩壊を防ぐため、夜間の外出禁止や都市間の境界を封鎖、移動を制限するなどの厳しい措置が続く。

 イタリアでは結婚式や葬儀の禁止、日中の外出も制限されている。フランス・パリなどは外出申請書や身分証明書の携帯が義務づけられ、違反者には罰金も科せられる。

 日本でも今のような状況が続けば、私たちの暮らしはどう変わってしまうのか──。

感染者数が増え続けると重症者数も一気に増加

 まず、目の前に迫るのは医療崩壊だ。

 春先は新型コロナウイルスの対応に医療機関も手探りの状態だった。増える感染者に病床が足りず、受け入れ先の確保が問題になっていた。

 今は当時の経験やデータをもとにして対策を強化。受け入れ先の病床を増やしているが……。

「日本では欧米のようなロックダウンや外出規制をしていないので、この先も感染者や重症者が増え続ける可能性はあります」

 前出の田中医師はそう見通し、注意を呼びかける。

「今の状況を考えると、これから1か月ほど後に医療の状態が切迫することが懸念されます。第1・2波の傾向や病気の特性から見て、感染者数がこのまま増え続けていくと、重症者数が一気に増加するときがくる」(田中医師)

 重症者が増えて病床が足りなくなれば、患者の受け入れ率が一気に下がる。感染者が入院しようとしても受け入れ先がなく、たらい回しにされる可能性は高くなる。

高齢者の感染拡大で介護崩壊も

 医療崩壊が長引けば、重症化した高齢者の治療が後回しになるおそれもあるという。

「ただ、日本はそんな割り切ったことはできないでしょう。患者の年齢によって治療の線引きをすることはありません」(前出・植田さん)

 しかし、海外を見ると実際、スウェーデンでは、中高年や若年層を助けるため、70歳以上の重症者の治療は控える方針をとった。

 危機的な状況下では、日本でもこうした判断がとられる事態にもなりかねない。

 さらに高齢者の感染拡大が介護崩壊を引き起こす。

 前出の植田さんによると、

「高齢者の感染を防ぐため“デイサービスに行けない”“福祉サービスを受けられない”などが起きることも考えられます」

 在宅で介護しようにも、濃厚接触を懸念して介護ヘルパーが来る頻度が減ることもありうる。そうなれば家族の負担が増え、共倒れになる危険性がある。

高齢者は特に感染に気をつけなければなりません。不要な外出を極力控え、お子さんやお孫さん、若い人と接触をしないなど、介護崩壊を招かないためにも自衛は大切です」(前出・同)

 接触を減らすためには自宅でネット環境を整えること。ネットを苦手とする人もいるかもしれないが離れて暮らす子や孫とはリモートでやりとりしてみよう。買い物も宅配やネットスーパーを利用するなど対策をとりたい。

持病の悪化を放置しないで

 だが、あまりに感染を恐れすぎても別の問題が出てくる。持病の悪化だ。

「長期間、診療を受けられなかったことで、もともとの病気の悪化に気づかず過ごしていることもあります。自粛期間で活動量の低下あるいは食生活の乱れによって“血圧が上がった”“糖尿病が悪化した”患者さんに出会うこともしばしばあります。新型コロナウイルスを恐れるあまり、持病の悪化を放置してしまうことは地域のクリニックの医師が抱える懸念のひとつです」

 前出の田中医師は続ける。

「アメリカの報告ですが、新型コロナウイルス感染以外の病気の受診率、入院率が下がったようです。ただし、今年急に従来の病気が減っているとは考えにくく、治療や検査をせずに病気を抱えたまま過ごしている可能性があります

 基本的に受診は継続したほうがいいのだが、

「状態が安定していて病状のコントロールがうまくいっているのであれば、医師と相談してオンライン診断や電話再診を活用するのも手です」

 しかし、どうしても通院が必要な患者もいる。

「“発熱している”“発熱していない”で分けて、考えましょう」(田中医師)

 前者では受診予定のクリニックに電話。発熱対応をしているか、診察時間、待機場所など必要事項を確認する。

 後者でもあらかじめ電話をしたり、ネットで確認。クリニックがそれぞれで行っている感染症対策に従おう。

 さらに市販の風邪薬や胃薬などの常備薬も多めにストックしておこう。不調は早めに手を打って悪化させずに治すことも心がけること。

 また、巣ごもりが続くと気分が落ち込みやすくなり、ストレスもたまりがちに。前述したオンラインを活用して家族や友人の顔を見ながら積極的にコミュニケーションをとることも大切だ。

