2年後はドラフト戦線の主役だ!社会人野球に進む“プロの原石”たち

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2020年12月04日 07:24  ベースボールキング

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桐蔭横浜大・片山皓心選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]
◆ 社会人での飛躍が期待される大学生

 11月9日から開催された、『横浜市長杯争奪関東地区大学野球選手権』。この大会は首都大学・神奈川大学・千葉県大学・関甲新学生・東京新大学の5連盟から上位2校が集う大会で、例年であれば明治神宮大会の出場権をかけて行われる。

 今年は残念ながら明治神宮大会が中止となってしまったものの、関東地区の大学における大一番はいつも通りに開催。10校が決戦の舞台・横浜スタジアムに集った。


 先日のコラムでは、来年のドラフト候補となる共栄大のエース・小向直樹について個別に紹介したが、他にも素晴らしい選手が多かったため、改めて目に留まった選手についてピックアップして紹介したい。

 今回は取り上げるのは、来年から社会人で野球を続ける予定の大学4年生たち。


▼ ピックアップ・プレイヤー
片山皓心(投手/桐蔭横浜大)
山田啓太(投手/白鴎大)
吉野光樹(投手/上武大)
吉高 壮(投手/日本体育大)
浅見悠大(外野手/共栄大)


◆ インパクト絶大!桐蔭横浜大のエース

 今大会で最も強いインパクトを残した選手を一人挙げるのであれば、間違いなく桐蔭横浜大の片山皓心になるだろう。

 1回戦と準決勝、さらには決勝の3試合全てを一人で投げ抜き、チームの優勝に大きく貢献。最優秀選手と最優秀投手の二冠に輝いた。

 片山の出身校は、茨城県内でも進学校として知られている日立第一。野球部もかつては強豪として知られ、近年は復活の兆しは見えるものの、片山自身は注目されるような投手ではなく、大学で着実に実力をつけてきた。


 片山のフォームで素晴らしいのが、下半身の使い方だ。

 右足を上げてからステップするまでに絶妙な“間”があり、軸足の左ひざが深く折れることなく、ゆったりと粘りのあるステップで投げることができている。

 かなりの下半身の強さを感じる投げ方で、逆に言えば、上半身の無駄な力を使わずに腕を振っているということ。それだけ肩にも肘にも負担は小さく、3試合とも中盤以降にその日の最速を叩き出していた。


 スピードは140キロ台前半がアベレージだが、力を入れると145キロ以上をマークして、高めに抜けるボールも少ない。

 そして、ストレートと同じ軌道から鋭く沈むチェンジアップは必殺のボール。加えて、カウントをとるスライダーやカーブの精度も見事だった。


 昨年までの実績が乏しかったため、今年のプロ志望届の提出は見送っていたが、指名されていても全くおかしくないだけの実力の持ち主である。

 気になる卒業後の進路だが、3日まで熱戦が繰り広げられた都市対抗野球で11年ぶりの優勝を果たしたHondaでプレーを続けるとのこと。貴重な安定感のあるサウスポーとして、2年後も注目を集める可能性が高いだろう。


◆ 見事な投球を見せた白鴎大の左腕

 片山と同じサウスポーでは、白鴎大の山田啓太も存在感を発揮。初戦で延長10回タイブレークの末に敗れたものの、被安打3、自責点0と見事な投球を見せた。

 東海大相模高時代は、まとまりのある小柄なサウスポーという印象。ドラフト候補という感じではなく、むしろ打撃に非凡なものを感じたが、白鴎大進学後に大きく成長。昨年の秋はMVP・最多勝・ベストナインの三冠に輝き、今年の秋は平成国際大戦でノーヒットノーランも達成している。


 少しクロスにステップし、スリークォーターから投げ込むボールはサウスポー独特の角度がある。決め球として光るのはチェンジアップだが、片山のボールと比べてスピードは遅いもののブレーキは抜群。腕を振ってもなかなかボールが来ないため、打者は体勢を崩されて空振りすることが多い。

 そして、このボールを左打者の内角にも決められるのが大きな長所。ストレートが140キロ前後と少し物足りないものの、高い制球力と必殺のボールがあるだけに、今後も注目していきたい存在だ。


◆ 右投手では上武大の吉野光樹が光る

 右投手で抜群の存在感を示したのが、上武大の吉野光樹だ。

 実は2年前のこの大会でも、東海大を相手に被安打5の9奪三振という完封劇で注目を集めている右腕。その後は故障に苦しんだが、今大会は初戦の武蔵大戦で7回を被安打2、10奪三振で1失点と、最後の最後に見事な復活を遂げてみせた。


 174センチと投手としては決して大柄ではないが、シャープな腕の振りから投げ込むストレートは、最速147キロをマーク。アベレージでも145キロ前後のスピードがあり、コーナーいっぱいに投げ込むコントロールも高レベルだ。

 また、カーブやスライダー、チェンジアップと全ての変化球でしっかり腕を振って投げることができ、同じ球種でもフォームやスピードに変化をつけるなど、投球のバリエーションは実に多彩なものがある。

 高校時代から故障が多いのは課題だが、社会人で実績を残すことができれば、一気に上位候補へ浮上してくる可能性も高いだろう。


◆ 注目投手を続々と輩出する日体大

 吉野と同じく、故障に苦しんだのが日本体育大の吉高壮だ。

 明石商では、先日のドラフト会議で巨人から2位指名を受けた山崎伊織(東海大)を抑え、エースとして活躍したほどの素材。3年春の選抜ではベスト8進出の原動力となったが、大学では思うような成績を残すことができなかった。


 今大会でも初戦の先発を任されたものの、3回を投げて3失点で降板。まだまだ手加減したような腕の振りが目立ったが、力を入れた時のボールの勢いは申し分なく、最速も149キロをマークしている。

 また、一塁走者を2度牽制で刺し、守備でも見事なフィールディングを見せるなど、投げる以外のプレーも高レベルだ。万全の状態に戻れば、再びドラフト戦線に浮上してくる可能性は高いだろう。


 最後に野手では、トップバッターとして初の準決勝進出に貢献した共栄大の浅見悠大(共栄大)などが光ったが、全体的にはやはり4年生の投手が目立つ大会だった。

 それも、吉高以外は高校時代にドラフト候補と言われていなかった選手であり、改めて大学野球で伸びる選手が多いということを感じさせられた。

 選手が伸びる時期はそれぞれ異なるため、ここで触れた選手以外にも、社会人や独立リーグで飛躍してドラフト候補に浮上してくることを期待したい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所

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