バービー「おっぱいは何も悪くない」 初エッセイ集で真っすぐに心の声を綴る

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2020年12月03日 19:12  BOOK STAND

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『本音の置き場所』バービー 講談社
「Yes, fall in love」という決めゼリフで一躍有名になったお笑いコンビ「フォーリンラブ」のバービーさん。現在は芸人として活躍しながらも、エッセイを執筆したりワイドショーでコメンテーターを務めたりと活動の幅をどんどんと広げています。

 そんなバービーさんが「36歳都内在住の独身女性である私が、大きい声で言ったら眉をひそめられてしまうかもしれないと感じる本音を、思うがままに書きなぐった本」(本書より)と紹介するのが、自身初となるエッセイ集『本音の置き場所』です。

 しばしば「生きづらい社会」だと言われる現代。皆さんの中にも、ふだん声高に叫ぶことはなくとも、身の回りのさまざまな問題に息苦しさを感じている人は多いのではないでしょうか。ジェンダーによるギャップ、自分との向き合い方、結婚やセックスについて、親子の関係性などなど。バービーさんが向き合ってきたこうしたテーマが本書ではいくつも取り上げられています。

 たとえば、体に関するコンプレックスについて。バービーさんといえば、最近ランジェリーブランド「ピーチ・ジョン」から自身でプロデュースした下着を発売したことでも話題になりました。自分も広告モデルのひとりとなりビジュアルイメージを発表したところ、「これ誰得?」「需要どこにあるの?」といった否定的なコメントがあったといいます。

 このことについて本書で「私は"下着モデルをしている私"じゃなくて、自分の作った作品を見せたいだけで、そもそも女性の日用品であるブラジャーを、エロ目線で勝手に評価されたかったわけではない。そういうことが余計なコンプレックスを抱かせ、日用品の悩みなのに声をあげづらくさせる」(本書より)と言及しているバービーさん。

 今回、バービーさんは下着をプロデュースしてみて、「既製品には自分のサイズに合うブラジャーがない」という悩みを抱いている人がとても多いことに気づいたといいます。中には、「企業が用意したサイズが入らない=普通ではない」と自分を罰してしまうような気持ちになる人もいるそうです。

 けれど、バービーさんは「おっぱいは何も悪くない」とキッパリ。「おっぱいが大きすぎたり、小さすぎたりして、合うブラジャーがなくても、あなたが罪悪感を感じたり、声を殺す必要はない。堂々と自分の身体に合う下着が欲しいと言っていい」「ただ生きているだけなんだ、こっちだって!」(本書より)と言い、自分の身体をありのままに愛そうと呼びかけます。

 バービーさんの考え方やそこから紡ぎ出される言葉は、どのテーマにおいても誰かや何かにはばかるところなく、とても真っすぐです。自由で、実直で、体の奥底からの思いそのままであることがわかります。「なかなか言いたくても大きな声で言えない」「なんとなくモヤモヤする気持ちをうまく言い表せない」、そんな思いに寄り添い、代弁してくれているかのような言葉の数々に、共感する人も多いのではないでしょうか。

 ほかにも、お悩み相談や料理レシピのコーナーなどもあり、バービーさんの多才さがうかがえます。帯に書かれた「最も信頼の置ける言葉を持つ芸人」の初作品として、要注目の一冊といえそうです。

(文・鷺ノ宮やよい)


『本音の置き場所』
著者:バービー
出版社:講談社
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