給与カットと増税で家計が火の車に

 感染だけでなく、経済の崩壊による生活の危機も深刻だ。倒産、希望退職募集、ボーナスカット、給与減、自殺者増大……そんな暗いニュースが連日、報じられている。

 小池百合子東京都知事は11月28日、都内の飲食店に対し20日間の時短営業を要請。大阪府も同様の要請を表明。さらに北海道や愛知県も続くとみられている。

 経済ジャーナリストの荻原博子さんは、

「外出自粛で人の往来が少なくなり、時短営業になれば飲食店は大打撃を受けます。店舗が閉店して企業が倒産すれば、失業者も増える」

 緊急事態宣言が再び出されると、経済はますます危機的な状況に近づく。さらに、

「大手企業はすぐには潰れないだけの蓄えがあります。しかし中小零細企業や個人事業主は非常に厳しくなる。企業もお店も、生き延びるための体力を使い果たした来年の春先がいちばんきつくなるとみられています。救済策がなく感染者が増え続けて、経済が停滞したままならバタバタ倒産していくおそれがあります」

 飲食店や小売業のほか、インバウンド狙いの観光地や地方都市はさらに厳しい状況になるだろう。

増税などで家計負担が増える可能性

 経済の悪化は感染者数増加と同じくらい深刻な問題だ。

「本当なら経済も感染も両方一緒に考えなくてはならない。なのに政府は“Go To”ばかりに目を向けているのでおかしなことになっているんです。今のままだと感染防止対策も経済の立て直しも両方とも立ち行かなくなりますよ」

 と荻原さんは厳しく指摘。

 給与が減ることが目に見えているが、それに追い打ちをかけるのが増税の可能性だ。

「内閣の支持率も下がってるので、消費税を上げることはないでしょう。ですが、ほかの形での増税はありえます」(荻原さん)

 例えばコロナ禍でこうむった損失を補填するため『コロナ復興税』というような新たな税制の導入も考えられる。

 ほかにも所得税を少しずつ引き上げる、社会保険料を上げるなど、家計負担は増えていくとみられる。

現金を確保、新しいローンは組まない

 生活防衛のための方策を荻原さんがアドバイス。

先が見えないため、まずは現金を確保すること。高額な買い物をしない、新しいローンを組まないなどして貯蓄を増やすことが大切です。感染拡大を受け、マスクやトイレットペーパーの不足を再び心配する人もいるかもしれません。でも買いだめしたり、ドラッグストアに並ぶ必要はありません。余計なお金は使わないことです

 この悪夢のような状況下で希望となるのがワクチンの開発、実用化や集団免疫がつくことだ。猛威がおさまるまで、なんとしても耐えて生き延びるしかない。このお正月は昨年までと違うと認識することが重要だという。

「家庭内感染を防ぐため、鍋やおせち料理は事前に取り分けて提供してもいいと思います。離れて暮らす家族や親戚への新年の挨拶はリモートを利用。接触しないことは感染の対策になります」(同)

 いつもの年末年始の風景とは変わってしまうが、これが命を守るための行動。前出の田中医師は訴える。

「“マスクの着用”“手洗いの徹底”“3密を避ける”は個人ができる効果的な感染防止策です。粘り強く取り組んでいきましょう」

■感染・生活危難 8つの備え
(1)自宅のインターネット環境を整える
(2)ネットスーパーや通販サイトなどに登録する
(3)外食は少人数で。屋外にも席があるなど、なるべく換気のいい店を選ぶ
(4)風邪薬、痛み止めなどの常備薬をストックしておく(基礎疾患がある人は医師と相談)
(5)オンライン診療ができる病院をあらかじめ探しておく
(6)ネットバンクを開設しておく
(7)ブランド品など高額な買い物や余計な買いだめは控える
(8)新たなローンは組まない

内科医・田中雅之さん KARADA内科クリニック勤務。東北大学大学院で医学研究にも従事。日本感染症学会専門医「患者様のニーズや不安を受け止め、ともに考え、診療を進めたいと心がけています」

医学ジャーナリスト・植田美津恵さん 医学博士。愛知医科大学客員教授、東京通信大学准教授。専門は公衆衛生学、医療制度など。各大学で教壇に立つほか、医学番組の監修、講演活動をこなす。 著書も多数。

経済ジャーナリスト・荻原博子さん 家計経済をはじめ、市民目線のわかりやすい解説でマネーに関する幅広い分野で活躍。コメンテーターや解説者としてテレビやラジオなど出演するほか著書も多数。

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