海宝直人「今の自分があるのは人とのめぐり逢い」芸能生活25周年を振り返る

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2020年12月03日 17:00  ドワンゴジェイピーnews

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数多くのミュージカルの舞台に出演し、最近ではNHK 連続テレビ小説『エール』で圧倒的な歌唱力を見せた海宝直人。ロンドンロイヤルオペラハウス コンサートマスターも認めた日本が誇る至高の存在が舞台芸能活動25周年を記念してニューアルバム『Break a leg!』を12月2日(水)に発売する。今作はミュージカル界で歌い継がれてきたナンバーをオーケストラとともに作り上げた自身初となるミュージカル名作カバーアルバム。そこでドワンゴジェイピーnewsでは海宝に直撃インタビュー。アルバムに関することやミュージカル俳優としての25年を振り返ってもらったほか、2021年に上演が決まったミュージカル『The Illusionist-イリュージョニスト-』への思いを聞いてきた。



——最新アルバム『Break a leg!』。こちらのタイトルはすぐに決まったんですか?


「はい。“Break a leg”は演劇の世界で“good luck”のような意味で使われる言葉で、“成功を祈ってるよ”って応援メッセージのような意味があるんです。今のコロナ禍の状況も顧みて、このアルバムを聴いていただいた人には少しでも元気になってもらいたく、そういうアルバムにできたらいいなという願いも込めて、このタイトルを付けました」



——アルバムにはミュージカルの名作曲が数多く収録されています。まず「これは絶対に入れたかった」曲というと?


「『Sheridan Square』という曲は絶対に入れると自分の中で決めていました。僕の1stアルバムはアラン・メンケンさんの楽曲を集めたCDで、そのときに入れたかった曲なんです。でもそのときのアルバムはディズニー曲ばかりを集めた1枚だったので入れることができなくて。今回やっとアラン・メンケンさんの未発表曲でもある『Sheridan Square』をアルバムに収めることができました」


——「どうしようかな?」とアルバムに入れるか迷った曲はあるんですか?


「今、僕の推し曲みたいになっている『Defying Gravity 〜自由を求めて』なんですが、実はアルバムに入れるという発想が浮かばなかった曲なんです。女性の曲ですし、曲中に掛け合いもあるので、ソロCDとして入れるのは難しいんじゃないかと思っていたんです。でもスタッフと相談して、やっぱりこの曲はいれたほうがいいという結論に達しました。実際に録音したらとてもいい曲に仕上がったので結果的に入れて良かったなと思います」

——歌っていて楽しかった曲、苦労した曲といえば?


「楽しかった曲と言えば、やっぱり『Something’s Coming』。高揚感があってワクワクする曲で、すぐに1曲目に決まりました。逆に苦労……苦労というか、『Run away with me』は自分の中で理想が高い曲で。あまりに好き過ぎて、表現したいハードルがかなり高かったんです。何度もテイクを重ねるうち、自分でも何がいいのか分からなくなってきて。最終的には“これで大丈夫ですか?”とスタッフさんに確認するほどでした(笑)」


——オーケストラによる演奏でのレコーディングはいかがでしたか?


「とても楽しかったです。全曲、アレンジしてくれた森亮平は“アコースティックなオーケストラバージョンにするのに苦労した”と言ってましたけど(笑)。 オーケストラを演奏してくれたみなさんにとっても難易度が高かったようですが、素晴らしい演奏のおかげでとてもいいアルバムに仕上がったと思います」



——今回のアルバムは舞台芸能活動25周年を記念した1枚。7歳から舞台を踏んで、25年を振り返るとどんなことが思い浮かびますか?


「いい出会い、いい経験をさせていただいてきたなぁっていう思いがあふれてきますね。初めての作品が『美女と野獣』の舞台で、そのあとに『ライオン・キング』に出させていただいて。大人になってからも『ライオン・キング』や『ノートルダムの鐘』に出させていただきました、僕の子役時代を知ってくださってる役者のみなさんと再び共演する機会をいただいて。そういう方たちとのめぐり逢いがあり、今の僕があるんだなぁとしみじみと感じますね」


——でも長い間、役者をやっているとつらかった時期もあるんじゃないですか?


「つらいというか、ひとつの作品が終わって新しいカンパニーに行くたびにどうすればいいのか分からなくなります。果たして自分はちゃんと演じられているのだろうか、この作品にとって自分が良い形で関われているか、と。でも、みなさんで舞台を作り上げていって千秋楽を迎えたときは“終わったぁ〜”って達成感を得られるんです。で、また次の現場へ行くと初心者のようになって。新しいカンパニーになると、やり方も全然違ったりもします。芝居で求められる価値観みたいなものも大きく変わったりするので、毎回壁にぶつかって、悩んで……ずっとその繰り返しが続いていますね(笑)」

——もしかして人見知りだったりしますか?


「人見知りです(笑)。最近ようやく“ご飯に行きましょう”って言えるようになったんですけど、まだまだできないことも多くて。このご時世でほとんど行けなくなっちゃいましたけど。昔は常に1人で仕事場から帰るタイプで、人付き合いが本当に苦手だったんです。それが30歳を過ぎてから少しずつみなさんと密なお付き合いもしなきゃという意識を持つようになりました」



——若いときお世話になった先輩というと?


「tekkanさんですね。僕の才能を信じ続けてくれて“絶対に認められる日がくるから!”って応援してくださった先輩です。当時、一緒にライブをやっていた仲間から “tekkanさんという人が新作を作ろうとしていて若い男の子を探しているから、よければオーディション受けてみないか?”って言ってくれて。それが『POSTMAN THE MUSICAL』という作品でした。以来、とても良くしていただいている先輩ですね」


——今回のアルバムのアレンジを手掛けた森亮平さんとも旧知の仲とか。


「彼が19歳で僕もまだ20歳のときに出会いました。共通の知り合いが取り持ってくれて“ピアノが本当に上手だから一緒にライブをやろうよ”って言ってくれたんです。それでライブを一緒にやるようになってから、どんどん彼も才能を発揮していって。いまや『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』などミュージカルの名だたる作品のオーケストラ指揮を振るうほどになりました。彼の指揮で僕も『レ・ミゼラブル』に出たりして、ともに成長してきた同志とも言える友人ですね」



——NHK 連続テレビ小説『エール』にも出演されました。やっぱり朝ドラ出演の反響は大きかったですか?


「あらためて幅広い世代の方がご覧になっているドラマだなぁと感じました。うちの母も“友だちからいっぱい連絡がきたよ”と言っていましたし。やはり影響力が大きいドラマだなぁと」


——演じたのはオペラ歌手の役どころ。撮影はいかがでしたか?


「楽しかったですね。2か月ぐらい前からNHKでオペラの先生と歌唱指導の先生とでお話しながら役作りをしていったんです。とても丁寧に役を作ることができましたし、歌のシーンや稽古場でのシーンもしっかりリハーサルをしたうえで本番に臨めたので、伸び伸びと楽しく歌い、演じることができました」

——そして2021年に上演が決まったミュージカル『The Illusionist-イリュージョニスト-』では逝去された三浦春馬さんに代わり、アイゼンハイム役を海宝さんが演じることになりました。


「春馬さんと初めてお会いしたのは読売演劇大賞の授賞式のときでした。春馬さんが『ノートルダムの鐘』を見たいという話を人づてに聞いていたので“もしよかったら”って言ったら“実を言うと拝見したんです”って言ってくださったんです。僕も“うれしいです”って答えて“いつかご一緒したいですね”って話をしました。それから僕も春馬さんが出られたミュージカル『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド〜汚れなき瞳〜』も見させていただいて。東京の千秋楽だったんですが、そのとき春馬さんがご挨拶した言葉を聞いてすごく心を揺さぶられました。同じエンターテインメントに携わる者として、強い思いを聞いて涙が止まらなかったのを覚えています。やっと一緒に作品を作り上げることが出来ると決まって本当に楽しみにしていたんですが…。ワークショップでは春馬さんの舞台への臨み方を間近で見て、作品への愛情が誰よりも強かったことを感じました。この舞台の上演についても、プロデューサーやスタッフのみなさんとお話をする機会をいただいて。僕も悩みましたが、演出家のトム(・サザーランド)さんの熱い思い、決意に触れ、僕もアイゼンハイムを務めさせてだくことを決断をしました。 海外でもワークショップを重ね、トムさんの演出で形になったら、きっと面白い作品になるだろうって思いもあって。だからこそ僕はこの作品を今、できる限りの力でいい形にして、お客様にお届けするという意思を持って舞台に上がりたいと思っています」



——では最後にアルバム『Break a leg!』を聞いてくださるファンの方たちにメッセージをお願いします。


「このアルバムに関わってくれた素晴らしいスタッフの皆さんのおかげで、とても聴きごたえのある1枚に仕上がったと思っています。 ドラマチックな楽曲がたくさんあり、日本で音源化されていない曲もあるので、ぜひ新しい音楽に出会って欲しいな、と思っています。いろいろなことを感じてもらえる名曲ぞろいのアルバムになっていますので、ぜひ手に取って聴いてください!」





文:今 泉

写真:加藤千雅


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